時の翼-化け猫の気まぐれゲーム攻略ブログ- -2ページ目

時の翼-化け猫の気まぐれゲーム攻略ブログ-

サクラドライブがひょんな事で
無事復帰したので、ゲーム攻略
専用ブログになりました。

皆さま、よしなにm(_ _)m

みなさんおはようございます(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎)

 大分間の空いた投稿となりましたが、 今回は前回、

夕食を作ったところからの続きになります。

 ではさっそく【ゆりちゃん・その2】をどうぞ。

 

 

食事を済ませると、

昨日と同じようにリビングで寛いだ。

 

雨宮愛海

「…………」

 

雨宮誠二

「  (愛海のやつ、どうかしたのか?)  」

 

夕食の時からずっと黙りがちだ。

 

日常のどうでもいいことまで

楽しそうに喋る、愛海にしては珍しい。

 

雨宮愛海

「……ねえ、お兄ちゃん」

 

雨宮愛海

「お願いがあるんだけど、言ってもいい?」

 

雨宮誠二

「なんだ、唐突に」

 

雨宮愛海

「わたし、明日は八真都  (やまと)  神宮

お花を摘みに行きたい」

 

八真都神宮……

 

行ったことはないが、

名前だけなら知っている。

 

吉走寺駅からそう遠くない場所にある、

緑が豊かで大きい公園だ。

 

雨宮愛海

「あそこはきれいなお花が咲いているって

ゆりちゃんが教えてくれたの」

 

雨宮愛海

「だからね、そのお花を摘んで

ゆりちゃんにお供えしたいんだ」

 

雨宮愛海

「お兄ちゃんにも手伝って欲しいんだけど

……ダメ?」

 

ゆりちゃんと言えば愛海ちゃんのヘッドフォンの

元持ち主で、私たちとも深いご縁のある人物です。

ここは満開の笑顔で引き受ける事といたしましょう。

 

雨宮愛海

「ありがとう、お兄ちゃん

 

雨宮愛海

「ゆりちゃんも、

きっと喜んでくれてると思う

 

雨宮愛海

「じゃあ、さっそく明日行こうね」

 

雨宮愛海

「……あっ、そうだ

 

雨宮愛海

「薫ちゃんも呼んでいい?

きっとお花のある場所を知ってるし」

 

薫ちゃん……

 

高架下で愛海から聞いた話だと、

たしか高村ゆりの友人だ。

 

雨宮愛海

「ねえ、薫ちゃんも呼んでいいよね?」

 

雨宮誠二

「好きにすればいいさ」

 

行くと決めた以上、

そのあたりは愛海に任せるとしよう。

 

雨宮愛海

「あっ、誰か来た……」

 

雨宮愛海

「また天生目さんかな?」

 

ドアスコープを覗き込むと……

 

外にいたのは那津美さんだった。

 

雨宮那津美

「誠二くん、愛海はまだ起きてる?」

 

雨宮愛海

「あっ、おかあさんだ

 

雨宮愛海

「ねえ、おかあさん、

明日お兄ちゃんと出かけていい?」

 

雨宮愛海

「どうしても行きたいところがあるの」

 

雨宮那津美

「そうね、誠二くんと一緒なら

構わないわよ」

 

雨宮那津美

「ただし、どこへなにをしに行くのか、

お母さんにもあとで教えてくれる?」

 

雨宮愛海

「うん、ちゃんと話す」

 

雨宮愛海

「ありがとう、おかあさん

 

雨宮那津美

「それじゃ、話をしながら帰りましょうか」

 

雨宮那津美

「明日出かけるなら早く寝なくちゃね」 

 

雨宮愛海

「はーい」 

 

雨宮愛海

「じゃあお兄ちゃん、また明日ね」 

 

雨宮那津美

「いつも悪いわね、誠二くん」

 

雨宮那津美

「愛海に付き合ってくれてありがとう。

あの子ったら、本当に嬉しそう」

 

雨宮誠二

「だといいんだがな」

 

雨宮那津美

「ふふ、誠二くんはきっと

いいお父さんになれるわよ」

 

雨宮那津美

「それじゃまた明日ね。おやすみなさい」

 

奈津美さんと愛海は

仲良く手を繋いで帰っていった。

 

雨宮誠二

「  (俺もさっさと寝るするか……)  」

 

 

       【セーブとロード】

 

   自室のベッドで眠るなど、日付が変わるとき

    ゲームの進行状態をセーブできます。

 

   また、調査中の待機モードで□ボタンを押すこと 

     でもデータのセーブやロードが可能です。

 

     イベントの進行中は、STARTボタンで

    データをロードしたりタイトル画面へ戻れます。

 

 

雨宮誠二

「  (今日はもう休もうか?)  」

 

これまでにやれることは全て終えてますので、

【休む】を選択して翌日へと時間を進めます。

 

ベッドに倒れこむと、すぐに目を閉じた。

 

夜行性の自分にしては早めの就寝だ。

少しもったいなくも感じる。

 

だが、夏休みはまだまだ長い。

 

1日くらい、愛海のために

サービスしてやってもいいだろう。

 

………………………………

 

 

翌日、愛海を連れて駅前までやってきた。

 

待ち合わせ相手の『薫ちゃん』の都合で、

時間はすでに夕刻近くだった。

 

とはいえ、真夏なので日はまだまだ高い。

 

 

雨宮誠二

「……来ないな」

 

雨宮誠二

「愛海、待ち合わせ場所はここでいいのか?」

 

雨宮愛海

「そのはずだけど……」

 

雨宮愛海

「薫ちゃん最近すごく忙しいし、

遅れちゃってるのかな」

 

雨宮誠二

「忙しいって、夏休みなのにか?」

 

雨宮愛海

「う、うん……ちょっとね……」

 

雨宮愛海

「薫ちゃんはその……特別だから……」

 

雨宮誠二

「特別?   何だそれは?」

 

雨宮愛海

「うぅぅ……それはヒミツなの……」

 

愛海は何か言いよどんでいた。

 

どうやら俺にも言えないことらしい。

 

女の声

「おはようございます」

 

その時、背中の方から

昼下がりに合わない挨拶が聞こえてきた。

 

雨宮誠二

「  (ん、この声は……)  」

 

雨宮愛海

「あっ、薫ちゃん

 

ゴシック服の少女

「愛海ちゃん、遅くなってごめんね」

 

ゴシック服の少女

「……あれ?」

 

少女の目が愛海からこちらへと移る。

 

ゴシック服の少女

「あなた、この間の……」

 

雨宮誠二

「おまえは……」

 

こんな目立つ服の女、忘れるわけがない。

 

ゴシック服の少女

「雨宮と聞いて、

まさかとは思ってたけど……」

 

ゴシック服の少女

「雨宮くんが愛海ちゃん自慢の

お兄ちゃんだったんだね、ビックリ」

 

雨宮誠二

「おい、『雨宮くん』ってなんだ 」  

 

雨宮誠二

「どう見ても俺のほうが年上だろうが」

 

ゴシック服の少女

「まあまあ、そんなことよりも……」

 

少女はこちらの文句には答えず、

興味深そうにじろじろと眺めている。

 

ゴシック服の少女

「未だに信じられないんだよね」

 

ゴシック服の少女

「こんなスラっとした身体で

あんな鋭い一撃を放つなんて……」

 

ゴシック服の少女

「あなた本当に人間?」 

 

雨宮誠二

「……いきなり何を言い出しやがる」

 

雨宮誠二

「人間じゃなかったら、

なんだって言うんだよ?」

 

ゴシック服の少女

「うーん、そうだね……」

 

ゴシック服の少女

「例えば旧軍が極秘で開発した

人型兵器の生き残りとか?」

 

ゴシック服の少女

「もしくはシェイプアップして

都会に適応した雪男の可能性も?」

 

ゴシック服の少女

「もしそうだったら感動ものだね。

サインもらっちゃう」

 

雨宮誠二

「……期待にそえなくて悪かったな」

 

見た目通り、普通の子ではないらしい。

 

ゴシック服の少女

「あっ、自己紹介まだだっけ」

 

ゴシック服の少女

 「あたしは葉月 薫  (はづき  かおる) 。

星真高校の2年生です 」

 

雨宮誠二

「セイシンって、あのお嬢様学校か」

 

名前だけは知っている。

 

俺と天生目の通う高校の近くにある、

名門私立の中高一貫校だ。

 

葉月薫

「一昨日は本当にありがとうね」

 

葉月薫

「それと先に逃げちゃってゴメン。

警察沙汰はまずかったから」

 

雨宮誠二

「何か後ろめたいことでもあるのか?」

 

葉月薫

「えっと、その……」

 

葉月薫

「ほら、補導とかされたら困るじゃない」

 

葉月薫

「夜の繁華街近くだったから

いろいろ勘ぐられそうだもの」

 

葉月薫

「あたし、格好も格好だからね」

 

雨宮誠二

「目立つ服だという自覚はあるんだな」

 

雨宮誠二

「トラブルは嫌なくせに、

なんでそんな恰好をしてる?」

 

葉月薫

「趣味だよ、趣味」

 

葉月薫

「アイドルの来瀬ももって知ってる?

あたし、あの子のファンなんだ」

 

葉月薫

「あの子の格好を真似たファンで、

通称『モモラー』ってやつ」

 

葉月薫

「いやぁ、ゴス服ってほんと素敵だよね」

 

私も筋金入りのゴス服大好きっ子ですので

これには心底から同意です。

というわけで、ここはとびきり明るい笑顔で

同意の意思を示します。

 

葉月薫

「ふふ、気に入ってくれたみたいだね」

 

葉月薫

「なんなら、雨宮くんも着てみる?

綺麗な顔だし、女装とか似合うと思うよ」

 

雨宮愛海

「わたしは薫ちゃんの服、大好き」

 

雨宮愛海

「いつか、薫ちゃんみたいな恰好したいな」

 

葉月薫

「それはすっごく楽しみだなぁ」

 

葉月薫

「愛海ちゃんとっても可愛いし、

あたしより似合うと思うよ、きっと」

 

雨宮愛海

「そうかな……そうだったらいいけど」

 

褒められた愛海は、照れながらも

嬉しそうにしていた。

 

人見知りの愛海にしては珍しい。

 

葉月薫

「愛海ちゃんってば可愛いなぁ」

 

そんな愛海の様子を見て、

葉月の方もにこにこしている。

 

雨宮誠二

「ずいぶん仲がいいんだな」

 

葉月薫

「愛海ちゃんと一緒に遊ぶようになって、

ずいぶんと経つから」

 

葉月薫

「最初は確か、ゆりのところで

愛海ちゃんと出会ったんだよね」

 

葉月薫

「確か2年前くらいだったっけ」

 

雨宮愛海

「うん、そのくらい」

 

雨宮愛海

「まだお兄ちゃんが家族になる前だし、

わたしはひとりが多かったの」

 

雨宮愛海

「そのときに薫ちゃんはね、

たくさん遊んでくれたんだ」

 

雨宮愛海

「ゆりちゃんと一緒に……」

 

不意に声が小さくなると、

愛海はヘッドホンを撫でた。

 

雨宮愛海

「ねえ、薫ちゃん。

ゆりちゃんにあげるお花を探しに行こ」

 

葉月薫

「そうしよっか」

 

葉月薫

「でも愛海ちゃんご希望の、

八真都神宮はちょっとマズいね」

 

 

葉月薫

「変な事件があったせいでね、

今日は警備が厳しくって……」

 

葉月薫

「こっそり探索するの難しいかも」

 

雨宮愛海

「えっ、こっそり?」

 

葉月薫

「いや……えっと……その……」

 

葉月薫

「公園のお花は勝手に取っちゃダメだよ。

みんなのために育ててるんだから」

 

葉月薫

「その代わりなんだけど、

素敵なお花屋さんを紹介したげる」

 

葉月薫

「あたしがゆりに供える花を

いつも買ってる所だよ」

 

葉月薫

「ほら、いまから一緒に見に行こ」

 

雨宮愛海

「うん……わかった、そうする」

 

雨宮愛海

「お兄ちゃんと薫ちゃんとお店に見に行く

 

花屋は歩いて5分もかからない場所にあった。

 

たくさんの花を目の前にすると、

愛海はご機嫌になって目を輝かせる。

 

葉月とあれこれ相談し、迷いに迷ったあと、

たくさんの季節の花を包んでもらった。

 

雨宮愛海

「お花、たくさん買えてよかった

 

雨宮愛海

「薫ちゃん、お兄ちゃん、

一緒に来てくれてどうもありがとう」

 

葉月薫

「どういたしまして。

いいお花が見つかって本当によかった」

 

葉月薫

「あ……いけない。そろそろ時間だ。

あたし行かないと」

 

雨宮愛海

「えっ、もう帰っちゃうの?」

 

雨宮愛海

「これから、みんなでお花お供えに行こうと

思ってたのに……」

 

葉月薫

「あー……ごめん」

 

葉月薫

「行きたいんだけど、ちょっと忙しくて。

これから予定入ってるんだ」

 

雨宮愛海

「あっ、そうか。もうすぐライ……」

 

雨宮愛海

「あっ……じゃなくて、ええと……」

 

葉月薫

「ごめんね、今度必ず付き合うから」

 

葉月薫

「それじゃあまたね」

 

雨宮愛海

「薫ちゃんと一緒にお供えしたかったな……」

 

雨宮愛海

「だけど、今日忙しいのに来てくれたんだよね。

ゆりちゃんのために」

 

雨宮誠二

「機会なんてまたあるだろ。

花は何度供えたっていい」

 

雨宮愛海

「うん……そうだね

 

雨宮愛海

「ねえ、お兄ちゃん。

お供えに行く前におかあさんのお店に寄ろう」

 

 

雨宮愛海

「お花、おかあさんにも見せてあげたいの」

 

雨宮那津美

「あら、おかえりなさい」

 

黒兎のドアを開けると、

那津美さんが出迎えてくれた。

 

そして、もうひとり。

 

天生目聖司

「やあ、愛海ちゃん。こんにちは」

 

天生目聖司

「奈津美さんから聞いたよ。

今日はお兄ちゃんとデートだって?」

 

雨宮愛海

「もう、おかあさん

 

雨宮愛海

「デートだなんて言わないでよ……恥ずかしい」

 

雨宮那津美

「ふふ、いいじゃない。

素敵なお花も見つかったみたいだし」

 

雨宮那津美

「愛海に付き合ってくれてどうもありがとう、

誠二くん」

 

雨宮那津美

「天生目くん、ふたりも帰ってきたことだし

少し休憩してもいいかしら?」

 

天生目聖司

「ええ、もちろんです」

 

雨宮誠二

「天生目、なにをしに来たんだ?」

 

天生目聖司

「なに、近くまで来たから花を愛でにね」

 

雨宮那津美

「天生目くんにパソコンの使い方を

教えてもらっていたのよ」

 

雨宮那津美

「普段は文書の作成しかしないし、

ネットには詳しくないから助かったわ」

 

天生目聖司

「この程度のことなら

いつでもお教えしますよ」

 

天生目聖司

「……ところで愛海ちゃん」

 

天生目聖司

「その綺麗な花束はもしや、

お母さんへのプレゼントかな?」

 

雨宮愛海

「えっと、そうじゃないんだ……」

 

雨宮愛海

「これはね、お友だちのために選んだの。

喜んでくれるといいなと思って」

 

天生目聖司

「なるほど愛海ちゃんのお友だちか。

とても素敵な女の子なんだろうね」

 

天生目聖司

「きっと気に入ってくれると思うよ」

 

雨宮愛海

「そうだといいな」

 

雨宮愛海

「……あれ?」

 

雨宮愛海

「お花、ちょっとしおれてる……」

 

雨宮那津美

「しばらく水に挿しておけばきっと大丈夫。

すぐ元気になるわ」

 

雨宮那津美

「それに、水にお薬を溶かしておくと

枯れにくくなるわよ」

 

雨宮愛海

「そのお薬、使いたい

 

雨宮愛海

「おかあさん、やり方教えて」

 

雨宮那津美

「じゃあ、一緒にやってみましょうか」

 

雨宮那津美

「こっちへいらっしゃい」

 

 

愛海は那津美さんと一緒に

奥のキッチンへと消えていった。

 

天生目聖司

「……で、なんでまた花を買うのに

キミが付き合ってるんだ」

 

天生目聖司

「ガラにもないことをしたもんだね。

暑さで具合でも悪いのかい?」

 

雨宮誠二

「うるさいな、単なる暇つぶしだ」

 

昨日の夜から今までにあったことを

天生目に話してやった。

 

天生目聖司

「……へぇ、そいつは驚きだな」

 

雨宮誠二

「しつこいヤツだな。

そんなに俺と花の組み合わせが珍しいか」

 

天生目聖司

「それもあるけど、びっくりしたのは

葉月って女の子の方だ」

 

天生目聖司

「たしか丸橋がキミにやられる

原因になった子だよな」

 

天生目聖司

「その子が愛海ちゃんの友達だったとは

なかなか劇的だね」

 

雨宮誠二

「たまたまだろ」

 

天生目聖司

「世間ではそれを『縁がある』って言うのさ」

 

天生目聖司

「で、その子と話してみて印象はどうだった?」

 

印象としては悪くないどころか

好感持てる感じだったので、笑顔全開で。

 

天生目聖司

「なんだい、そのニヤケ顔は。

キミらしくもないぜ」

 

天生目聖司

「そういや、交通事故に遭った

高村ゆりって子だけど……」

 

天生目聖司

「現場の高架下が組事務所の近くだから、

よく覚えてるよ」

 

天生目聖司

「たしか犯人は捕まってないんだっけ」

 

雨宮誠二

「ああ、そうらしいな」

 

天生目聖司

「あそこの高架下、抜け道として便利だろ」

 

天生目聖司

「だから意外と交通量があるらしくってね」

 

天生目聖司

「死者が出たのは初めてだけど、

事故だけならここ1年で数件起きてる」

 

昨晩通った高架下の光景を思い出す。

 

道幅のないあの場所だと

車をかわすのにも一苦労しそうだ。

 

雨宮誠二

「だが、年に数件は多いな」

 

天生目聖司

「そうかもしれないね」

 

天生目聖司

「だからクラスの女子なんかは、

『呪われた高架下』なんて噂してる」

 

天生目聖司

「ま、不愛想で人付き合いの悪いキミは、

そんな噂なんて知らないだろうけど」

 

天生目聖司

「話してたら、改めて興味が湧いてきたな」

 

天生目聖司

「ちょっと調べてみるか……」

 

天生目が、カウンターのノートパソコンを

操作し始める。

 

すぐにニュースサイトの画面が表示された。

 

天生目聖司

「ああ、これだ」

 

天生目聖司

「6月30日、吉走寺の花咲町でひき逃げ。

亡くなったのは高村ゆりさん、15才」

 

記事の扱いはかなり小さく、

目新しい情報も見当たらない。

 

天生目聖司

「たったこれだけか。

他に、なにか……」

 

ニュースサイトをいくつかチェックしたが、

どこも似たような内容ばかりだ。

 

天生目聖司

「ふむ……だったら……」

 

天生目聖司

「神座区の交通事故を語ってる

掲示板を追ってみて、と……」

 

天生目聖司

「よし、引っかかったぞ」

 

画面を覗き込むと、パステルカラーの

ウェブページが表示されていた。

 

プロフィールという大きな見出しがあり、

その下には『Yuri』と書かれている。

 

雨宮誠二

「これは高村ゆりの……?」

 

天生目聖司

「そうかもしれない」

 

天生目聖司

「おっ、日記も書いてるみたいだ。

さっそく中身を見てみようじゃないか」

 

天生目の操作でページが切り替わり、

日付ごとにまとまった文書が表示される。

 

学校の話、友だちの話、親の話、

とりとめのない内容が書かれていた。

 

天生目聖司

「今日は同じマンションのAちゃん

親友の、3人で遊んだ……か」

 

雨宮誠二

は愛海、は葉月薫のことだろうな」

 

天生目聖司

「僕らの知る情報と共通項が多いのは確かだね」

 

天生目聖司

「見ろ、この日以外にも、

AちゃんとKはたびたび登場してる」

 

天生目聖司

「ずいぶんとマメに日記を書いているな。

……この日が最後か」

 

日付は約1ヶ月前……

高村ゆりが死んだ、2日前だ。

 

 

高村ゆりの日記

1999年   6月26日  (月)  

 

高村ゆりの日記

Aちゃん、今日も私のプレゼントした

ヘッドホンをつけていた。

 

高村ゆりの日記

いつも来瀬ももの曲を聞いてるみたい。

 

高村ゆりの日記

今日は私の前でワンダーラビッツを

熱唱してくれた。

 

高村ゆりの日記

Kにも聞かせてあげたかったな。

絶対に大喜びしたはずだし。

 

高村ゆりの日記

そういえば今日、学校の帰りに

家の前で変なものを拾った。

 

高村ゆりの日記

        黒い紙の葉書だ。

 

高村ゆりの日記

裏にはなぞなぞが書いてあったけど、

分からなかったー ><

 

高村ゆりの日記

うーん、誰かのイタズラかな?

 

高村ゆりの日記

……なんて書いてたら、

いつもの笛の音が聞こえてきた。

 

高村ゆりの日記

夜に練習されるのは困るけど、

とっても綺麗な音色。

 

高村ゆりの日記

聞いてると心が安らいできた。

今日は何とか眠れそう。

 

高村ゆりの日記

おやすみなさい(^^)

 

……日記はここまでだ。

 

天生目聖司

「どうにも平凡な内容だ。

期待外れでつまらない」

 

天生目聖司

「誠二、気になったことはあるかい?」

 

【ヘッドホン】

【黒い紙の葉書】★

【笛の音】

 

 

うーんん……やっぱり、葉書、ですよねぇ。

自分たちも同じ葉書を拾ってますし。

日記に書かれた黒い紙の葉書との

因果関係が、なあ……。

 

天生目聖司

「たしかに妙な葉書だな」

 

天生目聖司

「葉書は明るい色が普通だ。

郵便番号を機械に読み取らせる都合上ね」

 

雨宮誠二

「その黒い葉書なんだが、

うちの前にも置いてあったぞ」

 

雨宮誠二

「なぞなぞが書いてあったのも同じだ」

 

天生目聖司

「ふーむ……」

 

天生目聖司

「那津美さんのマンションと

キミのアパートは近かったよな」

 

天生目聖司

「手口の類似性からするに、

同一の愉快犯の仕業だろうね」

 

天生目聖司

「犯人はきっと子供だよ。なぞなぞだし」

 

雨宮誠二

「そう……だよな」

 

天生目聖司

「……うーん、何度読んでも

事件性ってほどのものは感じられないな」

 

雨宮誠二

「どんな内容を期待してたんだよ」

 

天生目聖司

「『誰かから脅迫状が届いた』とか、

『怪しい奴につけられている』とかだよ」

 

天生目聖司

「そういうのがあると、想像が膨らむだろ」

 

天生目聖司

「実は事故に見せかけた殺人だった、

なんて盛り上がる展開だ」

 

雨宮誠二

「悪趣味だな、おまえは」

 

天生目聖司

「謎に満ちた他人事の死は、

誰にとってもエンタテインメントさ」

 

天生目聖司

「でなきゃ、ミステリー小説が

あんなに売れるわけない」

 

……こいつはそういう男だ。

 

甘いマスクの裏にある本性は

真っ黒で、なおかつひん曲がっている。
 

天生目聖司

「さて、僕はそろそろ帰るよ。

こう見えてなかなか忙しくてね」

 

天生目聖司

「残念ながら、今日はもう

那津美さんは相手をしてくれそうにない」

 

雨宮誠二

「そっちが本音か」 

 

天生目聖司

「どうとってくれても構わない。

ふたりにはよろしく伝えておいてくれ」

 

天生目聖司

「……と、そうだ。

これ、よかったら飲んでくれ」

 

雨宮誠二

「『ドリアンソーダ』か……」

 

天生目聖司

「今度感想を聞かせてくれよ。それじゃ」

 

天生目はあっさり出て行った。

 

キッチンからは、那津美さんと愛海の

楽しそうな声が聞こえる。

 

暇つぶしに店内を掃除していると、

あっという間に店を開ける時間になった。

 

……開店時間は過ぎたが客はこない。

 

そのせいもあって、那津美さんたちは

奥に引っ込んだままだ。

 

つくづくマイペースな経営だと思う。

 

愛海と那津美さんを待つ間、

ぼんやりとテレビを眺めていた……

 

偶然、例のアイドル『来瀬もも』の

出ている番組がやっていた。

 

レポーター

「……それで、ももちゃん」

 

レポーター

「来週からの『夜の大降霊ミニライブ』、

自信はどうなのかな?」

 

来瀬もも

「うふふ、そうですね」

 

来瀬もも

「小規模とはいえ、野外ライブは

初めてですから緊張しますけど……」

 

来瀬もも

「私の声が天国地獄にも届くよう、

全力で歌う所存でございます」

 

来瀬もも

「お盆にはまだ早いですけれど、

大勢の霊が来てくれると良いですね」

 

ゴシックファッションの

銀髪の少女が静かに喋っている。

 

グラビア雑誌で見た

来瀬ももとかいうアイドルだ。

 

来瀬もも

「神座区の八真都神宮で開かれる

『夏の大降霊ミニライブ』……」

 

来瀬もも

「生きているお客様も死んでるホトケ様も

共に楽しんでくださいね」

 

たしかにオカルトアイドルらしく、

発言がオカルトがかっていた。

 

愛海はこいつのファンらしい……

 

雨宮誠二

「  (悪い影響を受けなきゃいいがな)  」

 

ようやくキッチンから2人が出てきた。

 

雨宮那津美

「誠二くん、お待たせ」

 

雨宮那津美

「愛海、お花が元気になってよかったわね」

 

雨宮愛海

「うん、ゆりちゃんも喜んでくれると思う」

 

愛海は満面の笑みを浮かべていた。

 

ちょうど場面転換が入りそうですので。

今回はここまでとさせていただきます。

お会いいたしましょう(* ᴗ͈ˬᴗ͈)”