前回法要について述べた中で、個人が行う法要として年回供養を挙げた。年回供養とは毎年の故人の命日にお勤めをすることをいう。日本では定められた年数ごとに法事として特別に行うことが一般的である。

亡くなってから一年後が一周忌、二年後が三回忌、以降は七・十三・十七・二十三・二十七・三十三回忌となる。ここまでで一旦弔い上げとして、次は五十回忌とすることが多い。

何故この年数になるのかは諸説あるが、「三」と「七」にこだわるのはインドや中国の風習が影響していると思われる。古代インドでは人が死んだら七日ごとに七回の法要をすべきとしていた。『論語』には親の死後は三度目の命日、つまり三回忌までは喪に服すべきと記されている。また、十三回忌については干支が一巡した年になるからとも言われている。

長期間に渡り年回供養をするのは、インドや中国にはなかった日本仏教の特徴である。日本人が故人を弔うことを大切にしてきたことの表れだろう。年数については曖昧な点も多いが、それも様々なことをきっかけに故人を思い出して供養したということの表れなのかもしれない。