今年の春、みかんの木に異変が起きました。
例年、表年(花が多く咲く年)であれば花が主役になるはずが、今年は新芽も花も、力強く共存して現れたのです。これは、不思議で仕方ない現象でしたが、言い方を変えれば理想的な状況でした。
様々な要因を考えてみましたが、一つだけ見落としていた点がありました。
それは、昨年10月まで続いた異常な高温です。
毎年10月10日頃から極早生品種の収穫を始めるのですが、昨年は尋常ではない暑さで、みかんの着色が全く進まなかったことを思い出しました。
みかんの着色は、エチレンの発生によって促進され、同時にジベレリンという植物ホルモンの働きが抑え込まれることで進みます。しかし、昨年の状況は、エチレンどころではない、まさに「異常な高温」だったのです。
この高温下では、当然、ジベレリンが旺盛に働き続けていたと考えられます。
ジベレリンは、細胞の伸長を促進し、芽の成長を促すホルモンです。このジベレリンの過剰な働きが、翌年(今年)の春に、新芽と花の共存という形で現れたのではないでしょうか。
私は日頃から「切り上げ剪定」を行っているため、新芽も枝の背から出ているものが多いのですが、それらの芽が例年以上にしっかりと出てきたのは、まさにジベレリンの影響と推測できます。
そして、現在。
6月も気温が高く推移しているため、生理落果も例年より多めに進んでいるのが現状です。これは、新芽が多すぎたことで、樹体が全ての果実を養いきれなくなっている可能性を示唆しています。しかし、その一方で、程よい長さになっている春芽の中には、来年も花が期待できそうな枝も多く見受けられます。これは、今年の経験が来年の収穫に繋がるかもしれないという、新たな希望を感じさせてくれるものです。
去年の極早生の収穫時には、着色が進まず焦りや悩みを抱えましたが、それが今年の春に予期せぬ「好影響」をもたらすとなると、これからの栽培方針について考えることが、これまでにないほど楽しみになってきました。
自然の摂理と向き合い、新たな発見や試行錯誤を繰り返しながら、みかん栽培の奥深さを改めて実感しています。この経験を活かし、来年以降もより良いみかんを皆さまにお届けできるよう、日々精進してまいります。

