前回は「ブレンド8.独立開店する店のブレンド作り」について書きました。

 

新規の自家焙煎ビーンズショップの開店を1年2年に一度くらいサポートします。

 

全く新規の開店だとそんなに豆の種類は扱えません。

 

販売量も限られていますし、

焙煎や販売のオペレーションも慣れていません。

何が売れるかも予想つきませんから、ロスも分かりません。

 

ロス無く、安定した回転して、

お客様のお好みに添える品揃えをしたいものです。

 

アドバイスするのは、

伝統的な産地から選ぶことからスタートしましょうということです。

 

伝統的な産地ですと、

価格もクオリティも供給量もある程度安定しています。

 

さかもとこーひーでは

ブラジル、コロンビア、グアテマラ、インドネシア、エチオピアをメインに抑えています。

そして、エルサルバドル、コスタリカ、パナマ、ケニア、タンザニアも重要で抑えています。

 

そんなこんなで・・・今回は「ブレンド9.独立開店する店のブレンド作り2」 です。

 

一時期、スペシャルティコーヒーを扱う自家焙煎店は

浅煎りをアピールするお店が目立ちました。

フローラルやフルーティな魅力にフォーカスしていました。

 

最近は、その反動か?深煎りをアピールするお店も増えてきました。

 

豆の小売を31年していると、

専門店で豆を買うお客さんは結構狭いものだと実感しています。

なのに、浅煎りや深煎りに絞ると、さらにお客さん少なくなります。

 

ネット販売をすると言っても、小さな個人店ではそうそう上手くはいかないでしょう。

(まぁ、通販の割合が多く、一応全県に常連さんがいるさかもとこーひーが言うのも変ですが)

 

地域のお客さん向けに豆売りをするのが堅実だと思います。

 

地域のコーヒー好き、自宅でコーヒー淹れる方に豆を売ろうと思うと、

浅煎りから深煎りまで幅があると喜ばれるでしょう。

 

内緒の話し(笑)ヘビーユーザーの方は深煎り好きな方が少し多いです。

 

基本的なシングルオリジンを揃えて、

その豆を使って定番のブレンドを作り、

さらに開店記念ブレンドや季節のブレンドを作ると。

限られた素材でも多様な味わい・魅力を届けられますし、

焙煎や生豆、焙き豆の在庫管理、鮮度管理もしやすいものです。

 

そのためには、どういった生豆を常に在庫しておくかが前提になります。

 

差別化や個人店な興味からキャラの立った素材ばかり扱うと苦労します。

さらに、定番のコーヒーが無いとお客さんはリピートしずらいものです。

 

勿論、マニアックなお客さんは希少性のあるコーヒーを喜ぶでしょう。

しかし、お店を支えてくれるのは、

コーヒーに詳しくて無くても、コーヒー好きなお客さんでしょう。

 

店主がマニアックだとマニアックなお客さんにフォーカスしがちです。

そこに落とし穴が待っています。

 

のんびり続けてきたさかもとこーひーのメソッド(焙煎&ブレンド等) は

そろそろネタ切れになりました。

 

これ以上詳しい内容は文章では伝えきれませんので、

このシリーズはおしまいにします。

 

次回は「さかもとこーひーの新しいステージ」 について書こうと思います。

 

ご質問はお気軽にメールで坂本までどうぞ。

takafumi@sakamotocoffee.com

 

2024年06月20日

坂本孝文

 

 

前回は「今カフェをするなら・営業時間やオペレーション」について書きました。

 

カフェの営業時間、最近短いですねー、休みも多い。

コーヒーメインのカフェなら朝から夕方までの営業にすると思います。

資金的に小さなカフェになるなら、小さいなりに客数が無いと成り立ちません。

 

毎年アメリカに行っていた時、早起きして早朝のカフェで、

コーヒー飲みながらお客さんを観察していました。

 

出勤前にどんどんお客さん来て、どんどんテイクアウト。

グランデサイズをいくつもテイクアウトするお客さんも多く、

日本でも早朝のスタバだと出勤前のテイクアウトで並んでいますね。

 

テイクアウトが多いのは、地域のお客さんに必要とされているし、商売としても数出るし、

大きな柱になるなぁーと思っていましたが、

 

テイクアウトはコンビニが定着させて、カフェはハンドドリップばかりになって、こりゃダメだと!

ハンドドリップ大好きな最近の風潮に違和感を感じています。

 

そんなこんなで・・・今回は「今カフェをするなら・営業時間やオペレーション・2」 です。

 

せっかくセルフが普通になったのに、

テイクアウトはコンビニが当たり前になって、

カフェはハンドドリップ推し、

これでは客数が必要なカフェは厳しいです。

 

都内の新しいカフェは席数多くて、フードやスイーツも多く、

さすがビジネスとして考えている会社はツボ抑えています。

しかし、それでも生産性・利益性悪くて長続きは大変だと思いますが・・・。

 

ハンドドリップで一杯一杯丁寧に淹れたいんでしょうけれども、

オーセンティックなバーのようにカクテル1000円~2000円で、

客単価5000円くらいの商売なら成り立ちますが、

コーヒーだと500円客単価500円~1000円では難しいでしょう。

 

それにハンドドリップだから美味しいとはなりませんしね。

豆次第ですから・・・カッピングで美味しければ、

プレスでもコーヒーメーカーでも美味しいでしょう。

 

個人店は限られた資源(人もの金情報時間)を

どこに集中して使うかで長く続けられるかどうかが変わってくると思っています。

 

営業時間が短い、手間のかかるメニューではなかなか上手くいきません。

 

安売りは必要ありませんが、お値打ちは必要でしょう。

使い勝手が良くて、心地よくて、生活の一部になるようなカフェ。

 

何をして、何をしないか・・・店主・経営者の判断次第で

繁盛カフェになるか、いいお店だったのにと言われながら無くなってしまうのか、

商売はリアルなもので、厳しいです。

 

次回は「かける原価と手間」について書こうと思います。

 

ご質問はお気軽にメールで坂本までどうぞ。

takafumi@sakamotocoffee.com

 

2024年03月24日

坂本孝文

 

 

前回は「ブレンド6.実際のブレンド(アフターダーク)を解説してみます」について書きました。

 

「アフターダーク」は「グアテマラ・エルインヘルト・パカマラ」を使って・・・

スペシャルティコーヒーに出会って20年経ったさかもとこーひーが

今のスペシャルティコーヒーの魅力を生かした深煎りブレンドを作りたいなぁーという思いでブレンドしました。

 

そして、10年経って30年目で名門パナマ・レリダ農園のパカマラ種を使いリニューアルしました。

 

今年は「バークレーロースト、深煎りインドネシア・ブルボン、パカマラ」とブレンドを作り直して、パカマラの量を増やしました。

 

カッピングで並べた豆は「深煎りコロンビア」「バークレーロースト」「深煎りインドネシア・ブルボン」「ウガンダ・マウントエルゴン」「パナマ・レリダ・パカマラ」でした。

 

まず「バークレーロースト」「深煎りインドネシア・ブルボン」「パナマ・レリダ・パカマラ」でカッピングしました。

イメージ通りになっていましたが、あとは確認です。

最初の比率で決定しましたが、試しに比率も変えて確認しました。

 

次に違うキャラの深煎りを使って味わい深さ複雑さをブレンドしたくて、

最初のイメージでは「深煎りインドネシア・ブルボン」が合うと思いましたが

「深煎りインドネシア・ブルボン」と「ウガンダ・マウントエルゴン」を用意して比較してみました。

 

で、「バークレーロースト」「深煎りインドネシア・ブルボン」「パナマ・レリダ・パカマラ」で決まり。

 

そんなこんなで・・・今回は「ブレンド7.実際のブレンド(アフターダーク)を解説してみます」 です。

 

カフェプレスで淹れました・・・ひと口目、ビター感は控えめ、

まろやかでなんとも言えないアフターダークの個性が感じられます。

 

落ち着いて味わうと深煎りの味わいとフルーティ感が一体となって、

柔らか滑らかな質感と甘さが余韻に繋がっていきます。

 

そこにパカマラ種をブレンドしないと現れない魅力、

妖艶なフルーツ、ミルクチョコ、明るい華やかな印象、

ブルゴーニュ赤ワインの余韻、バニラ、シガー・・・。

 

パナマ・レリダ・パカマラをたっぷりブレンドすることで、

より柔らかな質感と甘さ、パカマラのフローラル&フルーティ感が

感じられるようになったと思います。

 

スペシャルティコーヒーによって出来た、

コーヒーらしくないブレンドになっていると思います。

 

さかもとこーひーのシグネチャーブレンドです。

 

次回は「独立開店する店のブレンド作り」 について書こうと思います。

 

ご質問はお気軽にメールで坂本までどうぞ。

takafumi@sakamotocoffee.com

 

2023年12月10日

坂本孝文

 

 

 

 

 

 

前回は「月にいくらくらいの収入が必要なのか?」について書きました。

 

今でも時々独立の相談があります。

その時、最初に聞くことは・・・月にいくらくらいの収入が必要なのか?

 

月に10万円で良い人、20万円、30万円、50万円、それ以上・・・。

 

家族構成は?

夫婦でどちらかに定職があって、ご主人か奥さんがお店をする場合。

夫婦でお店をする場合。

独身で実家住まいの場合。

 

それぞれ条件が違って来ます、必要な資金も違ってきます。

 

そして、一生そのお店で食べていくつもりなのか?

 

そんなこんなで・・・今回は「今カフェをするなら・営業時間やオペレーション」 です。

 

カフェの営業時間、パン屋さんも同じですが、最近短いですねー、休みも多い。

でも、近所の人にとってはいつでも営業していると嬉しいです。

そうは言っても店の都合もありますしね。

 

まぁ、夜やるかどうかは立地やメニューにもよりますが、

コーヒーメインのカフェなら朝から夕方までの営業にすると思います。

資金的に小さなカフェになるなら、小さいなりに客数が無いと成り立ちません。

 

20年くらい前、毎年アメリカに行っていた時、

早起きして早朝のカフェまで散歩しながら通ってました。

 

コーヒー飲みながらお客さんを観察していました。

郊外もダウンタウンも出勤前にどんどんお客さん来て、どんどんテイクアウト。

グランデサイズをいくつもテイクアウトするお客さんも多く、

驚いたのは1ガロン?入るような容器でテイクアウトするお客さんも普通にいました。

日本でも早朝のスタバだと出勤前のテイクアウトで並んでいますね。

 

テイクアウトが多いのは、地域のお客さんに必要とされているし、商売としても数出るし、

大きな柱になるなぁーと思っていて、そこにラテのムーブメントがあったので、

エスプレッソやラテは家庭では淹れずらいし、

プロの技術が必要だし、カフェのパワーアップになるなーと思っていたら、

 

テイクアウトはコンビニが定着させて、

カフェはハンドドリップばかりになって、

こりゃダメだと!

 

まぁ、カフェは低単価の商売ですから、客数が前提になります。

 

そんなこんなで、ハンドドリップ大好きな最近の風潮に違和感を感じています。

 

次回は「今カフェをするなら・営業時間やオペレーション2」について書こうと思います。

 

ご質問はお気軽にメールで坂本までどうぞ。

takafumi@sakamotocoffee.com

 

2023年11月11日

坂本孝文

 

 

前回は「ブレンド5.ブレンドでフォーカスするポイント」について書きました。

 

まず、大前提として、どのようなお客さんに向けてのブレンドかです。

 

あまり個性を出さずに、どなたにも円やかで素直に飲みやすい味わいも大切です。

 

一方、際立った個性を生かしたブレンドもあります。

 

春夏秋冬季節のお菓子や気候に合わせたブレンドもあります。

 

そんな多様なブレンドに共通してフォーカスしているものがあります。

それは「アシディティ、酸味」です。

 

それぞれの豆の「アシディティ・酸味」の質とボリューム、個性を把握して、

バランスや目指す味わいをイメージします。

 

勿論、甘さやマウスフィール、アフターテイストや香りもイメージしますが、

その辺は酸味の個性やボリュームでバランスをとると解決しやすいですね。

 

そんなこんなで・・・今回は「ブレンド6.実際のブレンド(アフターダーク)を解説してみます」 です。

 

さかもとこーひーを代表するブレンド「アフターダーク」を10年目でリニューアルした時の

先日のカッピングを振り返ってみようと思います。

 

「アフターダーク」は「グアテマラ・エルインヘルト・パカマラ」を使って・・・

深煎りの新境地と言いますか・・・昭和の深煎り自家焙煎でも無い・・・

ピーツやスタバのような深煎りでも無い・・・

スペシャルティコーヒーに出会って20年経ったさかもとこーひーが

今のスペシャルティコーヒーの魅力を生かした深煎りブレンドを作りたいなぁーという思いでブレンドしました。

 

円やかな深煎りの味わいに「エルインヘルト・パカマラ」の輝くような魅力が顔を出して他に無い魅力でした。

 

ただ「グアテマラ・エルインヘルト・パカマラ」が年々高騰してきて、使えない価格になってしまいました。

 

困っていたら名門パナマ・レリダ農園のパカマラ種をなんとか使える価格で

手当できましたので、10年目だしパカマラの農園変わるしで、リニューアルしました。

 

まず決めたのは「パナマ・レリダ・パカマラ」の価格を抑えられたのでたっぷりブレンドしようと。

 

去年までは「深煎りコロンビア、深煎りグアテマラ、深煎りエルサルバドル、パカマラ」でしたが・・・

今年は「バークレーロースト、深煎りインドネシア・ブルボン、パカマラ」とブレンドを作り直して、パカマラの量を増やしました。

 

カッピングで並べた豆は「深煎りコロンビア」「バークレーロースト」「深煎りインドネシア・ブルボン」「ウガンダ・マウントエルゴン」「パナマ・レリダ・パカマラ」でした。

 

まず「バークレーロースト」「深煎りインドネシア・ブルボン」「パナマ・レリダ・パカマラ」でカッピングしました。

次に「バークレーロースト」「ウガンダ・マウントエルゴン」「パナマ・レリダ・パカマラ」でカッピング。

 

今度は「深煎りコロンビア」「深煎りインドネシア・ブルボン」「パナマ・レリダ・パカマラ」

さらに「深煎りコロンビア」「ウガンダ・マウントエルゴン」「パナマ・レリダ・パカマラ」

 

最初の「バークレーロースト」「深煎りインドネシア・ブルボン」「パナマ・レリダ・パカマラ」で

イメージ通りになっていましたが、あとは確認です。

 

最初の比率で決定しましたが、試しに比率も変えて確認しました。

 

まぁ、頭の中でほぼ出来上がってしまうので、実際のカッピングは確認ですね。

 

パカマラの量を増やしたので、

ベースの豆を「深煎りコロンビア」から「バークレーロースト」に替えて、

ダークさを前に出しながら酸のバランスを整えます。

 

次に違うキャラの深煎りを使って味わい深さ複雑さをブレンドしたくて、

最初のイメージでは「深煎りインドネシア・ブルボン」が合うと思いましたが

「深煎りインドネシア・ブルボン」と「ウガンダ・マウントエルゴン」を用意して比較してみました。

 

で、「バークレーロースト」「深煎りインドネシア・ブルボン」「パナマ・レリダ・パカマラ」で決まり。

 

念の為「バークレーロースト」と「深煎りコロンビア」を入れ替えて確認しましたが、

やはり「深煎りコロンビア」では酸のバランスがイマイチです。

 

次回は「アフターダークのブレンドカッピングをもう少し詳しく」 について書こうと思います。

 

ご質問はお気軽にメールで坂本までどうぞ。

takafumi@sakamotocoffee.com

 

2023年10月25日

坂本孝文