最近、注目しているブログの「高速欲望 」があります。このブログはともかく圧倒的な情報量でかつ私にとっては共感できる視点(世界共和国へ、宮台真司、マルセル・デュシャンの「泉」、オタクなど)をもたれているので、今後も注目していきたいと思います。

そのブログの中のなぜウェブ は資本主義 を超えないのか 」の中で紹介されていたのが下記の記事です。



なぜウェブは資本主義を超えるのか: 上武大学大学院経営管理研究科教授 池田信夫氏 ITPro



まず、この記事が「ITPro>オープンソース>Linux」に掲載されていることが非常に面白いと思いました。

(ITProのような「ビジネス」&「テクノロジー」のメディアに非常に社会学的な記事が掲載されていることに驚きました。)


この記事で興味深いと思ったのは「情報が溢れるように提供された時,相対的に希少になるのは何か。経営学者ハーバート・サイモンは,それは情報が消費するもの,すなわち「人間の関心」だといいました。」の記載です。


この記事を読んで最初に思い出したのは、 【読書記録】 攻殻機動隊 (1)、(2) KCデラックス でも紹介させていただいた、攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX The Laughing Man の中で、情報が完全に共有でき、情報が並列化された社会では、その個体アイデンティティを決定するのは、「好奇心」だとしていたことです。


確かに同じ情報をみたとしても、人によって感じ方、捕らえた方は違う。(私はそれを「視点」として定義しています。)そのことは、人の非常に複雑な脳の動きによって決定され、ひとつとして同じものはない。それが、上記でいう個体のアイデンティティとなる。


そのように考えていくと、情報が溢れるように提供されたとき価値を持つのは「人の関心」ではなく、「情報を文脈付ける視点」ではないかと思いました。


情報はその人の捕らえ方/理解の仕方によってその価値は大きく変わる、その捕らえ方/理解の仕方を決めるのはその人が持っている「視点」である。そして、どのような「視点」を得るかを決める大きな要素として「関心」(または好奇心)がある。(と考えました)


確かに、情報が少ない状況下では、情報を持っていること自体に意味があった。しかし、人の間の情報の並列化が進めば、「その情報をどのように理解しているのか(どのように咀嚼しているのか)」が価値をもつことになる。このことは体感的にも理解しやすいと思いました。


ウェブ人間論 でも議論になっていた「日記」的なブログについての評価ですが、その「視点」で見てみると価値のあるブログも多数あるように思えます。(ある意味で、「視点」の多様性の宝庫ですから)


情報に対していろいろと考えさせられる記事でした。

(本も読んでみようと思います。)



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