2023年1月 関東広域連続強盗事件のまとめ
関東地方では今年に入り店舗や住宅を狙った強盗事件が少なくとも8件発生しています。そのうち、茨城、栃木、埼玉で発生した計4件の強盗致傷事件に関しては、近所の防犯カメラに映った車の映像や残された足跡などから、同一犯、または同一グループの犯行であると断定しています。
今年に入り連続発生している強盗致傷及び強盗殺人事件は、果たしてどのような事件なのかを調べてみました。
1.東京都渋谷区神南 窃盗事件
【発生日時】2022年12月16日(金) 5:00頃
【事件現場】東京都渋谷区神南の貴金属店
【被害】 ネックレス8本など29点、272万円相当
【事件経緯】12月16日の午前5時頃、東京・渋谷区神南の貴金属店にハンマーのようなものでガ
ラスの窓をたたき割って侵入したうえ、ショーケースを壊しネックレス8本など29
点、272万円相当を盗んだ疑い。
【捜査結果】1月20日、警視庁は、いずれも住所不定の19歳の3人の男を逮捕。
3人のうち2人は容疑を認め、「お金に困っていた」「インスタグラムの闇サイトに
応募して2人を誘った」と供述しているという。
2.神奈川県川崎市宮前区 強盗傷人事件
【発生日時】1月9日(月・祝) 3:00頃
【事件現場】神奈川県川崎市宮前区の住宅
【被害】 70代女性左手に怪我 財布や貴金属
【事件経緯】女性は9日午前3時頃、2階で就寝中、1階のリビングの窓を割って侵入し上がって
きた3人にハンマーのようなもので殴られたほか、粘着テープで手足を縛られ、口を
ふさがれ「息子から金が入っているだろ」と言われた。いずれも20代ぐらいの男と
みられ、4時間ほど室内を物色して現金約1万5千円や土地の権利書、貴金属などを
奪って逃走。1人は黒っぽい帽子をかぶっていた。女性は解放された直後に通報し
た。
【犯人像】 ・男3人組は20代ぐらい、1人は黒色の帽子と上着を着ていた。
・ハンマーで被害者を殴打。
・粘着テープで手足を縛る。
・「息子から金が入っているだろ」女性に息子から何らかの理由で金が渡っていると
いう情報を得ている。真偽のほどは不明。
【事件考察】4時間も室内にとどまり、土地の権利書など盗んでも直ぐに足がつき金にもならない
ことから、この事件の犯人は素人ではないかと思う。
3.千葉県市川市 窃盗事件
【発生日時】1月9日(金・祝) 19:00前
【事件現場】千葉県市川市 質屋「かんてい局市川インター店」
【被害】 ショーケースに陳列されていた海外製の高級腕時計などおよそ20本、販売価格にし
て合わせて460万円相当。
【事件経緯】9日午後7時前、千葉県市川市の閉店間際の質屋に3人組の男が入り口から侵入し、
客のいない店内でハンマーのようなものでショーケースをたたき割り、10分ほどの
間に陳列されていた海外製の高級腕時計などおよそ20本を盗んで逃走。犯行直前に
閉店時間の確認の電話が掛かってきていた。マジックミラーの奥に残っていた店長ら
が犯行の一部始終を目撃していた。
【犯人像】 ・3人はいずれも身長が1メートル70センチほど。
・鉄製のハンマーでショーケースを割る。右利き。
・黒色のパーカーを着て白いマスクを装着。店内外の防犯カメラに映像あり。
・犯行時、見張りが外にいて自動ドアが閉まらないようにしている。
・足跡をつけないためか足の裏にはガムテープをつけていた。
・一人が赤系の手袋をつけている。
【事件考察】特徴のあるパーカーですよね。お洒落にこだわってのご購入でしょうから、犯行時以
外にも装着していそうです。捕まるのも時間の問題でしょう。
4.栃木県足利市羽刈町 強盗傷人事件
【発生日時】1月10日(火) 1:00頃
【事件現場】栃木県足利市羽刈町の住宅
【被害】 50代男性後頭部や背中を打撲 現金300万円と通帳
【事件経緯】10日午前1時ごろ足利市羽刈町の住宅で、この家に1人で暮らしている50代の男
性が2階の部屋で寝ていたところ何者かが侵入し、男性の後頭部や背中を殴打し、手
足を粘着テープで縛り、「金を出せ」などと脅したとのこと。男性は命に別状はな
く、「男に殴られ、ほかにも複数人がいた」と話しているという。犯人逃走後、男性
は自力で粘着テープを解いて警察に通報したということ。玄関脇の窓ガラスが割ら
れ、現金300万円と通帳などがなくなっているという。
【犯人像】 ・犯人は複数人。
・粘着テープで手足を縛る。
5.埼玉県さいたま市西区 強盗致傷事件
【発生日時】1月12日(木) 4:30分頃
【事件現場】埼玉県さいたま市西区大字指扇領別所の住宅
【被害】 80代女性顔を負傷 現金12万円とキャッシュカード3枚
【事件経緯】12日午前4時半頃、3人組が窓ガラスを割って住宅に侵入。女性に対して、刃物のよ
うなものを突き付け「騒いだら殺すぞ」などと脅迫。現金12万円とカード3枚を奪
い、粘着テープで目隠しした際に女性の顔に軽傷を負わせた。目隠しや手足の拘束を
して、車で数時間連れ回した。別居している女性の長女が同日午後0時42分に11
0番した。 女性は「車両に乗せられて連れ去られ、自宅で解放された」などと説
明。
【犯人像】 ・性別不明の3人組。
・刃物のような物で脅す。
・粘着テープで目隠し・拘束。
・いずれも黒っぽい服装でフードを被りマスク姿。
・目隠しをした上で車で数時間連れ回した。
【事件考察】目隠しをした上で車で数時間連れ回しており、女性に暗証番号を聞き出し金を引き出
した後、自宅で解放したものとみられる。その後女性は別居の長女に電話で助けを求
めたか、自宅を訪ねたかして事情を知った長女が通報した模様。
6.千葉県大網白里市駒込 強盗傷人事件
【発生日時】1月12日(木) 19:30頃
【犯行現場】千葉県大網白里市駒込のリサイクルショップ
【被害】 76歳男性店長 顔を殴られ口を切るなどの軽い怪我
【事件概要】1月12日午後7時半頃、大網白里市駒込のリサイクルショップに客を装った2人組の
男が押し入り、店長の男性(76)に金を出すよう要求。男らは拳でいきなり店長の
顔を殴り、 金庫の場所を聞いたが、店長が答えないでいると、何も奪わず逃走し
た。この店には閉店30分ほど前に犯人らしき男から電話が入っている他、証拠隠滅
のためか消火器が噴射されていた。市川市の事件と類似点が多い。
【犯人像】 ・2人組の男はいずれも身長170センチくらい。
・1人は白いパーカーを着て黄色のスニーカーを履いていた。
・もう1人は黒いパーカーを着ていた。
・犯行時、見張りが外にいて自動ドアが閉まらないようにしている。
・足跡をつけないためか足の裏にはガムテープをつけていた。
・一人が赤系の手袋をつけている。
【捜査結果】翌13日、千葉県警は、この事件で運転手役をしていたとして、三重県の20代の自衛
官の男を強盗致傷容疑で逮捕した。男のスマートフォンには東京都狛江市で起きた強
盗殺人事件に関する記録があり、千葉県警が警視庁に「大塩さん宅が強盗に狙われて
いるのではないか」と情報提供して19日狛江市で発生する強盗殺人事件が発覚する
ことになる。
【事件考察】おそらく実行犯の中に3日前の市川市の強盗事件のメンバーがこの事件に関与してい
る人物がいるものと思われる。運転手役として逮捕された男のスマホのメールのやり
とりを解析するのに時間が掛かったとのこと。
7.茨城県龍ケ崎市 強盗傷人事件
【発生日時】1月14日(土) 1:00
【犯行現場】茨城県龍ケ崎市の住宅
【被害】 70代夫婦殴打 現金2万5000円
【事件概要】1月14日午前1時頃、茨城県龍ケ崎市の民家に男3人組が1階寝室の窓ガラスを割って
侵入し、無職の70代の夫婦を殴るなどして負傷させ、粘着テープで手足を拘束する
などし、現金約2万5000円を奪った。金庫の場所やキャッシュカードの場所を2時間
にわたって執拗に聞かれたが、現金がないことがわかると犯人たちは立ち去った。
【犯人像】 ・黒っぽい服装
・包丁や金づちのようなものを所持。
・粘着テープで口を塞ぎ、手足を拘束。
8.茨城県つくば市 強盗傷人事件
【発生日時】1月14日(土) 4:00~6:00
【犯行現場】茨城県つくば市上郷の住宅
【被害】 71歳男性外傷性くも膜下出血・全身打撲 67歳女性軽傷 現金約80万円や通帳
【事件概要】1月14日午前4時~6時、茨城県つくば市の民家に、男3人組が就寝中だった農業の70
代男性と60代の妻に暴行し、手足を粘着テープで縛り「命が惜しかったら金を出
せ」などと脅迫。現金約80万円や通帳を奪った。男らが逃走した後、男性が自力で
拘束を解き、敷地内の別の住宅に住む息子に連絡。午前6時25分ごろ、息子が110番
通報した。男性の住宅には夫婦2人のみがいた。
【犯人像】 ・3人とも身長170センチほど。
・黒っぽい上着を着ていた。
・現場にのこされた足跡がさいたま市(12日)と龍ケ崎市(同日)で起きた2つの事件の
ものと類似している。
【事件考察】龍ケ崎市の事件と同一犯を疑われている。龍ケ崎の事件で収穫が少なかったことか
ら、次の事件を流れで起こした印象。前事件への苛立ちと、被害者の思わぬ抵抗を受
けて、想定外に強く暴行してしまったか。
9.東京都狛江市 強盗殺人事件
【発生日時】1月19日(木) 10:30~14:45の間 ※10:30頃、近隣住民が大塩さんを見かける
【場所】 東京都狛江市駒井町の住宅
【被害】 大塩衣與さん(90)死亡 物色形跡あり被害内容は不明
【事件経緯】19日14:45頃、千葉県警から調布署に「大塩さん宅が強盗に狙われている」という
趣旨の情報提供の連絡が入る。
17:50頃、帰宅した家族と共に同署員が住宅に入り、地下1階で倒れている大
塩さんを発見した。鼻の辺りから出血しており、その場で死亡が確認
された。玄関の鍵は開いており、寝室などがある1、2階が物色され
ていた。大塩さん宅は地上2階、地下1階建ての2世帯住宅で、息子
夫婦、2人の孫との5人暮らし。事件当時、家族は外出中で、大塩さ
んは一人で家にいたとみられる。
【事件詳細】・1月12日に千葉・大網白里市で起きたリサイクルショップの3人組による強盗致傷
事件で、千葉県警が逮捕した運転手役の陸上自衛隊の男(23)の携帯電話を解析
したところ、大塩さんの住所と「強盗に入る」という旨の情報があったことがわか
った。
・住宅内に4種類の足跡が残されている。
・結束バンドで両手を前に拘束されている。
・死因は、拳などで顔面を複数回殴られた事による多発外傷。
・左腕を開放骨折。
・正午頃、自宅前に不審な車と金髪の男が目撃されている。
【事件考察】19日10時半頃、近隣住民が大塩さんを見かけており、千葉県警からの情報提供が調
布署に入ったのは14時45分頃、その後調布署が大塩さん宅の固定電話に電話を掛け
たり地域の駐在所の警官を向かわせるなど連絡を取ろうと試みたが連絡が取れず、自
宅を出ていた息子夫婦が帰宅、署員と共に住宅に入ったと思われることから、今回の
事件は白昼堂々の犯行と断定されている。事件発生現場は多摩川沿いの閑静な住宅
街。1km圏内に目黒区立砧野球場・サッカー場、反対方向には和泉多摩川河川敷が
あり、週末はスポーツ団体が多く訪れる場所。大塩さん宅の右隣は土木関係の事務所
になっている。19日の天気は午前は晴れ午後は曇り。この日、衣与さん以外の家族
が外出するという情報を得ていた可能性が高い。
最終考察
6.千葉大網の事件で逮捕された犯人のスマホのやりとりが、9.狛江の事件の発覚を早めたわけですが、もっと早くこの情報が警視庁に伝達されていたら、殺人事件には発展しなかったのではないかと悔やまれます。当然、千葉県警は13日に男を逮捕する際に自宅のガサ状(捜索差押令状)を請求してスマホも押収しているのですが、メールの内容の解読に時間を要したとのことでした。消去されたやりとりを復元するための作業ってそんなに掛かるものですかね。なんらかの事情がアプリ会社にあったということですよね。
3.6.は類似性あり。店舗がターゲット。人目につきやすい時間帯。
6.大網の事件で逮捕された自衛官は13日に逮捕されなければ、9.狛江の事件に参加する予定でした。逮捕されたにもかかわらず予定通りに実行されたことから、この自衛官が逮捕された事が指示役又は情報屋に伝わっていなかったのでは無いかと推測します。または、情報が共有されない希薄な関係性だったとも考えられます。暴力団の関与も考えましたが、6.大網の事件で実行犯が逮捕されたことで、9.狛江の事件で警察が罠を仕掛け一斉逮捕となる危険性もあったので、実行メンバーが逮捕されたら普通は直近の計画は一旦ストップとなりそうなものです。しかし、それはなかった。1.渋谷の事件の容疑者が話していたインスタの闇サイトは、実行犯を募り、ターゲット情報を売ることと、全くの他人同士を組ませるプランナー的存在が存在したものと思われます。
2.4.類似性あり。粘着テープで目隠しと手足の拘束(犯行後は自力で解けるくらいの丁寧な拘束の仕方)。深夜に住宅がターゲット。ついでに5.も加えて、手荒なまねをしない素人集団といった感触。
7.8.に類似性あり。7.龍ケ崎の事件で想定外に収穫が少なかったことに苛立ちを感じ8.つくばの事件を流れで実行したと考えられる。8.で71歳の夫が妻を守りたい思いから想定外に抵抗したと思われ、犯人の内の誰かが7.からの苛立ちを8.の被害者にぶつけてしまい、くも膜下出血に至るほどの重傷を負わせてしまったのではないか。正直、2.4.5.7.8.の事件で類似性があると感じます。
闇サイトを使った凶悪事件は過去にも多数発生しており、2007年名古屋市の会社員女性を拉致監禁しキャッシュカードを奪うなどし、殺害に至った非常に凄惨な事件が思い起こされます。15年も経過し、SNSも更なる発展を遂げたのに犯罪防止の対策の方は進歩を感じられず、いまだに似たような手法の事件が繰り返されていることに憤りを覚えます。被害に遭われた方は突如襲う不安感に一生悩まされるのだろうし、ご遺族はぶつけようのない怒りや悲しみをずっと背負い続けるのかと思うと、悔しくてなりません。真面目に慎ましやかに暮らす日本人の生活を脅かすものは、どんな理由があっても許すことは出来ません。地域の警察官は本当に良くやってくださっていると思うのですが、ネットとなると法的な問題も出てきて、なかなか前に進みません。例えば(覚醒剤事件で被告人が売人と連絡を取り合う手段としてよく使用される)ロシア製アプリ「テレグラム」は一定期間を経過するとやりとりの内容は消失してしまうとのことで、これまでの警察の取り締まり方では凶悪犯罪の計画を察知し阻止することが難しくなっているのではないでしょうか。また、連絡アプリによる個人情報の抜き取りも危ぶまれています。日本もホワイトハッカーを養成し、国家や国民の生命や安全が守られるよう、ネット上の監視を強化し、事前に犯罪を抑止できるような体制を作っていただきたいなと思います。






