時間は背伸びする

 

 

 

 

 

失ってしまったかのように思っていた時間は僕の中にまだあるんだと気がついたのは巨木がひしめき合う森の深淵だった

 

そしてその深淵の中で僕の中に蠢いていた曖昧な憶測や疑心は音もなく塵となって消えていった

 

軽やかに葉を揺らす風が去っていき、どこまでも透明な静けさが続いている

 

僕が僕であるという思想のような形が解けていく幻想を見た気がした

 

いつのまにか日だまりのような温もりが僕を包みこんでいた