My sweet home 《act.9》 真実へのステップ




放課後、校門でモー子さんとレイノ君を待っていると

レイノ君と共に、不破君も一緒にやってきた。



「えっ??どうして・・・・・ここに不破君もいるの??」



「あぁ?!俺が一緒じゃダメなのかよ???」



「い・・・・いえ・・・・別に・・・・・・」



そこへ、一台の車がやってきて



「・・・・・レイノ様。お迎えに参りました。

皆様もご一緒にお乗りください。」



運転手の方がドアを開けてくれて、

後部座席に3人(尚・キョーコ・奏絵)

助手席にレイノが乗り、出発した。



走り出してしばらくすると、助手席に座っていたレイノ君が

後ろを向いて、説明をしてくれた。



「・・・・今から向かうところは・・・・・キョーコ。

君のお婆様である、

最上グループの会長 最上 桜子様のお宅です。」



「「・・・・・最上グループって・・・・あの???」」



私とモー子さんが思わず一緒になって聞いてしまった。



「・・・・そう、日本で有名な企業である

最上グループですよ??」



「・・・・・・私の、おばあ・・・様・・・・・」



「そうです。あなたのお父上、最上 倫太郎様のお母様でもあります。」



私はその言葉に、微かに戸惑いがあった。


・・・・・私、そういえば・・・・・お父さんのこと、何も知らない・・・・・



「んで、俺とレイノは・・・・遠い親戚。

俺とレイノは、お前を会長のところに連れて行ってくれれば

今度の社長に、オレ達の親父が選ばれるかもしれないからって

・・・・・親に脅されてたってわけ。

俺は、はっきりいって、そんなの興味ないけどなぁ~」



「・・・・・・俺も興味ない。」



二人の会話を聞いていて、少しほほえましく思ったのだが・・・・・

いったい、私ってこれからどうなっちゃうんだろう・・・・・・




*



大きな洋館に連れられ、かなり広い応接間に通された。


調度品やら家具やら、すべてがとても高そうで・・・・・

目がチカチカしてしまいそうだった。



ガチャリ



ドアが開き、入ってきたのは、中年のスラッとした男性。


その人は、私たちの前まで来ると



「会長のところまでご案内いたします。

どうぞ、こちらへ・・・・・」



何でもこの人は、私のお婆様とかいう人の執事さんらしく

そのまま部屋まで案内してくれることになった。



コンコンコン



「失礼いたします。

キョーコ様と、ご学友の方をお連れいたしました。」



ガチャと扉を開け、部屋に入ると

その部屋はかなり広く、窓の近くの日当たりのいいところに大きなベットがあり

そこから起き上がっていた女性は、力弱く微笑んでいた。



「・・・・・やっと・・・・・会えるんだね・・・・・キョーコ。」



小さな、弱々しい声で私を呼んでくれたその人を見て

何故か妙に懐かしい気分が起きた。



「・・・・・・ずっと、もう会えないかと思っていたよ・・・・・」



そっとベットサイドまで近づくと、そっと私の手を取ってくれた。



「・・・・・今まで、すまないことをしたと思っているよ。

息子の倫太郎にも・・・・・冴菜さんにも・・・・・・・」



「あ・・・・あの・・・・・・ごめんなさい。

私、よく知らずにここまで来てしまって・・・・・」



私が戸惑っていると、お婆様の執事である人が

おもむろに話をし始めた――――――



/////////



最上グループの次期後継者でもある、

最上 倫太郎氏は、最上家の一人息子であったのだが

大学在学中に、同じ大学で知り合った、冴菜と恋に落ちた。


二人は深く愛し合い、結婚を誓い合うようになっていたのだが


倫太郎には親が勝手に決めた婚約者がいて

倫太郎の両親は、冴菜との結婚を反対した。


どうしても冴菜と共にいたい倫太郎は・・・・

冴菜と、駆け落ちをしてしまったのだ。



二人はアメリカへ渡り、そこでお互い仕事を見つけ

順調に生活していった。


一人娘、キョーコを授かり、幸せに暮らしていたのだが

突然倫太郎が病にかかり、闘病むなしく帰らぬ人となってしまった―――――



/////////



「・・・・・・私は、冴菜さんには結構ひどいことを言ってしまってね・・・・・

うらまれても、仕方ないとは思っているんだ・・・・・

キョーコが産まれたことも、倫太郎の病気のことも

全く、教えてもらっていなかったから・・・・・・」



「・・・・・じゃあ、どうして私のことを知ったんですか??」



「・・・・・・もう、私も歳でね・・・・・

そろそろ次期後継者、ということを考えたときに

倫太郎の事を思い出してね・・・・・・

元気でやっているのか、調べさせてもらったんだよ。

・・・・・・そうしたら、私よりも先にあの世へ旅立っていたなんてね・・・・・


あまりのショックで、寝込んでしまったんだよ。」



「・・・・・そうだったんですか・・・・・」



「しかも、冴菜さんまでこの前事故でなくなってしまっていたなんてね・・・・

二人の子供は、知らない男と暮らしてるって言うし・・・・・

心配になってね・・・・・


キョーコ、良かったら、ここで私と一緒に暮らさいかい??

私の残り少ない余生を、一緒に過ごして欲しいんだよ・・・・・・・」



いきなりのことで、ビックリしてしまった。


確かに、初めてお会いしたのにどこか懐かしい感じもするし・・・・

うそをついているようにも見えない。


・・・・・・・だけど・・・・・・



「・・・・・・私は、家に帰ります。」



「なっ!!!!なぜ、あんな男と一緒に居るんだい???

あの男は・・・・・戸籍すら偽って、どこのどいつかもわからない、

危険な男なんだよ???」



「・・・・・・それって、蓮のことですよね??

私、一年間一緒に住んでみてわかってるんです。

たとえ、戸籍を偽ってようと、蓮は危険な男じゃありませんっ!!!!

私のこと、本当の家族のように、大切にしてくれています。」



「・・・・・だからって、血の分けた私とじゃなくて

どうしてアイツとなんか・・・・・・」



「・・・・・・私、蓮のことが好きなんです。

いつまでも一緒に、そばに居たいんです。

それじゃあ・・・・・・ダメですか????」



目を潤ませお願いをしてみると、

お婆様は、うう~~~っとうなった後・・・・・



「・・・・・わかった。キョーコの、好きなようにしなさい。

ただし・・・・・たまに、顔を見せにきてくれないかい???」



「・・・・・それくらい、お安い御用よっ!!!!」



「それから、あなたも・・・・・キョーコと一緒に遊びに来て頂戴ね。」



少し離れたところで、私たちの話を聞いていたモー子さんに

飛び切りの笑顔で話しかけたお婆様は・・・・・

歳の割りに、可愛らしかった。




*




お婆様の部屋を出た後、帰る際に、少し気になったことを聞いてみた。



「・・・・お婆様は、今会長さんなんですよね??

次期後継者って言ってましたけど・・・・・

それって、誰になるんですか???

私は・・・・・はっきりいってそんな器じゃなんですけど・・・・・」



「あぁ、それでしたら、実は・・・・・・

今度最上グループは外資系企業に買収されることが

内々に決まっておりまして・・・・・

後継者はもう、必要なくなったんです。


すべては会長が・・・・・寝込んでしまったからなんですが・・・・・」



執事さんのその話に・・・・・

少しビックリしてしまっていた。


日本の大手の最上グループを買収してしまう

外資系企業って・・・・・・

いったい、どこなんだろう。


・・・・・・私には、関係ないことだから、いいんだけど。



そして私は、またも車で送ってもらい、

私と蓮のお家に・・・・・・帰った。




act.10へつづく・・・・・




---------------------


次回で、終われるといいな。