とと姉ちゃん100話 17週「常子、花山と断絶する」4話
7月28日 晴
「あなたの暮らし」も出版から1年半が経過していた。
創刊号、第二出版は順調な売り上げを上げていたが
第三、第四の出版では売り上げは伸びないでいた。
思い通りに行かないこともあり、常子は、苦心していた。
甲東出版は大手出版社に吸収合併された。
常子は打開策として、広告の掲載を主張したが、
花山に反対されていた。
外出から会社に帰ると、鞠子・美子・水田・緑の四人が
深刻な表情で、先行きに、不安がっていた。
「増えるのは 出費と在庫の 山ばかり」
常子は、みんなを、元気づけようと、そんな句を即興で詠んだ。
水田は印刷経費の削減を主張した。
常子は、イラスト。絵、図解の箇所が減り、質が低下します。
花山が、次号の表紙の図案を、常子に見せた。
「イイ出来ですね・・・!」
常子の返答で、花山は、図案の失敗を悟り、描き直しを決めた。
「本当に良い物であれば、もっと、本気で喜んでくれる・・・」
「素晴らしい物を見た時の、君の反応を、僕は知っている」
三姉妹が帰宅すると、宗吉夫婦が訪ねて来てくれていた。
高崎の家は空襲で焼失して、長谷川は復員して、富代も元気で
孫は、元気に育ち、可愛い盛りの様子。
気丈だった、松さんは、亡くなっていた。
時を、同じに、するように、滝子も、すでに亡くなっていた。
かかが、「お墓参りに行きましょう」と三姉妹に言うと
「そうしてくれたら・・・母も、喜ぶ・・・」
宗吉は、神妙な表情で願った。
宗吉夫婦は東京に帰り、洋食屋を始める予定を持っていた。
「洋食屋は良いぞ!」
「高崎に行くまでは、サッパリわからなかったが」
「もう、洋食も充分勉強した」
「必ず、食べに来てくれよ!」
そして、宗吉夫婦は「あなたの暮らし」を購読してくれていた。
宗吉は常子の責任の大きさと、苦労に、心を砕き激励した。
「常子さん達の給料は、足りていますか?」
八月の給料日、水田は、三姉妹の給料を気遣い
経費削減策として、退社を切り出した。
常子は、即座に拒否をした。
「水田さんが、経理で頑張ってくれたから、ここまで来れました」
常子達は、水田を真剣に慰留した。
水田は、11万円の収入になる、広告の掲載を主張した。
花山の反対は、充分知っていたが、会社存続のために主張した。
「このままいけば、次号の出版が精いっぱいです」