邦画「見えない目撃者」
(2019,主演:吉岡里帆)

【あらすじ】韓国映画「ブラインド」をリメイクしたスリラー。

事故で弟と視力を共に失った優秀な警察学校卒業生のなつめ(吉岡里帆)は、数年後、失意の日々の中で偶然、不審な車の中から女子高生の助けを求める声を聞き目撃者となる。

誘拐だと確信し彼女の中の眠っていた正義感が目覚め、同じ目撃者である高校生の春馬(高杉真宙)と共に事件の真相に迫ることに!

犯人が分かってからの展開がスピーディーでめちゃくちゃ面白かった!

★地下鉄で犯人に追われるなつめが、
カメラで自身の立ち位置や周辺をTV通話で春馬に見せ、逃げる方向を導いてもらうシーンが本作の一番の見所だと思う!!

なつめから送られる映像を見ながら、
「二時に駅員室、九時に出口」と言ったように、時計の羅針盤で場所を指示する春馬

2人と一匹のチームワークが素晴らしい👏

見えてても怖いのに見えないって💦と思って見ていたが、逆に?見えない方が怖くないのか?なんて勝手に思ったりして🤔

私の精神なら、どちらでも諦めていたと思う。
けれど、なつめは恐怖よりも助けたい、という思いが勝っている警察学校を主席で出ただけのことはあります!

盲導犬を連れた視覚障害者の方が電車を利用していて、痛ましい事故に遭われるニュースをよく耳にするが、駅構内は勿論、もっと街全体に声の案内があったら、と思わずにいられない。
もちろん、困ったら助け合うという心、という人間の基本の概念がちゃんとあることが大前提だけれど。

綴じかかったエレベーターにするりと入ってきて、盲導犬のパルにしつこく噛みつかれながらも無表情で追い払い怪我をさせる犯人(浅香航大)のお芝居も素晴らしい。
背も高くスラッとしているのも様になってた。

最後の対決では、この彼の長い足をなつめが柔道技で床に叩きつけるところがあるのだが、痛快!
吉岡里帆さん見事です⭐

また、吉岡さんは間違いなく格好良すぎる役を演じてらっしゃるんだけど、その正義感が暑苦しくないのが凄く良かった。
あくまでも、静かな炎を燃やし、自分の心に問いかけ続けている感じで。

クズすぎる犯人へも、「私はあなたとは違う!」と否定しただけで、それ以上言わなかったし、
自分の家に帰らない女子高生たちにも説教じみたことを言ったりしなかった。

「泊まるところがないなら私の家にに来ないか」と提案はしたけど、ふだん下心なしに親切にされたことがない女子高生が驚いて少し笑っちゃっていたのは、そんな時代なのかな〜とリアルな寂しさを感じた。

色々な感覚が優れており、何より精神力が強すぎるなつめだが、あくまで等身大の女性として描かれていた。
最後に刑事に復職する、ということもなかったし。新鮮でした!

女子高生達を誘拐監禁してバラバラ殺人をするなんて、犯人の日下部は警官としても人としても最低最悪すぎるが、

彼は高校生の時に、今回、自分が犯した事件とほぼ同じ残虐な事件の目撃者になった瞬間、その世界に心酔してしまった。

元々、そういう素質があったからこそ、助けも呼ばす犯行のビデオを撮っていたんだろうが、彼がそうした性癖に目覚める機会を与えられたことは不幸なことだと思う叫び

もし、日下部が模倣した第一の事件が起こらなければ、それを見ないですんだらどうだったのかと…?

主人公を際立たせるためか、他の刑事(田口トモロヲ大倉孝二)がポンコツすぎるが、
定年間近の木村刑事を演じたトモロヲさんは特に良かったです。

吉岡里帆さんに関しても、彼女のラジオを数回聴いてあまりに話し方が心地良くて感動したのですが、トモロヲさんも勿論、声のプロなので喋りが心地よい方。
なので、本作に凄く適したキャスティングだと思う。
なつめの立場になって想像してみたら、トモロヲさんが相槌してくれたら安心しますよねおねがい

そして、声の良さといえば、出演部分は少ないですが、リタイアした刑事として登場した國村隼さんも素敵でした🎤

この2人の刑事さんには共通の使命感があった。
困っている人々を助けたい、というもの。
特に木村刑事は、なつめの影響を強く受け、その思いが強くなったのがよく分かった。

尊い思い。

誘拐された少女の友達だって、どう見てもその交友関係は希薄そうだが、それでも無事でいて欲しいとなつめに協力した。
彼女たちは馬鹿だけど、不器用なだけ。

親から関心を持たれていなかった春馬もある意味、少女たちと紙一重だったのかもしれない。

それを言うならば、人生に絶望して死のうとしたりしていた、なつめ自身も、そう言えるのかもしれません。

でも、なつめは正しい道を歩めた。
それは、彼女を思いやる母(松田美由紀)の存在はもちろんですが、やはり一番は春馬に出会えたことが大きいと思う。

弟が亡くなった時と同じ年頃の青年の春馬は、
なつめを信じ、行動を共にし、
「全部一人でやれてる。あんたはスゴイ」と素直に認めてくれました。

そして、刑事になりたいという夢まで持ってくれた…✨

天国の弟も、自分をもう責めてないかな…となつめは救われたと思う😌

ラストのなつめの変化に注目!

沈んた顔で部屋にこもり仕事をし、仕方なく外に出ては、心配してくれる母に「私には昼も夜も関係ない」と言っていた彼女はもういません。

顔周りを隠していたストールもなくなり、服装の色も明るくなり、髪型も整ってる!
そして、この美しい微笑みキラキララブラブ
弟の死のトラウマから抜け出す台一歩を踏み出したようです!!