弁護士 相良 圭彦のブログ

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弁護士相良圭彦が記す仕事に関連した雑感。あまり仕事とは関連がないことも記載しています。

自宅不動産を買おうということになった場合、通常、まずは、どのエリアか、どの沿線かということが重要になってくると思います。
しかし、これらの点は、その時々の人気や、注目度、勤務先への通勤の便といった一時的、流動的な要素によって左右されるものであり、最終的には、自身の好みや価値観によって選べば良い事柄であり、ここでは述べません。

その時々の注目度や通勤の便等にかかわらず、自宅不動産を選ぶときに、まず、最初に注目すべき点は、やはり「用途地域」ではないでしょうか。

用途地域は、都市計画法8条1項1号によって、第一種低層住居専用地域・・・第一種中高層住居専用地域・・・第一種住居地域・・・近隣商業地域、準工業地域・・・などの12種類の用途地域に区分されています。
そして、この「用途地域」は、その物件が存在するエリアの環境や街並み、雰囲気など、物件の本質的な性格を根本的に決定付ける重要な要素となります。

ある地域が、閑静な住宅街であるのか、中高層のマンションが立ち並ぶ住宅エリアなのか、様々な用途の物件が混在している雑然としたエリアなのか、駅や商業施設などに近いものの人通りが多いエリアであるのか、はたまた、トラックなどの出入りも必然的に多くなるエリアであるのかということは、実は、対象物件が存在している「用途地域」によって必然的に決まってくることなのです。

いわゆる閑静な住宅街、高級住宅街と評されるエリアは、ほぼ例外なくその用途地域は第一種低層住居専用地域であり、閑静な住宅街にある一戸建に住みたい場合や、閑静な住宅街にある重厚感ある低層マンションに住みたい場合、日当たりの良い静かなエリアに住みたいといった場合には、第一種低層住居専用地域が、最も目的に適った用途地域となります。

また、15、16階程度の中高層マンションに住むものの住環境も重視したいという場合には、第一種中高層住居専用地域が、最も適した用途地域となるでしょう。

他方、住環境や日当たりなどは重視せず、とにかく利便性を重視したいという場合には、近隣商業地域などにある物件を選ぶことになるでしょう。

上記の各用途地域の中間的なエリアとなるのが、第一種住居地域等になります。

第一種低層住居専用地域や、第一種中高層住居専用地域などにある物件を選んだ場合には、たとえ、後日、周囲の建物が建て替わったとしても、同規模の居住目的物件しか建たないため、周囲の環境や日当たりが、一気に変わってしまうという事態は生じません。

しかし、近年比較的多く見られる近隣商業地域、準工業地域内にある居住物件を選んだ場合には、後日、周囲の建物が建て替わった場合に、どのような目的の建物が建つか分からず、周辺環境や、街並み、雰囲気、日当たり、眺望、通風などが大きく変わってしまうリスクがあるということに注意する必要があります。

特に、対象物件の南側にある建物が建て変わった場合には、住環境として最重要要素である「日当たり」に与える影響が大きいため、対象物件の南側の土地の使われ方には、細心の注意が必要です。

この点は、テーマとは少し話がそれますが、例えば、対象物件の南側が、空き地となっている場合はもちろんのこと、駐車場や、都市部における生産緑地などとなっている場合には、将来的には、これらの空き地、駐車場、生産緑地には建物が建つものと考えておく必要があります。
したがって、対象物件の南側が、空き地、駐車場、生産緑地等となっているために日当たりが良い物件というのは、現状、一時的に、たまたま日当たりが良くなっているというだけで、将来的にも同様の日当たりが確保できるというわけではないことを前提に考えておく必要があります。

上述したとおり、購入しようとする土地が所在する用途地域は極めて重要ですが、購入する対象物件が所在する用途地域だけに注意しておけば良いのではなく、隣接地や周辺エリアの用途地域にも着目しておく必要があります。
対象物件の隣接地の用途地域は、対象物件に直接影響を与えますし、周辺エリアの用途地域も、周辺の環境に影響を与えるからです。
例えば、せっかく、居住目的で静かな住宅地にある土地を購入しようと考えて、第一種低層住居専用地域内にある物件を選んだとしても、隣接地の用途地域が近隣商業地域等であった場合には、隣に商業施設などが出来てしまい、人通り、環境が大きく変わってしまう可能性があるからです。

各エリアの「用途地域」は、各自治体が発行する「都市計画図」を見ないと確認できませんが、近年では各自治体がホームページで公開しており、容易に「用途地域」を確認することが出来るようになっています。

「都市計画図」を見てみると、それぞれの街並みや環境が偶然の産物等ではなく、実は「用途地域」に基づく必然の結果であることが良く分かると思います。