櫻葉❤
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Side S
「しょうちゃんっていう太陽があるから
オレは生きていられる」
「それは俺だって同じだ雅紀」
そうして雅紀の肌を撫でる俺の薬指にも同様に、
同じ指輪が光っている。
同じ指輪をしていても、雅紀はいまだにときどき
俺から視線を外してどこか、何もない世界に視線を合わせる。
、、、まさにいま、この瞬間も。
「、、、仕方がなかったんだって思った」
「え?」
だから俺は今日もまた、どうでもいいことを話しだす。
話すことが何かに繋がるなんて思わない。
ただ、雅紀に俺を見ていて欲しい。
雅紀が観る世界に、俺が映っていて欲しいだけだ。
「お前を縛ってあんなことしたとき。
仕方がないんだって。
俺にはああする以外思いつかなかった。
雅紀が好きで、、、それしかできなかった」
あの夏の日を、俺はいまも思い出す。
後悔と言う意味ではなくて。
けれどもただ懐かしいというだけの、思い出としてでもなくて。
「しょうちゃんはいまも苦しい?」
「少しは。でも今はもうそういうんでもない。
ただ俺と雅紀は同じだって言いたいだけだ」
雅紀がどこか、俺のいない世界へ行ってしまうそのトキ。
俺にみせない場所で苦しんでるその意味を
俺は一生わかることは出来ない。
でも予想はする。
少しはオトナになったから。