My sweet home 《act.7》 疑惑
数日前、学校から帰ってきた家の前で、レイノ君に言われた言葉。
”アイツはお前に嘘をついている”
”本当のことを知りたくないのか??”
毎日毎日、頭の中でグルグル回っていた。
こんなこと・・・・・・蓮にも、モー子さんにも・・・・・・聞けない。
・・・・・・いったい、どうすればいいの・・・・・・・???
*
・・・・・・最近、キョーコの様子が変だ。
昨日も夕飯を焦がしていたし、今日のお弁当のおかずの卵焼きが
いつもはキョーコの好きな甘い卵焼きなのに、しょっぱかった。
ボーっと、何か考え事をしているようだ。
・・・・・・・・・・ま、まさか・・・・・・・・・
こ、恋わずらい、とか・・・・・・・・?????
あ、あってはならないっ!!!!そんなことっ!!!!!!
そこで俺は、英語科準備室にある男を呼び出していた。
「・・・・・・・すまないな、石橋光君。」
「つ、敦賀先生・・・・・・話って・・・・・何ですか??」
石橋光は、小動物のようにビクビクしていた。
・・・・・・結構こいつをからかうのって、面白いんだよなぁ~~。
っと、話がそれないように、まずは本題から、だ。
「前から頼んでいたように、最近のキョーコの教室での様子を教えて欲しいんだが・・・・・
何か、変わった様子はないか???」
「・・・・・・・・実は・・・・・・」
もじもじとして、なにやら言いにくそうにしているなぁ・・・・・・
「キョーコちゃんの席より、俺の席のほうが前なので
あまり授業中の様子はわからないんですけど
最近、ボーっとしていることが多くて・・・・・
たまに先生に注意をされていることがあります、ね・・・・・・」
「・・・・・・・・そう、か・・・・・・」
授業中まで、そんな感じだとは・・・・・・・
「他には、何か変わったことはないか??
あの二人が、キョーコに近づいてきたりとかは??」
「あっ!!!!不破君は、たまにキョーコちゃんのそばに行っては
何かとちょっかいをかけてますけど、
いつもキョーコちゃんが軽くあしらってますね。
レイノ君とは・・・・・逆に全く話してませんし・・・・・
というか、レイノ君はいつも学校では授業以外無口なんで・・・・・・」
「そう、か・・・・・・・
じゃあ、引き続き、見張りをよろしく頼む。」
そういって、キョーコの体育祭のときの写真を一枚入れた封筒を渡した。
「・・・・・それでは、失礼します」
パタパタパタ・・・・・・
走り去る足音を聞きながら、考えるのはキョーコのこと。
・・・・・・・いったい、どうしたんだ???
*
そのころキョーコは・・・・・・・・
いつものように奏絵と裏庭にいた。
いつものように、他愛のない会話をしていたのだが、
会話が切れたときに・・・・・
ふと真面目な顔になったモー子さんが、口を開いた。
「・・・・・・最近アンタ、私に何か隠してない・・・・・???」
「・・・・・・えっ???」
「倖一さんからも、キョーコのこと聞かれたのよ??
”最近様子が変だから、何か聞いてないか”って・・・・・
”心配事があるなら、親友である奏絵に一番に相談するはずだろう?”
って言われたのに・・・・・
私には、何も相談できないの・・・・・??」
若干目を潤ませていうモー子さんは・・・・・
凶悪的にキレイで可愛くて・・・・・・
私は思わずモー子さんの両手をつかんだ。
「ゴメンなさいっ!!!!モー子さん・・・・・・・
私の悩み、聞いてくれる???」
「もちろんよっ!!!ってきっと
敦賀先生がらみなんでしょうけど、ねっ!!!」
「・・・・・・・えっ???////////」
モー子さんの言葉に、顔が真っ赤になってしまった。
「だって・・・・・・恋わずらいかと思って・・・・・」
「うう~~~ん・・・・・・ちょっと、違うかな・・・・・???
実は、前にね・・・・・・
同じクラスのレイノ君が家の前にいて、
私にこう言ったの・・・・・・
”いつまでアイツと暮らしてるんだ?
お前が住むべきところは別にある。
アイツはお前に嘘をついているんだ
俺は、お前のすべてを知っている。
本当のことを知りたければ、いつでも言ってくれ”って――――――」
私の話を聞いていたモー子さんは
目を大きく見開き、驚いた顔をした後、こういった。
「それで・・・・・・・キョーコはどうしたいの??」
「えっ??どうしたいって・・・・・??」
「だって・・・・・・
キョーコは、敦賀先生と一緒に居たいの??
それとも・・・・・本当のことを知りたい、の???」
「私は・・・・・・・」
モー子さんに言われて初めて、気がついた。
私は、レイノ君に言われたことがショックで、
自分がどうしたいのかまで考えていなかったから。
・・・・・・・でも、何がショックだったの・・・・・???
――――――――――それは
蓮が、私に嘘をついている、と言われたから、だ――――――
私は一年、蓮と一緒に暮らして、ずっと蓮の一番そばにいたつもりだった。
それなのに・・・・・・・
その私にずっと、嘘をついていたの―――――??
私の心は、悲しみでいっぱいになっていた。
「・・・・・・・キョーコ????」
突然泣き出した私を見て、モー子さんがうろたえる。
・・・・・・無理もない。
こんな話の中で、いきなり泣き出すなんて思ってなかったのだから・・・・・
「大丈夫??キョーコ・・・・・・」
なかなか泣き止まない私の背中を、そっとさすってくれた。
*
やっと泣き止んだときには、もうすっかりお昼休みが終わる時間になってしまって
これ以上モー子さんとは話せなくなってしまった。
明日、またちゃんと話を聞くと言ってくれたモー子さんと別れ
私は一人、教室へと歩いていると・・・・・
「・・・・・・・キョーコ。」
私の少し前に、レイノ君が立っていた。
すっと私の前に近づき
「・・・・・・泣いていたのか??
目が、赤い・・・・」
そっと私の目に触れようとした。
触れるか触れないか、というところで、手が止まる。
誰かに、右腕をつかまれていた。
「・・・・・・こんなところで、何をしているんだ??」
レイノの腕をつかんでいたのは・・・・・・蓮だった。
いつもよりも低い声に、蓮がいつになく怒っているのがわかった。
「・・・・・別に、何も・・・・・・」
二人は軽くにらみ合っていたのだが、蓮が手を離すと
レイノ君は右腕を降ろした後、一人で先に教室へと向かって歩き出した。
「・・・・・・何かされなかったか??」
見上げるとそこには、いつもの優しい蓮の眼差しがあって
私の胸は大きな音をたてた。
「・・・・・・大丈夫、です・・・・・」
「・・・・・・本当に・・・・・??」
さっきより近くで、覗き込むように見られると
思わず顔が真っ赤になってしまった。
「あ・・・・あの・・・・・ですね・・・・・・・」
「・・・・・・目が腫れてる。泣いてたのか???」
いつになく真剣な蓮の眼差しに・・・・・・
私は吸い込まれるような形で、見つめ返してしまった。
高まる鼓動に、さっきよりももっと赤くなる顔・・・・
・・・・・私、今までどうして、蓮に見つめられて平気だったんだろう・・・・・
私は軽く頷くと、蓮はそっと覗き込むのをやめ、目線をそらすと
「・・・・・・もうすぐ授業が始まるから、行きなさい。」
優しい、先生の顔に戻っていた。
「・・・・・わかりました、失礼します。」
私は軽く一礼して、教室まで足早に歩いていった。
その場にいた、蓮がどんな表情をしていたのか、わからずに――――――
act.8へつづく・・・・・
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この連載の久々の更新ですね。
前までの話をすっかり(?)忘れていました。
この話は実は最後まで筋は決まっているんですが
どこでどう終わったのか、忘れてまして・・・・
しかも、妄想を文にしていくと、少しずつ話が変わっていくんですよね・・・・
でも、変わった方が好きだったりします。
今回の話も・・・・・
最初の妄想とはかなり変わりました。
キョーコちゃんとモー子さんは、その日で話しちゃってたはずなのに・・・・
(あれ??)
レイノと蓮の対峙も、このときなかったはずなのに・・・・・
(あれあれぇ~~????)
次から少しずつ、この話の確信に触れていける、かな??
他の妄想話があるので、これも早々にきりをつけれるといいなぁ~♪