※このシリーズはわたしの覚え書き、受講記録です。
配られたレジュメやスライドなどから抜粋して書き残しています。
今回の講師は
薬物療法についてはヤマモト薬局 山本紀子氏
非薬物療法については音楽療法士 山田広美氏 でした。
まずは薬物療法のお話・・・
今までの講座でもたびたび薬物についてはお話がでていたので、
そちらの資料と共に薬物療法について記録したいと思います。
◆抗認知症薬(アルツハイマーの薬)
1年前まではドネペジル(製品名:アリセプト)しかなかったけど、
新たに3種類増えて、選択肢が増えた。
・ドネペジル(製品名:アリセプト)
作用・・・アセチルコリンエステラーゼ阻害
(記憶障害、認知障害に対して)
効能・効果・・・軽度から高度ADの認知症症状の進行抑制
投与回数・・・1回/1日
剤形・規格・・・錠(3,5,10mg)、D錠(3,5,10mg)
細粒(0.5%)、ゼリー(3,5,10mg)
※D錠は水なしで飲める錠剤
副作用・・・悪心、下痢、便秘、嘔吐、食欲不振
・ガランタミン(製品名:レミニール)
作用・・・・アセチルコリンエステラーゼ阻害
(記憶障害、認知障害に対して)
効能・効果・・・軽度および中等度ADの認知症症状の進行抑制
投与回数・・・2回/1日
剤形・規格・・・錠(4,8,12mg)、OD錠(4,8,12mg)
内用液(4mg/ml)
副作用・・・悪心、嘔吐、食欲不振、下痢、頭痛
・リパスチグミン(製品名:イクセロン、リバスタッチ)
作用・・・アセチルコリンエステラーゼ阻害
(記憶障害、認知障害に対して)
効能・効果・・・軽度から高度ADの認知症症状の進行抑制
投与回数・・・1回/1日
剤形・規格・・・貼布剤(4.5,9,13.5、18mg)
副作用・・・適用部位の紅斑・掻痒感・浮腫・接触性皮膚炎、嘔吐
この3つは脳内のアセチルコリンを増やすための薬となり、
この3つのどれかを使っても進行を抑制できない時に
併用されるのがメマリー↓
・メマンチン(製品名:メマリー)
作用・・・NMDA型グルタミン酸受容体拮抗
(神経細胞を保護し、アセチルコリンの減少を防ぐ)
効能・効果・・・中等度および高度ADの認知症症状の進行抑制
投与回数・・・1回/1日
剤形・規格・・・錠(5,10,20mg)
副作用・・・めまい、便秘、体重減少、頭痛
どの薬も副作用の様子をみるために
少量から始めて増やしていく。
講師の山本さん曰く
「パッチ剤は痒みを訴える人が多くて、あまり広まってない感じ」だそうです。
アルツハイマー型以外の認知症はというと
脳血管性認知症にはアリセプトが有効であるとの研究報告があったり
レビー小体病にも記憶障害などの認知障害に対して
アリセプトやレミニール、リバスタッチ・パッチ、イクセロン・パッチが
有効な症例があると報告されているそうです。
次は非薬物療法
アルツハイマー型だと
1.認知に対して・・・Reality Orientation(現実見当識訓練)、記憶訓練、学習療法など
※欧米ではReality Orientationをけっこうやってる
※日本の学習療法は川島教授と公文がある。
学習療法は効果はあるけど継続が重要なので、続かない人はダメ。
2.感情に対して・・・回想法、Validationバリデーション(確認)療法、支持的精神療法など
3.脳への刺激・・・芸術療法(音楽、絵画、コラージュ、バレエなど)
リクリエーション療法(手芸、ペット、ゲーム、社交ダンスなど)
脳活性化訓練など
とさまざまなものがあるが、今回は音楽療法について
◎音楽療法とは
音楽のもつ生理的、心理的、社会的働きを用いて、心身の障害の軽減回復、
機能の維持改善、生活の質の向上、問題となる行動の変容などに向けて、
音楽を意図的、計画的にしようすること。
(日本音楽療法学会 HPより)
学会の理事長は国内最高齢現役医師の日野原 重明氏。
学会認定の音楽療法士さんは全国に2163名(2012.9月現在)
治療のように悪いところにフォーカスするのではなく、
その人の「健康性」の部分を生かしていく
◎治療とケア
治療と治癒・・・「治る」と「癒す」 「治療」では気持ちを支えることが難しい
治るとは・・・医学的な治療+音楽療法、ダメージな部部への手入れ
ケア・・・心の健康性の部分に触れていく、残存している心に触れる、より健康なところにタッチする、援助、救う、助ける、世話する
◎心の側面・・・こころの働き
<認知>見る、聴く、記憶する、考える、言葉を使う、想像する、推理するなどの知的な働き
<感情>喜ぶ、悲しむ、怒る、恐れる、不安を感じる、好き、嫌い
<コミュニケーション>社会性、他社との交流をはかる、
<個性・人格>人によって心の働き方は違う
<成長・発達>年齢に伴って変化、発達する
<意欲>やる気
<異常>こころの病的な状態
<身体との相互関係>こころと体が関係し合っている
◎音楽が人に及ぼす影響
・楽しく、喜びを与える
・美しいものを味わう満足感を与える
・気分転換になる
・過去の記憶を思い出させる → 『快』の刺激
・生きがいの発見
・生活(生命・人生)の質を向上させる・高める
・非言語的な(ノンバーバル)コミュニケーション手段として使える音楽は、
バーバルの世界以外の場面でも、社会的な交流を促すことが可能である。
→ ことばを使わずしてやり取りを可能にし、感情を動かすことが可能。
◎療法としての音楽
1)気分や感情をコントロールする事ができる
ことばによるカウンセリングよりも直接的に心に働きかける
2)気分や感情えの影響が比較的安定し、持続的である
活性化、高揚・沈静化、快感、集中、緊張・弛緩
細やかな感情を創りだす
3)比較的短時間で、神経系や免疫系のはたらきに影響する
4)言語の使えない様々な障害の方に有用
知的障害・自閉症・認知症・脳損傷・重度身体障害・うつ気分による障害・失語症
いま、その空間、その瞬間にしか作り出せない音の美・快の刺激
・コミュニケーション手段として
(微妙な感情的ニュアンスを伴うコミュニケーションも可能にする)
・自己表現の方法として
(無意識のうちに多様に変化させる → 意識的な思考の媒介なしに)
・損なわれた機能の改善・回復・維持
・未発達な心身機能の発達を促す
(言語のような明確な概念的意義は持たない存在である)
◎『音』の力をさぐる
瞬間的な創造性が必要・「その人」を観る・嗜好の違い・その日の調子・集団行動
遊びと創造性・セラピストの力量・環境
『介護予防』として、健康性に着目した音のワークの継続、自治体での取り組み(口腔ケアも含む)
※足腰を鍛える、脳トレするのと同じように「口腔ケア、口周りの筋肉強化」が重要!!!!!
嚥下・咀嚼は健康に自分の人生を楽しむためには、本当に大切。
◎音楽療法の実際
・能動的音楽療法と受動的音楽療法
自分で歌ったり演奏したりしなくても、
意識的に音楽を聴いているだけで、音楽をしていることになる。
・療法として用いられる4つの柱
聴く・・・音楽の両極 / 高揚と沈静 音楽のタイプにより動く気持ち
動く・・・知的・運動刺激を伴う身体活動 模様と創作表現
歌う・・・呼吸・発生を通して体感する集団歌唱療法 ⇔ 個人歌唱
長期記憶・回想・イメージ・連想・五感を伴う刺激
合奏・・・集中力・達成感・刺激的な初体験・一体感・成功体験
◎高齢者への取り組み
<認知症へのアプローチ>
・長期記憶を生かしたなじみの歌から安心感を得る
・その人にとっての「快」の刺激を追及する
・音楽の情報処理は、言語に比べ、より広範囲な神経活動により支えられている
<介護予防事業へのアプローチ>
・活動に対しての意識付け、モチベーション高め、意欲を引き出す
・発声や食欲に関与する口腔ケアとトレーニング
<パーキンソン症状へのリハビリ>神経学的音楽療法
・話す声と歌う声は違う
・歩行を援助する音楽療法
※例えば、パーキンソン症状のある方に
その人にとって動ける音楽を流すと、普段の歩き方がウソのように
すたすたと歩いてしまうらしい。音楽がないと元に戻るんだとか。
音楽って、すごい。
<終末の音楽療法>
・ライフレビューと心理的な関わり、本人と家族や周辺の関わりの中、
チーム医療としての音楽療法
実際に音楽療法を体験してみよう!ということで
『花は咲く』『荒城の月』『夜明けのスキャット』をみんなで歌ったり
鳴子片手に、さぶちゃんの『祭り』に合わせて踊り
「はっ!!!!!!」って大きな声を出したり。
気持ちよかったです。とても。
久しぶりに大きな声を出したけど、すっきりしました。とても。
大切ですね、こういうのって。
音楽療法を体現した感じです。
あとは雨の音のする長い筒の楽器とか、
一振りするだけでとーーーーーってもきれいな音がでるトーンチャイム
を使って『ほたるこい』を歌ったりもしました。
山田さんは現在は聖霊病院のホスピスで
終末期のガン患者さんたちに対しての音楽療法をしていらっしゃるそうです。
そのお話ぶりから、患者さんに寄り添っていらっしゃるんだな
ということがすごく感じられました。
ホスピスという、特異な分野でお仕事をしていらっしゃるので、
当然なのかもしれません。
音楽療法単体での効果を実際に検証することはむずかしく、
日本ではまだまだの分野なのだそうです。
でも、確かにそこには何か目に見えなかったり、数字で分析できない何かが
存在していると感じました。
いつか、障害や病気を抱えながら生きている人たちが
「その人らしく」生きる支えとしての音楽療法が確立されるといいなと思います。
受講後記
介護される人と介護する人、というと
どうしても介護する人が上から目線になりがちに感じますが、
それは違うんじゃないか、と思います。
山本さんの「薬を飲ませる、口に放り込んじゃう」という言葉が
今回、私はどうしても耳に障り、心地よくなかったのですが、
家に帰ってきて、ダーリンに話しながら考えました。
きっと、上から目線に感じられるその言葉が不快だったのでしょう。
もちろん山本さんはそんな意図はなかったのかもしれませんが、
人は自分の意図とは違う理解をする、という前提で
私も言葉に気をつけていかなくてはいけないな、と思いました。
様々な職種、人格、環境の方のお話を聞く機会というのは、
その内容だけではなく、貴重な体験なのだと
回を重ねるたびに実感します。
自分は社会とどう関わっていきたいのか。
そんなことを漠然と考えるようにもなりました。
次回の市民講座は弁護士さんから法律的な視点でのお話。
これも貴重な機会となりそうです。