BUNKAMURAで上映中の『少年と自転車』をみました。
カンヌでグランプリをとった映画。
『息子のまなざし』のダルデンヌ兄弟の監督作。
親に見捨てられた少年シリルは、偶然知り合ったサマンサに週末
だけの里親を頼む。サマンサを困らせながらも心をひらき、人を信
じたり物事の善悪を学びながら成長していくというお話。
独身のサマンサだけどシリルに本気で対することで人を守ることの
責任と喜びを知っていく。
特に恋人に自分かこの子かと選択を迫られたとき、迷わずシリルを
選ぶ場面がいいです。
シリルが親に冷たくされ捨てられてもなおかつ信じようとする気持ち、
他の人は信じられず神経がむきだしになっているような傷つきやす
さがストレートに伝わってきてイタイくらい。
最後の最後まで生きづらさを感じさせる映画で辛いんだけど、一筋
の光は見えてくるかな。
この映画のベースには日本での出来事がかかわっているんですっ
て。
監督が前作のプロモーションで来日したとき、女性の弁護士から
児童養護施設に預けられた子どもの話を聞いたらしい。
父親は迎えに来ると約束したが姿をみせなかった。子どもはそれで
も父を信じて屋根にのぼって父親が来るのを待っていたが、あるとき
屋根にのぼることも、親を待つこともやめ、それ以来誰のことも信じ
なくなった、という話。
そのイメージが頭の中にずっとあってこの映画になったとのこと。
映画を見ていると遠い国の出来事のようだけど、日本の子どもの話
がベースになっていると聞くと最近よく聞く虐待を思う。
楽しく子育てできる社会にするために何をしなくてはいけないのか、
里親制度の充実など、子どものいない人も含めて考えなくてはね・・・。