そこにあること -5ページ目

goldfish

例えばそれは小さな金魚

ひとつのイノチが閉じ込められている

そのハコが世界で全て


弱った金魚が

いつまで生きているだろうかと

感情の見えない目をみつめてみても

視線を逸らした隙に

そのイノチが終わるんじゃないかと


カラダを斜めに揺らし

流されるように

時に抵抗するかのようにもがく


ハコの外でそれを眺め

どうすることもできないし

何かを感じることもしたくない

その何かを遮ることで精一杯


終わりはいつか今か

目を離し

ハコから離れ

再び目を向けた時にはもうお終い


あの金魚の

最後の鼓動はいつだったろう


ポンプからの空気

いつかは同じ終わりを見る金魚達

揺れる藻

そんなものに動かされることはあっても

自力で動きだすことはなく

カラダを横にしたその曲線に

妙な感覚を思い出す


なんの感覚だろう

これは

そう




誰もいない校舎の

心底冷たい廊下を

ひとり裸足でひたひたと歩いた時のような


魚の目が嫌い

空洞のようで


でもそれに感情が見えたなら

きっともっと嫌いだっただろう