その方は舞台のすそから右足を引きづり、何とも頼りなげに舞台中央に置かれたピアノにやっとの思いでたどり着く。
その足取りは、見ているコチラが不安になる。
一たび演奏が始まると、ピアノで音楽を伝えるのに、腕の1本も、2本も関係ない。
それどころか、ピアノが片手で奏でることがあたかも自然な楽器であるかのようだった。
音の深さ、説得力。
数年前にあのスクリャービンのノクターンの動画見つけてから、
『絶対聴きにいくんだ!』
…と強く思い続けていて、ようやく叶った感動。。
涙が止まりませんでした。
そして、『サムライ』が深く印象に残っています。
『サムライ』を弾いてらっしゃるときに、私から見ても…
『あれっ?どうしたのかな…?』
と。少し手許が震え、同じフレーズを反芻しているようにも感じましたが、現代曲なので曲も知らなかったので特に気にしていませんでした。
全ての演奏が終わり、アンコール。
マイクを持たれ、お声を聴くことができました。
『母に捧げる子守歌』
作曲家の塚本さん。お母様を亡くされたそうで、そのお母様を想い、作られたという曲。
明るくて、凛として、あたたかくて…
その作曲家の方さえお恥ずかしながら知りませんが、お母様の人柄、お母様への想いが…
音楽から伝わってきて…またまた涙。。
素晴らしい音楽を聴かせていただきました。
2曲目は…
なんと、『サムライ』でした。
一部で演奏された曲。
この作曲家の光永さん、熊本の方ということで…演奏しながら『どうしているかな…。大変だろうな…』と思ったらおかしくなっちゃったのでもう一度弾きます…と、舘野さん、声を詰まらせ、目頭をおさえながらお話され…。
譜面を置いてではありましたが、圧巻の凛とした演奏…。深い音色、音楽…。
手に取るように伝わる舘野さんの『音楽をするんだ!』という強い意志…。
ご自身がピアノと音楽と一体になってらっしゃるご様子…。
もう、涙が止まりませんでした…。
79歳にして、現役…
普通でも、それだけでもすごいことなのに…
テクニックはもちろんですが、更にあのお年だからこそ、より深く伝えられるもの、説得力、その方の生き様、お人柄…
そういったもの全てが総合してあの感動を生むのだろうな…と。
素晴らしいピアニストの演奏を生で聴けた幸せに感謝…
ぜひ、あの感動を機会がありましたら会場で…。
本当に本当に…素晴らしかったです。
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⭐︎『ピアニストの本たちと舘野泉さん』記事
ドロン。