新緑の心地よい季節になってきました。田舎出身の私は、水田に水が入り、蛙の鳴き声が聞こえると心が落ち着きます。

2022年は、年明けからコロナ流行への対応に追われる日々を過ごすうちに、あっという間に時間が過ぎたような感覚です。1月末~3月にかけての流行のピーク時には、診療の待ち時間が長くなるなど、皆様にご迷惑をおかけしたと思いますが、そんな時も診療にご協力をいただき心から感謝しております。5月に入り、ここ最近はいくぶんコロナの流行も落ちついた印象もありますが、GW中もイベント等でのクラスター発生が認められており、再び感染の拡大がないか今後も感染状況には十分注意が必要と考えられます。

オミクロン株による第6波では、これまでのような重症肺炎の頻度は少なくなった一方で、気管支炎症状(咳、痰)は従来と同様に強く出るケースが多く、コロナ感染症の隔離解除後も後遺症による咳に悩まされる患者さんが多数みられています。いったん咳が強くなると、回復までに時間がかかることが多いため、特に喘息等の基礎疾患がある方がコロナ感染症に罹患された場合には、症状が悪化する前に早めに治療を受けられることをおすすめします。

コロナ感染症によるパンデミックも2年が経過しました。過去最大の流行となった第6波では、大きな感染の波にさらされた時に、医療や行政がどのように対応していくのか?という問題に関して、これまで以上に多くの課題がつきつけられました。酒井クリニックにおいても、感染症の流行時の診療のあり方、リスクマネジメントを含めたソフトハード面での準備、刻々と変化する状況への柔軟な対応の必要性など、いくつもの課題が浮き彫りになりました。今後はこの教訓をいかして、有事にもよりよい診療を行っていけるように、課題と向き合い改善しながら、日々の診療に取り組んでいきたいと思っています。

 

紅葉の見頃も過ぎ、朝晩の寒さが目立つようになりました。今年は例年以上に季節の移ろいが早く感じられます。5月から始まったコロナワクチンの接種、8月から9月にかけてのコロナ感染症第5波への対応に追われて忙しい日々を送るうちに、あっという間に師走の足音が聞こえてまいりました。11月中旬以降はコロナ感染症の流行も小康状態となり、京都府下においてもPCR検査数・陽性率いずれも落ちついた状況で現在は推移していますが、新たな変異株の出現も報告されており、今後も引き続き感染症の流行状況に十分注意しながら診療を行っていきたいと考えております。

そんな中、酒井クリニックは10月で開院1年を迎えました。開院当初は何かと不慣れなこともあり、皆様にご迷惑をおかけしたことも多々あったかと思いますが、温かく見守っていただいた患者様やご家族の皆様に心から感謝を申し上げたいと思います。またクリニックを支えていただいた関係者の皆様、コロナ渦の難しい時期にもかかわらず、献身的に診療に協力してくれた当院のスタッフにも心から感謝しております。

 酒井クリニックのロゴはクスノキをイメージしており、どんな時も優しく強くたたずむクスノキのように、このクリニックが地域の皆様にとって安心とやすらぎを感じられる場所になるように、という願いと目標がこめられています。私自身もクリニックも、目標に向かって初診を忘れずに日々成長していきたいと考えておりますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

梅雨の時期になると、高校3年生の夏をいつも思い出します。

もう四半世紀も前になりますが、当時の私は何をやってもうまくいかず、心身ともに悪循環に陥っていました。

勉強に集中できずに成績はじりじり下がり、在籍していた野球部でも消極的なミスが続いて監督の叱責を受ける日々。学校に遅刻するなど生活の乱れも目立っていました。いつしか私は野球部Aチームの18人からも外され、夏の大会に向けての実戦練習が本格化する中で、グランドの隅で後輩達に交ざって基礎練習をしたり、レギュラー組の練習の補助や声出しをする毎日でした。

 

5月中旬頃になると、他の部活動をしていた同級生達はインターハイ予選を終えて引退し、目の色を変えて受験モードに切り替わっていきます。一方で自分はこのままベンチにも入れず、中途半端に時間を浪費して部活動を終えるんだろうな、と暗澹たる気持ちでいっぱいでした。当時の私は理想と現実のギャップから気持ちばかりが焦り、普段の生活の中で当たり前にすべき事すら当たり前にできていませんでした。「まずは小さなことがきちんとできる人になりなさい」というミーティングでの監督の言葉は、まさにそんな私のためのアドバイスだったはずなのですが、未熟な私の心には響いていませんでした。

 

そんな私にとって、転機になる出来事がありました。気候の変化とストレスからか、持病のアトピー性皮膚炎が例年以上に悪化している私をみかねて、母親が皮膚科に受診するようにと言ったのです。ある日の放課後、私は高校の近くにある皮膚科に受診して薬を処方してもらい、これから部活に戻るのは嫌だな~などと思いながら、学校に向かってとぼとぼと歩いていました。そんな私の前を、3人ほどのユニフォームを着た練習帰りとおぼしき野球少年達が、心から楽しそうな様子で談笑しながら通り過ぎていきました。少年達の無邪気な笑顔をみて、私ははっとしました。(なんで彼らはあんなに楽しそうなんだろう?いつから自分は野球をすることが苦しくなってしまったんだろう?)そう思って振り返ってみると、私も小学生の頃は野球が楽しくて、寝ても覚めても野球のことばかり考えているような少年でした。そして今は結果をだそうと焦るばかりに、野球の楽しさを忘れてしまっていた自分にきづいたのです。(引退するまであと2ヶ月、どうせ続けるのなら最後まで楽しんで野球をやろうじゃないか)そう考えると、何か肩に乗っていた重たいものがすっととれたような気がしました。

 

それから先の2ヶ月。私は野球を思い切り楽しんでプレーしました。そうすると不思議なくらいに、自分の力を出しきれるようになり、下手なりにいいプレーができるようになりました。そんなポジティブな変化を監督も認めてくれたのか、いつしか私は18人のメンバーにも戻り、いくつかの運にも恵まれて、最後の大会でもフィールドにたってプレーすることができました。その試合では、同点の終盤でスクイズを失敗するという手痛い経験もするのですが(笑)、最後まで情熱をもって野球をやりきることができたことは、今となっても大切な思い出です。

今、現役の中学生や高校生のみなさんにも、色々な悩みや不安で苦しんでいる方もいると思いますが、少し心に余裕をもって、今を楽しむ気持ちを忘れずに学校生活を送ってほしいと思います。