決断
コウは走ってどこかへ行ってしまった。
俺は俺でコウの言葉を何度も巡らせていた。分からない・・・。コウが言っている言葉の意味が。
しばらくして落ち着いてから隣を見ると俺は驚いた。
だってそこにはリュウがいた。
リュウは天上を見つめたまま何も話さない。ただじっと眺めているだけ。
俺もそんなリュウの姿につられて天井を見つめた。
天上にはただただ大きな惑星があtってソレを神々しい人が包み込んでいる絵だ。
絵の周りにはたくさんの音符があり一枚の楽譜としても使われるらしい。
すると急に隣のリュウが口を開いた。
「ね、エン。本当によろしいの?」
「いいんだよ」
俺は短く答えた。
リュウはふうんというふうに素っ気無く答えた。
「エン、レイナ様覚えてる?」
「ああ、忘れるはずが無いだろう?あんな女」
レイナはとても美しかった。だけどその美しさは人から見れば恐ろしいものだった。
神々しくて怖かった。 だから、レイナは人とは話さないようにしたり顔を隠したりしがちだった。
人にはその容姿のせいで嫌われた。美しすぎるために。
人というものは身勝手だった。自然界が悲鳴を上げているのをレイナのせいにしたり、悲鳴を沈めるため
にレイナを大いに使った。その命を削って。
俺たちは見ていられなかった。日に日に痩せて衰えていくレイナでも美しさは失われない。
それにこの時は自然界もピークに達していた。人々が空気を汚し水に油を注ぎ土からは虫を排除し物を
燃やし続けた。通常の3倍もの力に命が使われる。
俺たちは黙ってそれを見てることしか出来なかった。無力だ。守護者なのに・・・。
「レイナ、大丈夫か?ほらこの水飲めよ」
「っはぁ、うんありがとう、ショウ」
「レイナ様、今日も歌うのですか?」
「うん、ははっ、こんなボロボロの体だけど・・はぁ、多くの人を背をってるものね 、レイ。うっ・・・」
「「レイナ」」
「ショウ レイ。もうだめかも・・・。二人とも私ね次は美しく生まれたくないな・・・。ん。贅沢だけどね。ゴホ
ッ」
「それ以上喋るな。レイナ」
「ッはぁっはぁ、ううん、喋るわ。ねぇ、お願いなの。私がいなくなって時代の歌姫が生まれると思うのそ
の子んp力になってやって。お願い」
「いやですわ。レイナ様、あなた様以外お慕いする方なんて・・・」
「慕うか慕わないかはあなた達で決めなさい。契約者をみつけてもいいわ。お・・・ねがい・・・ね。エン、
リュウ・・・・」
「「レイナぁあああああああ」」
あの日の記憶はいまでも鮮明に残ってる。
「だからリュウはコウについてるのか遺言どおり」
俺は冗談交じりに言った。
「遺言・・・、それもあるかもしれませんが私は賭けてみたいとおもいましたの。lコウ様に」
「あんな小僧に何が出来るんだよ。」
「負の連鎖を断ち切るのですわ」
リュウはきっぱりと言い切った。
「負の連鎖?」
「ええ、私が思うに歌姫という存在が必要ないのです。そうしたらレイナ様は少しはまともな人生を終え
れたと思いますわ。」
「ほお」
「誰かが歌姫という位置を作ったそれを突き止める。ソレが私の目的」
「ふっ、おもしろいな。リュウらしいな」
俺は鼻で笑った。
隣で真面目な声で
「エンも来ません?一緒に」
「はぁ、俺にも選ぶ権利ってモンが・・・」
「エン、コウさまの言葉聴いたでしょう。あの感情は私達には分からない。でも、ソレを見つけるのを手伝
ってもらえそうなんです。コウ様は。」
俺はそっぽを向いた。
「こっちを見てください。知りたくないんですか?」
目を合わせると答えられない。
「知りたくないのですか?」
もう一度聞いてくる。
「しりた・・・・い」
そう答えるとリュウは急に俺の手を引いて歩き出した。
「おい、どこいくんだよ?」
「もちろんコウ様の所ですわ」
そのときの彼女の笑顔は可愛かった。