「………ん」

 
 

うっすらとカーテンから漏れる眩い光に起こされ、目を開ける。

 
 

「んん…、んぅ~~~~…」

 
 

ズルリと布団から体を起こしてみると、寝る前と比べるとかなり体が軽い。

 

枕元にあった体温計で測ってみても平熱に戻っていて、どうやらインフルエンザ疑惑は晴れたようだ。

 

喉の痛みや頭痛もないし、やっぱり疲れが溜まってたのかも。

 
 

「よかったぁ~…」

 
 

ホッと胸をなでおろして大きく伸びをし、寝すぎで固まった体をほぐす。

 

あんなに早い時間に就寝したのなんて、一体いつぶりだろう。

 

いつもは隣にいるはずの雅紀の姿がなくて、リビングからテレビの音声が聞こえてくる。

 
 

『今日の星占いランキング~ぅ』

 
 

携帯の時間を確認すると、8時前だった。

 

早っ!

いつもならまだ全然寝てる時間じゃん。

 
 

『5位は、みずがめ座のあなた~。体調を崩しやすいかも、自宅でまったりしてみて。

ラッキーアイテムはベージュのシーツ』

 
 

ボリボリ、と背中を掻いて、何気なく見たベッドのシーツはベージュだった。

そして気づいたことがひとつ。

 

……あれ?俺、着替えてる?

 

寝る時に着ていたものと、今身に付けている服が違う気がする。

まあいいか。

 

立ち上がって、リビングの方に向かって歩き出す。

 

うん。

 

やっぱり昨日と全然体が違う。

 
 

『1位は、やぎ座のあなたでーす。今日は年上の人とお話するといいことあるかも。

ラッキーアイテムはグレーのジョガーパンツ』

 
 

「…はよ」

 

「おはよ、しょーちゃん。具合はどう?」

 
 

今度は腹を掻きながらリビングに行くと、ソファーでテレビを見ていた雅紀が振り返って挨拶を返す。

 

そんな雅紀のパジャマは白いワッフル地のロンティーにグレーのジョガーパンツ。

 
 

「おう。完全復活。とりあえずシャワー行って来る」

 
 

回復したことを示すように力こぶを作って見せて、洗面所へ向かった。