20XX年のある日、蓮田駅の地下ホームに下りる。ホームには真新しい車体を輝かせた車両が停車しており、その列車に乗り込むと、ほどなくして車内放送が入った。
 「…この電車は、埼玉高速鉄道線、岩槻、赤羽岩淵方面、東京メトロ南北線、東急目黒線経由、相鉄いずみ野線直通、急行、湘南台行きです。…」
 埼玉高速鉄道線は、数年前にここ蓮田駅まで延伸し、一方目黒線は、日吉から新横浜を経て相鉄線の二俣川までつながった。さらにいずみ野線に乗り入れて、今は蓮田から湘南台まで、乗り換えなしで行けるようになったのだ。

未来に羽ばたけ!南北線関係路線のこれから

 2001年3月の埼玉高速鉄道線開業、2008年の目黒線延伸開業で、ひとまず各路線の計画が完成した南北線ルート。しかし、このルートにはまだ建設中や計画中の路線が残っている。これから、どのような路線に育っていくのだろうか? ここでは、現在計画されてる路線、構想されている路線を紹介したい。


1 目黒線立体化による急行運転開始 完成!


 東急目黒線内の立体交差化は、目黒~洗足駅間の2.8kmを連続立体交差化するもので、このうち目黒~不動前間の高架化は既成。不動前~洗足間の地下化が進められ、線路の切り替えは当初、平成15年3月の予定だったが、工事の遅れにより平成18年7月2日にずれ込んだ。
 この工事の完成により、途中の武蔵小山駅に待避設備が設けられ、目黒線内で急行運転が可能になった。急行運転は平成18年9月25日から開始されている。これらにより、東横線のバイパスとしての効果をますます発揮することになるだろう。


2 武蔵小杉-日吉間延伸 完成!


 目黒線の延伸区間である武蔵小杉~日吉間は、平成20年6月22日に開業した。用地の関係上、武蔵小杉~元住吉間は、東横線が高架、目黒線が地平の2層構造となる設計。日吉駅については、いち早く目黒線の受け入れを前提とした2面4線の構造になっている。平成18年9月23日には、この区間の東横線が高架化され、元住吉駅も2面6線化された。(工事期間中、内側2線の目黒線部分は一旦閉鎖。)
 この区間が開通したことで、平成20年3月に開通した、日吉~中山間を走る横浜市営地下鉄グリーンラインとの接続が可能になり、両線の相乗効果で、目黒線の整備効果がより発揮されることになるだろう。


3 浦和美園-蓮田間延伸・東武野田線乗り入れ 答申路線


 浦和美園から岩槻を経て蓮田までの延伸計画。運輸政策審議会第18号答申において、もっとも優先順位の高い「目標年次までに開業することが適当である路線(A1)」とされた。 2015年までの開通を目指しているが、埼玉県上田知事の就任に伴って、'03年10月に専門の検討委員会が設置され、建設にあたっての諸問題について話し合いが行われた。現在はその解決策が模索されている段階である。
 現状では都心へ直結していない、岩槻からの利用が見込めるほか、ウイングシティの開発、アーバンみらい東大宮との連動など将来性が期待される。なお、岩槻までを先行区間として整備する方針で、その際、'05年9月に設置された延伸検討委員会により、東武野田線への乗り入れも検討されている。乗り入れ方向については、大宮・春日部の双方について、どちらがより適切であるかを検討中。なお、途中の埼玉スタジアム駅は臨時駅として整備する計画。


4 日吉-新横浜-羽沢-西谷を結ぶ連絡線 答申路線(一部建設中)


 日吉の先、綱島で東横線と分岐して、新横浜(仮称)・羽沢(仮称)を経由、西谷で相鉄線に接続し、海老名・湘南台まで乗り入れるルートの構想が進められている。'06年5月25日には、東急電鉄・相模鉄道両社によって、国土交通省に対して必要な認可の申請が行われた。まず、2015年4月に、西谷~羽沢間が先行開業し、相鉄線とJR線との直通運転を開始。その後、新横浜を経由し日吉で東横線・目黒線に乗り入れるルートは、2019年4月に開業する計画となっている。設置される駅は、西谷・羽沢・新横浜・綱島・日吉の5駅とする計画。線路の配置や容量から考えて、接続する日吉駅においては、このルートには主に目黒線との直通電車が乗り入れることが考えられるが、東横線渋谷方面との直通運転も考えられている。一方、西谷から相鉄線内は、いずみ野線に乗り入れて湘南台方面や、本線の大和・海老名方面への直通運転が行われることになっている。


 ここまで紹介したものは、いずれも既に建設中であったり、国土交通省によって計画がされているものである。すなわち、大きな社会情勢の変化がない限り、いずれ実現することが一応約束されているものである。
 続いて、ここからは、具体的な計画はないものの、各方面で建設に対する要望が出されていたり、 ARC Networkが提案する私案を紹介していきたい。


5 蓮田→久喜市・加須市・羽生市方面への延伸 構想路線


 埼玉側では、蓮田より先の各自治体も7号線の延伸に強い興味を示している。実際、地下鉄7号線期成同盟会には、蓮田市までの各自治体のほか、白岡町・久喜市・鷲宮町・加須市・羽生市も名前を連ねており、将来的に羽生までの建設が期待されている。加須や羽生からは、伊勢崎線や宇都宮線を迂回することなく、直線的に都心へ向かうことができるルートとなる。
 戦前に神根~蓮田間を開業した武州鉄道は、赤羽~菖蒲間の建設を計画しており、菖蒲駅の用地を確保していたという歴史もあるが、この構想ルートと重なるものといえる。ただし、期成同盟会には国道122号線沿いの菖蒲町・騎西町が加わっていない反面、久喜市や鷲宮町が入っていることから、ルートは東北自動車道沿線を考えている模様だ。
 岩槻延伸でさえ困難な情勢の折、直ちに着手できるとは考えにくいが、長期的な構想として今後の動向に注目したい。


6 品川への延伸 提案路線


 品川には、再開発によって企業のビルが建ち並び、東海道新幹線の駅も設置されて、今後さらに成長が見込まれる街に発展した。また、2025年には、リニア中央新幹線の始発駅となる可能性も高まっている。しかしながら、同駅には地下鉄の路線が乗り入れておらず、さらなる発展に向けて唯一のウィークポイントとも言われている。
 一方、南北線と三田線は白金高輪駅で合流し、その先は線路を共用するため、それぞれ半数の電車が同駅の引上線を使用して折返し運転している。この引上線は白金台駅方面まで延びているが、この線路を延伸させ、浅草線の高輪台駅を経て、品川駅高輪口に乗り入れようというものである。
 沿線に適当な導入空間がないものの、大深度地下を利用するなどの方法で建設することは可能で、南北線・三田線の体力強化と品川地区の発展という2つの課題を一挙に解決するウルトラCとも考えられよう。


7 “第二の赤羽線”構想 提案路線


 低迷している埼玉高速鉄道線の起死回生と、埼京線の混雑緩和を目的として、川口元郷~赤羽~池袋間に新線を建設するもの。赤羽接続についての詳細は別ページに割愛するが、ここでは池袋までの建設を視野に入れた長期的な提案をしたい。
 A案は現在の埼京線の線路と用地を活用するもので、赤羽駅東口の地下に赤羽駅ホームを建設、十条駅付近の地下化事業や板橋駅付近の貨物跡地を有効利用し、池袋駅東口の地下に池袋駅ホームを建設する。
 B案は赤羽駅西口の地下に赤羽駅ホームを建設、未開通の都市計画道路の地下空間を利用し、三田線新板橋駅を経由し池袋本町から池袋駅西口に達するものである。
 これにより利便性は飛躍的に向上し、また埼京線の混雑が緩和されるという一石二鳥の案である。

埼玉高速鉄道、東京急行電鉄、東京メトロ、横浜高速鉄道は、平成22年12月23日(木・祝)に「”みなとみらい号”で行く横濱クリスマス夜景」と題し、埼玉高速鉄道線と東京メトロ日比谷線・南北線から、東急東横線・目黒線を経由して横浜高速鉄道みなとみらい線「元町・中華街駅」までを乗り換えなしで結ぶ臨時直通列車「みなとみらい号」を運転いたします。

詳しい内容につきましては、こちら をご覧ください。

★SR沿線イベント情報のお知らせ★

今月も盛りだくさんのイベント情報をお届け致します。

イベントへのご来場は埼玉高速鉄道線をご利用ください。
イベントの開催時間、入場料等の詳細については主催者にご確認ください。

詳細は以下をクリックしてご覧下さい。

関連PDF

  • 詳細 (383.0KB )