この国に来てから時々体を壊す。体を壊すって言ってもそんな深刻なものじゃなくて、ただの風邪(のはず。。。)。

来る前には、南国だから風邪なんて無いだろう、って勝手に考えていたけれど、実際ものすごくある。めちゃくちゃ広まる。あっちこっちであの人風邪引いて休んでるとかいう話を聞く。うちのマーケットでも時々風邪をこじらせる人がいるし、自分自身そっから風邪を何度かもらっている。

ただ、みんながflu(インフルエンザ)って言うんだけど、いまいち説得力がない。なんとなくだけど、fluって言葉を使いたいだけか、他に単語を知らない(実際ビスラマ語に無い単語がいっぱいあるし)せいかもしれない。まぁどーでもいいか。

風邪で休む時はもちろん寝るんだけど、眠れる時間も限界があって、一日に12時間も寝るとそれ以上は眠れない。かといって外に行く元気もない。そうなると家でゆっくりするしかない。やることはパソコンで映画を観るか本を読むこと。

映画も大半観てしまったので、最近は本を読んでいる。幸い前任者や帰国した隊員が置いていった蔵書が溜まっているのでしばらくは楽しめる。

この一カ月で読んだ小説は

村上龍 「半島を出よ」上・下

宮部みゆき 「かまいたち」

辻仁成 「ミラクル」

司馬遼太郎 「功名が辻」1~4

万城目学 「プリンセス・トヨトミ」

東野圭吾 「天空の蜂」

大崎善生 「アジアンタムブルー」

山本周五郎 「さぶ」

奥田英朗 「延長戦に入りました」

ダンブラウン 「天国と悪魔」 上・中・下

他にも経理、会計、マーケティング、経営関係の本も読んでいる。

日本にいる時よりも読んでるな。

注目したいのは司馬遼太郎と山本周五郎。海外に出ると歴史小説と出会う機会が増える。

首都のドミトリーにある図書室にも多くの歴史小説が積まれているし、これまで旅してきた国々にある日本人宿でもかなり多く保管されていた記憶がある。

自分自身もそういうところで目にしたことをきっかけに読み始めるようになった気がする。

なぜ海外に出ると歴史小説に出会うんだろう。

一つは海外に出て異文化を知ることで、逆に日本の文化を考えるきっかけができる。日本文化をもっと学ぼうという気持ちで歴史小説に手が伸びる。

もう一つは日本文化に対する飢え。普段身近にあったものが無くなると無償にそれを欲するようになる。味噌汁と白いご飯、身近にあった景色なんかもそう。そして日本の歴史というものもその延長線上にあるように思える。当然海外には明治維新以前の「日本の歴史」は無い。

なので、日本ではめったに見ない「大河ドラマ」が今無性に観たいのである。

バヌアツが世界で最も幸せな国と言われていることはこれまでに何度も書いた通り。

今回は「世界で最も危ない国」に選ばれてしまった。しかも国連のWorld Risk Reportという大そうなものに。。

いつも通うお店にバヌアツのDaily Postという新聞が置いてあるのだが、”The most dangerous country”という一面のタイトルに驚き、手が伸びた。

「幸せ」と「危なさ」は相対するものと思われるが、その理由を読むと納得。

今回意味する「危なさ」は治安や政治的問題などではなく、環境における危なさ。つまり天災における脆弱性が非常に高いということだ。

バヌアツは日本と同じ太平洋プレート上に位置し、プレートとプレートが沈み込む溝の真上に島々がちょこんと乗っかっている。そのため、非常に地震が多い。先月も少し大きい地震があったらしい。寝ていて気付かなかったけど。。

けれど、地震が多い国なんていくらでもある。日本なんてその代表。

記事ではそこも触れられていた。

「今回日本で起きた地震は世界最大級のM9.0。にも関わらず、死者は28,000人に過ぎず地震規模で比べると圧倒的に小さいハイチ地震の死者220,000人(?)を大きく下回る。」

まるで被害者が少ないとでも言うような配慮の無い書き方ではあるけれど、比較対象としての客観的事実としては間違いない。

死者が少ない理由としてインフラ整備と災害対策の徹底が挙げられていた。

個人的には地理的要因が最も大きいと思うけれど、書いてある通りに考えてみる。

確かにバヌアツは津波が起こった場合、逃げる場所がない。あっても道が悪く高所に逃げる前に飲み込まれる可能性が高い。(幸い自分の自宅は町から近くの高台にあり、10mほどの津波が来ても大丈夫。)それに災害対策なんてものはまるで存在せず、きっと大きな地震が起きると島民全員がパニックになることだろう。

さて、どうしたらいいか。

うーん、特に思い浮かばず。。とりあえずマーケットでは大きい地震が起こったら戸締りだけしてすぐに高台に避難するようにでも話をしておこうと思う。

天災に関わる個人的な考えは、「人間は自然には敵わない」というちょっとネガティブなもの。自分自身で災害時の想定をして準備をしておき、その上でやられてしまったならもう受け入れるしかないんじゃないか。まぁ当たり前のことだけど。

世界一幸せで世界一危ない国バヌアツ。

なんかある種のバランスが取れているように思えるのはおれだけかな?

いよいよ月曜でバヌアツに来てから100日が経つ。

これまでにも何度も言ってきたけど、ほんとにあっと言う間。すでに2年間の8分の1が過ぎ去った。

9月の利益は上々。仕入れ価格を上げたにも関わらず魚の仕入れが増えなかったけれど、高い需要に合わせて値段を引き上げたことで魚の販売利益は過去最高に近い数字になった。肉も仕入れに関して口を酸っぱくして従業員に徹底させ、品切れをかなり減らすことができた。結果、売上・利益過去最高を記録。

偉そうに色々指示を出している以上、従業員に対し説得力のある結果を見せないといけない。この2カ月運もあったけれど、なんとかそれまでの悪い流れを断ち切ることができた。

問題は自分が一従業員として働き過ぎていること。初めは「こうやって働くんだ」ってのを見せないといけないけれど、従業員が自分に頼り始めているのは大きな問題。2年の契約が終わって自分が去った後、自分がこなしていた仕事が彼らにのしかかることになる。早めに自分は店の通常業務から手を離し、監督、教育、そして水産業の活性化に関する仕事に専念すべきだと思っている。

これからの3カ月は都市に上がり、魚の営業。島と都市では価格差が非常に大きいため、都市で販売することで大きな利益が得られる。その利益を仕入れ値に還元し、より多くの魚を確保する。漁師の収入もアップするため、漁具の質も上がることを期待している。その先で島内における販売価格に還元したい。そこまで進めるには時間が必要だけど。

そして従業員教育。これまで手をつけていなかった肉のカッティングの効率化、マネージャーを中心にそれぞれの従業員教育。教えるためには自分自身も経営、会計、経理、マーケティング、販売に関して熟知しておかなければならない。その上で彼らにわかるよう簡単な言いまわしで説明をする。

なかなか難しい仕事だけれど、これらができたら自分のスキルも上がっていくだろうと思うと楽しみになってくる。