双子の素粒子を誕生させた後、遠い場所に引き離しても、
片方に情報を与えると、
もう一つの素粒子にも同じ結果が出るという現象があり、
今の科学はそれを説明することができない。
素粒子同士には連絡手段が一切存在しないのである。
科学者は、お手上げで、
「それがこの宇宙なんでしょう」としか言いようがない。
この問題を解決するには、次のように考えるしかないのかもしれない。
……
マンションやホテルの部屋の番号は最初に階の数がついている場合が普通である。
たとえば310といえば3階の10番目の部屋という形になっている。
あるマンションに、
3階の1番目の部屋に301という部屋があり、
同じフロアの端に310という部屋があった。
二つの部屋は離れており、情報の連絡手段はなにもない。
ある時、301という部屋の番号を住人が401と書き変えてみた。
そのあと310号室をたずねてみると、
なんとその部屋の番号も410になっていた。
301を401に書き変えたら、
なぜ310までが410になってしまったのか?
これは一体どういうことなのだと住民は頭をかかえた。
そして、こういうことではないかと気づいた。
「301号室自体がエレベーターになっていて、

部屋の番号を410に書き変える行為そのものが、

エレベーターを動かすスイッチになっていた。
部屋は書き変えた瞬間に4階フロアに移動してしまった。
だから10号室をたずねると、そこが410になっていて当然だった」
……
不可思議な現象を説明する方法として、
連続する多元宇宙の存在を認めるという考え方である。
双子の素粒子のひとつにAという情報を与えた瞬間に、
もう一方の素粒子にもAという情報が現れるのは、情報が伝わったのではなく、
双子の素粒子が両方とも最初からAという情報をもっている別の異世界宇宙に、
観測している科学者そのものが、移動してしまったのかもしれない。
素粒子に情報を与えることが、
連続する多層世界を移動するスイッチになっているのかもしれない。
その異世界宇宙は元の世界とは素粒子1個の違いしかないから、

観測者は移動に気付かない。
もちろん、不可思議な実験結果のニュースを聞いている人間は、
引っ越し先の世界の住人ということになる。