(語句)
穩密全真、當頭取證、涉流轉物、直下承當。
(問答)
道吾與漸源、至一家弔慰。源拍棺云、生邪、死邪。吾云、生也不道、死也不道。源云、為什麼不道。吾云、不道不道。回至中路、源云、和尚快與某甲道。若不道、打和尚去也。吾云、打即任打、道即不道。源便打。
後道吾遷化。源到石霜舉似前話。霜云、生也不道、死也不道。源云、為什麼不道。霜云、不道不道。源於言下有省。源一日將鍬子於法堂上、從東過西、從西過東。霜云、作什麼。源云、覓先師靈骨。霜云、洪波浩渺、白浪滔天。覓什麼先師靈骨。雪竇著語云、蒼天蒼天。源云、正好著力。太原孚云、先師靈骨猶在。
(語釈)
・穩密 wěn mì …奥深く隠されている
・當頭 dāng tóu …即座に
・取證 qǔ zhèng …さとる、わかる
・涉流轉物 shè liú zhuǎn wù…万物の中でともに流転していく
・直下 zhí xià …ただちに
・承當 chéng dāng …受け止める、自分事とする
・道吾 dào wú …禅匠の名
・與 yǔ …~といっしょに、ともに
・漸源 jiàn yuán …禅匠の名
・云 yún …言う、述べる
・邪 xié …(助辞)~か?(疑問を表す)
・道 dào …言う、述べる
・為什麼 wèi shén me…どうして、なぜ
・快 kuài …すぐに
・某甲 mǒu jiǎ …わたくし(自身に対する謙称)
・若 ruò …もしも
・遷化 qiān huà …生を終え天に帰る、死ぬ
・石霜 shí shuāng …禅匠の名
・於言下 yú yán xià …その一言のもとで、その一言を言われるやいなや
・將 jiāng …~をもって
・鍬子 qiāo zǐ …くわ
・作什麼 zuò shén me …なにをしている
・覓 mì …求める、探す
・洪波 hóng bō …大波
・浩渺 hào miǎo …広大で巨大な様子
・滔天 tāo tiān …天に満ちるほどの大きさ
・雪竇 xuě dòu …禅匠の名
・著語 zhe yǔ …考えを述べる、コメントする
・蒼天 cāng tiān …ああ(嘆息の言葉)
・著力 zhe lì …全力を尽くす
・太原孚 tài yuán fú …禅匠の名
(訳)
隠されている真理がまるまる露わになり、そこで直下に悟りの体験をする。あらゆる人、物とともに流転していきながら、そこで自分のこととして引き受ける。
道吾と漸源は、ある家に弔いのために出向いた。漸源は、棺をたたいて言う、「生きているのでしょうか、死んでいるのでしょうか」。道吾は言う、「生だとも言えない、死だとも言えない」。漸源は言う、「どうして言えないのです」。漸源は言う、「いや、言えない、言えない」。弔いを終え戻る途中で、漸源が言う、「和尚様、私に言ってください。もし言って下さらなければ、和尚様を打ちます」。道吾が言う、「打つというなら打つに任せよう、だが言えということについては言わない」。そこで漸源は道吾を打った。
後に道吾はなくなった。漸源は石霜のところに出向き先ほどの出来事を話した。石霜が言う、「生だとも言えない、死だとも言えない」。漸源は言う、「どうして言えないのです」。石霜は言う、「いや、言えない、言えない」。漸源はそこでいささかかえりみることがあった。
あるとき漸源が鍬を手に持ち、法堂を東から西へ、西から東へと走りすぎていった。石霜が言う、「何をしている」。漸源が言う、「なくなった道吾師匠の霊を尋ねているのです」。石霜が言う、「天地の間はかくも広大だ、どこに先師の霊を求めようとするのか」。(雪竇がここまでの話を聞いて自らの考えをさしはさむ。「あの天の彼方だ、天の彼方だ」)。漸源が言う、「ただ努力をするだけです」。(太原孚がここまでの話を聞いて自らの考えをさしはさむ。「道吾の霊はちゃんと今でもここにある」)。
(解説)
禅では、まったく同じ文言で対話を重ねることが多い。ここでも、漸源が道吾に尋ねそして得た文言が、漸源と石霜との間に繰り返されている。漸源にとっては、同じ文言の問答は二度目のはずだが、一度目と二度目の問答では、漸源の内面が違う。漸源は同じ文言でも、その文言を二度目の時に内面から体験し一体となり、わかったのである。









