恋心と悪心 前の続きです。そちらから呼んでいただけると嬉しいです


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抱きつかれているとき、初めて感じるよく分からない感情を抱いていた


泣き止んだのか、ゆっくりと顔を上げた田村さんの目は真っ赤で苦しそうで、、


「肩、濡らしちゃった、、ほんまにごめん、」

「大丈夫だよ」

「あ、ハンカチ買って返すな?」

「大丈夫、」

「なあ、保乃、、これからどうしたらいいと思う、」

「私が守る」

「、、、」

「だめ、、かな、」






田村side




私のことを守ってくれる


そう言ったひかるちゃんの目は嘘をついているようには思えなかった、けどクラス替えのないこの高校で2年になるまでほぼ喋ったことがない


そんな子が急に保乃のことを守るなんて、


「ひかるちゃん」

「ん、?」

「嬉しいよ、?嬉しいけど、ひかるちゃんまでほのみたいになったら、どうすればいいか、分からん、だから、嬉しいけど」

「でも、、田村さんのこと、」

「、、わかった、保乃が本当に助けてほしい時は助けて、?でもそれ以外の時はみんなの前では保乃たちは喋らない」

「でも、」

「わかるやろ、?」



納得がいかない様子だったけど、何とか納得してくれたらしい


何故ひかるちゃんが保乃のことを助けてくれようとするのか、助けてくれると言った時ひかるちゃんが涙目だったのには理由があるのか


不安と恐怖、他の言い表せない感情に私はどうしたらいいのかがわからなくなった





森田side



田村さんが泣いて、私が田村さんのことを守りたくなって、説得したくて、そんなことをしていたら放課の時間になってしまった


私たちは連絡先を交換して、家に帰った


次の日から、田村さんと目が合うことが多くなった


ある日、田村さんが昼休みにまたあの人に呼ばれた


皆の前で話しかけるな、なんて言われたらさすがに私もついていけない


しかし、5時間目も終わりに近づているのに田村さんは帰ってこない。あの人は何も無かった、そんな顔をして授業を受けている


何も無いはずがない


放課した後校舎内を思い当たるところ全て探した、池、使われていない教室、トイレ、だけど田村さんはどこにもいなかった


結局私は大人しく帰ることにした




「え、、」



沢山探し回って、見つからなくて苦しかった帰り道に私が目にしたのはベンチとショボイ滑り台しかない公園で田村さんと、誰かが仲良さそうに話しているところだった


信じられない、悲しい、許せない、私が見た事のない笑顔で田村さんは笑っている。私が覚えているのは怒りのような感情と田村さんの楽しそうな表情だけ



いつの間にか私は、、眠っていて、目覚めた最初に目に入ったのは田村さんと笑っていた人と田村さんだった


田村さんは心配そうな表情をしているのに、あの子は怖い、笑顔でこっちをみていた