村上春樹『古くて素敵なクラシック・レコード』 | さむたいむ2

さむたいむ2

今日も元気で

 

村上春樹の『古くて素敵なクラシック・レコード』(文藝春秋刊)という新刊があります。

彼の所蔵するクラシック・レコードの中からの100選で、それも名盤とか推薦盤というのではなく、中古レコード屋のバーゲン箱から探し出したお気に入りのジャケットを選んでのことです。

ここにも彼のこだわりがあって、指揮者やオーケストラではなく、また好きな作曲家といった選びではありません。

 

私なぞアナログではなくCDを選びますが、確かにジャケットのデザインならアナログLPに敵うものはありません。ただデジタル録音のCDとアナログ録音のLPとどちらの音質がいいかなど、よほど装置にお金をかけなければ違いなど分かりません。まして聴き分けられる能力など怪しいものです。さらに音楽会など行ったこともない私が、レコードと比べ、その音響、音質の優劣など語ることもできません。

 

そう思うとジャケットから入り込むというのは一案かもしれません。レコード製作者の思いを汲み取ること、たぶん彼は作家として製作者側から発する意思のようなものを読み取ろうとしているのでしょう。すべては形から入ることが大事だからです。

 

村上春樹は短編集『一人称単数』以降小説を発表していません。雑誌などには書いているかもしれませんが「ハルキスト」ではない私には、それを追う気持ちもありません。ただなぜこの『古くて素敵なクラシック・レコード』を購入したかというと、この本ビニールで封をしていて中を見ることができなかったのです。縦16.5cm、横15cmという小形の装幀で、おまけにビニールケースに入っています。なぜ四六版のハードカバーにしなかったのでしょうか。きっとここに製作者の意志があるのでしょう。そして彼がセレクトしたレコード解説が一枚一枚丁寧に書かれています。

 

はたしてそれが読者の感銘を受けるかどうか?村上春樹には知ったことではありません。