本年度・当山報恩講より~『みほとけにいだかれて』・・・
二弦(二胡)で奏でられるメロディは人間の生声以上に心に響く瞬間があると感じます。・・・
拙寺では、仏教婦人会々員の方が往生された際の通夜勤行の最後でお参りの皆さんと歌うことになっています。・・・
愛別離苦がテーマであることは間違いないですが、お葬式やお通夜のためにつくられた曲ではありません。・・・
通夜法話の題材にもさせていただくことがありますが、大正四年につくられたこの仏教讃歌の作詞は”日曜学校同人”と記載されています。・・・
当時の時代背景(医療事情もふくめて)がうかがえると思います。・・・
①~④までの歌詞は本当によく出来ていて、
①西の岸②慈悲の国③花の里④宝楼閣(たまのいえ)はすべて言葉の表現は違えど、お浄土(清浄国土 / 極楽浄土 / 仏国土)のことです。・・・
①悲しさよ②かしこさよ③うれしさよ④とうとさよ・・・と悲しいだけでは終わらない、悲しさをきっかけに尊いご縁へと移り変わる心情が示されています。・・・
これは法話の平たい基本構成(始:かなしく→中:ほっこり→終:とうとく)とも一致しているので、本当にこの作詞構成力に感嘆。・・・『みほとけにいだかれて』は亡くなっていだかれるのではなく、お念仏いただく今すでに”みほとけにいだかれ”、”おまかせの世界を歩ませていただいている”とうけとめさせていただいています。・・・
称名お六字・・・
釋俊彰