家を買ってね。

わたしが「ただいま」って帰れる家。


そこであなたが家族になってね。

わたしはあなたの子供を育てるから。


贅沢なんてできなくていい。

普通に食べていけるだけ稼いできてね。

あとは毎日、帰ってきてね。

あなたの帰りを毎日待ってる。


退屈なんて、するわけない。

あなたの喜ぶ顔を考えるだけで

時間はどんどん過ぎ去っていくもの。


あんまり飲みになんて行かないでね。

たまにはわたしも連れてって。

だっていつまでも、恋人でいたいから。

お洒落していくからね。

誰に紹介しても恥ずかしくない

あなたのわたしになるからね。



増え続ける夢は、わたしの欲深さだね。

あなたへの期待はふくらむばかり。


でも叶わないって知っているから。

せめて夢の中で、夢を見させてね。


涙を流しながら見る夢だって構わない。

あなたの顔が見れるのなら、それでいい。


夢の中でだけ、わたしたちが見た夢を叶えるよ。

たった一人で叶えられる、唯一の場所だから。


言葉のひとつひとつに重みを置くわたし。


行動のひとつひとつに重みを置くあなた。


相容れない。


だってわたしは行動する前に言葉を発してしまう。

伝えたい言葉があふれ出す。


あなたは望む言葉をくれる前に走り出してる。

言葉にすることなんて、忘れて。


どちらもきっと悪くない。


言葉がなければ伝えられない思いがある。

行動が伴わなければ伝えられない思いがある。


だけど言葉が先行するわたしは、あなたの言葉を待てないよ。


動いてるあなたを知らずにただ言葉を待って立ちすくむ。

待っている間の不安をやり過ごすすべなんてない。

信じて待つことが出来るだけの、自信が欲しい。


あなたの少ない言葉すべてを信じられたらいいのに。


弱い自分が大嫌い。

あと一緒に過ごせる日を、カレンダーを眺めながら数える。

指折り日を追うごとに減っていく数字。

したいことも、待っていたことも、すべての叶う可能性も共に減っていく。


許されないことをした罰だと、痛みを感じながら泣く。

本当に泣きたいのは、わたしじゃないのに。

あなたのほうが余程苦しくて、辛かったでしょうに。


それでもあなたを諦められないわたしを許して欲しい。


だってわたしはあなたを手放せない。


罰ならいくらでも受ける。

痛みならもっとくれていい。

罵倒して、罵って、恨んでいい。

それでもそばに居て欲しい。


都合の良い女でもいいだなんて、望むわたしは浅はかだろうか。


それでも尚あなた以外見えないだなんて。


むせび泣くあなたの頭を抱きしめて

あなたがわたしなしで生きられなければいいと願うわたしは、悪魔だろうか。


一生後悔して欲しい。

一番幸せになって欲しいあなたに、そう願う。


わたしを手放すことを悔いて欲しい。


一生かけて償うことを許さなかったあなたが

わたし以外の人と幸せになるだなんて、想像もしたくない。


日々繰り返す呪いのような想いを

どうか、誰でもいい。

どうか、取り上げてください。

生々しく思い出す。



夢の中で。



あなたの香り。



抱きしめられる力加減。



二度と味わえないのだと、抱かれる度に言い聞かせる。



悲しい暗示をかけ続ける。



独りでも頑張れるように。



諦められないくせに繰り返すの。



あなたに抱かれるのは、これが最後だと。



指の動きひとつまで染み付いたらいい。



肌が覚えた感触で泣けるくらい、あなたがここに残るといい。



だからどうか、今日は朝まで背を向けないでいて。



いつかの時までに覚悟が決まるよう。



弱いわたしが、あなたを覚えていられるよう。

出会わなければ良かったと産まれてはじめて泣いた。


出会わなければ幸せなことなど知らなかった。


出会わなければ幸せになれるかも知れないなどと期待しなかった。


出会わなければ…


違う。出会えて良かった。


なのにその出会いを育てることが出来ず、あなたが遠くなる。


どうして?


ただ共に過ごすことだけを願ってきたのに。


なぜわたしは正しい答えを選ぶことが出来なかったの?


はじめて愛してると溢れ出る感情を知ったのに。


想うだけで涙が出るだなんて、小説の中でしか有り得ないと思っていたのに。


息が出来なくなる。