- クセがあるのでつねに『エビちゃん風ゆる巻きパーマ』をかけているのだが、美容院で過ごす数時間はとても不毛なのでいつも本を持って行く。
- その日は買ってあった劇団ひとりの『陰日向に咲く 』を持って行った。
- 不毛な時間ほど読書には向いているようであっと言う間に読んだ。
- 劇団ひとり
- 陰日向に咲く
劇団ひとりというとすぐ泣く『泣き芸』が売りで、バラエティ番組でのコメントも芝居がかっててウソくさい。
この本は劇団ひとりが考え出したネタ上のキャラクターを一人称にした5つのお話。
劇団ひとりのウソくさい芸風とは反対にキャラクターたちはすぐそばにいそうなリアルな落ちこぼれたち。
5人のキャラクターのそれぞれ独立したお話なのだけど5人が少しずつかかわりあっているという造りになっている。
自分の発した言葉が、自分のとった態度が、回りまわって自分に返ってくる。
すべてがどこかでつながっているのだと思わせる。
哀しいくらいに普通の人間が普通のくらしをしている中で、どこかで少し憧れの方向に踏み外していったり、元いた場所に戻っていったり、あいかわらず同じことを繰り返していたり、というやっぱり普通の人間たちが描かれている。
普通の人の日常が、実はあっと驚くことや、ウソでしょう?と思うことの連続なのかもしれない。
テンポよく、読みやすいのであっと言う間に読んでしまいます。
パーマが出来上がるまでに読めますので、美容院でおざなりに置いてある雑誌を斜め読みして不毛な時間を過ごしている方、どうぞ読んでみてください。
劇団ひとりを見る目が変わるかもしれません。
いつもいじられて泣いている彼は、実はとても才能あふれる方だったんです