ある夢を見た。
誰も乗っていない、いつものバスの中。
一番後ろから二番目、左側の窓の隣で僕は外を見ている。
外は綺麗な夜だった。
街灯やネオンの流れを、僕はゆっくりと眺めている。
BGMも無く、静かな夜の街をゆっくりゆっくり、走って行く。
僕はどこに行くのだろう。
家の前のバス停でバスが止まる。
ドアが開く。
僕は外を見ている。ただただ、ゆっくりと。
ドアが閉まり、また走り始める。
「ここじゃないんだ」
ゆっくりゆっくり走り続けるバス。ただただ外を眺める僕。
ずいぶん走って、またバスが止まった。
よく知っているバス停だった。
「やっぱり、ここだった」
ドアが開き、1人の女性が入って来た。
顔はぼやけていて、誰かはわからない。
でもその人は、こっちを向き、手を振っていた。
僕も、手を振っていた。ゆっくりと。
きっと、力はいれてないだろう。なぜか自然と、笑顔になっていた。
その人は、僕の隣に歩いてくる。
僕は、それを待っている。
ゆっくりと、手を振りながら。
笑顔で。
笑顔で…。