先日、『日曜美術館』という番組を見ました。
婦人画報で智と対談した山口晃さんの回の再放送です。
水戸芸術館での個展で展示された新作「ショッピングモール」の制作過程を追いながら、生い立ちや絵に対する想いを取材したもので、とても興味深く見ていました。
婦人画報の見出しにもなった「描くことは怖い」についても話していました。

真っ白なキャンバスには100%の可能性がある。
そこに筆を入れることでその可能性が90%になり80%になっていく。
描くことは可能性を潰していくことなんだ。
(ニュアンス)

描くことを生業としている人の感覚だなぁと思うと同時に、智が描けなくなったときももしかしたら、こんな「怖さ」を意識するようになっていたのかな、と。

あの対談では智が積極的に質問をしていて、抱えていた疑問や不安を、専門家の言葉をもらうことで解消しようとしていたように感じました。
番組で取材を受ける山口さんは、穏やかな口調だけれど鋭い見解があって(素人のわたしが聞いても分かりやすく)、誌面に載らなかった部分でも、きっと刺激的な話を聞けたのではないかなと勝手に想像しています。



今日発売の美術手帖では、真新しいコメントはないものの、1回目の個展から2回目の個展に至るまでの経緯、心境の変化が上手くまとまっていて、これ1冊でいつでも振り返ることができそうです。一番詳しく書かれているのは作品集だけど、要約してくれているのが美術手帖、という感じ。
そして、いろいろな葛藤や作風の変化はあったけれど、ひたむきに作品に向き合う姿勢は変わらないということも改めてよくわかります。

最後には奈良さんからのコメントが寄せられています。
インタビューは別々だったはずだけど、所々でお互いのコメントがリンクしているのが面白い。

途中、良いのか悪いのかわからなくなりながらも「納得のいくものが出来た」というパグの絵を、「卒業制作のよう」と表現する奈良さん。
本当に、美大生と先生のような距離感なんですね。
智くらいの年齢で、そういう存在の人と出逢えるって羨ましい。これも人柄ゆえ、なんだろうな。