「たくさんの人に迷惑をかけるのはよくないけど、俺たちぐらいにはいいんじゃない？」

向かい側のソファーに脚を組んで座ってるJが言ってくれる言葉が、せめてもの救いで。

「ニノはいっつも自分のことは後回しだから、少しぐらいは甘えてもいいよ」

「そうだぞ、潤。少しぐらいはわがまま言っても良いんだからな」

「は？俺！？」

Jの隣に座り直した翔さんが真っ直ぐJを見ながらそう言ったら、急に話の矛先が自分に向けられたもんだから、すごいビックリしてた。

「まったく、うちの弟たちはまだまだ手がかかりますなあ～。ねえ？智くん」

「んふふ。そうだね、翔くんもかわいいよ」

「えっ！俺！？」

急に話題を振られて慌てるかと思われた大野さんだけど、意外と余裕の構えを見せて、逆に翔さんを焦らせた。

Jと同じ反応をしたのが面白くて、思わずクスリと笑ってしまった。

そんな感じで一時はピリピリムードだった控室が、いつもののほほんとした雰囲気に変わったと思われたのに、いつもならその筆頭である相葉さんによって一刀両断された。

「翔ちゃんも松潤も、ニノをあんまり甘やかさないでくんない？」

ピリッとした雰囲気でいつもの相葉さんとは様子が違って見える。

相葉さんの不機嫌は最高潮で、普段の温厚な相葉さんからは想像もつかないほどだった。

「大体さぁ、ニノはいつだってそうじゃん。こっちがいくら言ったって大丈夫、大丈夫ってかわしといて、結局こうなってさ。みんなに迷惑かけて。なに？俺らにそんなに心配されたいワケ？そうやって気を引いて、一体どうしたいの？」

捲し立てるように一気に話す相葉さんの言葉が、いちいち突き刺さる。

「…相葉くん？」

いつもと違う様子に翔さんも戸惑ってる。

こんな言い方、相葉さんらしくない。

「もうさ、勝手にしたら？

俺らがいくら言ったって、どうせ聞きゃしないんだからさ、言うだけ無駄じゃん。言って、言う事聞いてくんなくてやきもきするだけ損だよ」

「相葉くん！」

翔さんが相葉くんを諫めようと強めに声を掛けても、相葉さんは止まらない。

こんなに饒舌になるなんて…。

「俺らに心配されんの迷惑なんでしょ？いっつも迷惑そうな顔してたもんねぇ」

「相葉さん、やめなよ」

後ろからJが相葉さんの腕をとっても、それを振り払う。

「ごめんね、今までウザくて」

「相葉くん…」

翔さんは悲痛な顔をして、相葉さんを見ている。

「もうしないから安心してよ」

片側の口角だけをあげて笑った。

あ。

斬られた。

今、俺、バッサリやられちゃったよね。

最後通告、じゃなくて、もう駄目だって。

相葉さんは、俺を、切り捨てた…。

優しくって少しバカ４（にのあい）