朝起きて風が強くてびっくりしました。

 この間まで、金木犀があちこちから秋を知れせてくれていましたのにもう、冬ですか?

 仕事をしていた頃は、朝は起きたらすぐにお米を洗って笊にあげて、それからお弁当

 に入れるおかずにかかります、前の夜から下拵えしておいたモノもあれば、朝サッサと

 炒めたり、揚げたりできるモノもありますが、小さな風呂敷に包み終えるまで、やっぱり

 小一時間はかかります。通勤のために、洋服も靴もこざっぱりしたモノに着替えて、玄関の

 鏡で、最終チェックしてから家を出ます。分刻みの朝一番の仕事です。


 専業主婦になって、まずそれがなくなりました。お弁当は作りませんが、その分今まで

 朝は近くのモーニングで二人済ませていましたけど、朝からトーストとコーヒー、ちょっと

 した野菜や果物を添えたり、ジャムやハチミツを用意したり、あわてないで、ゆっくりと

 木漏れ日の中で朝食をとることができます。ワタシの出勤時間に合わせて一緒に喫茶店へ

 行ってましたので、その頃は仕事にメリハリが出来て、まるで勤め人みたいに午前中に

 仕事がはかどっていたと、ツレが言ってます。


 今は拘束されない自由な時間が毎日、贅沢に流れていきます。

 どう使ってよいのか、戸惑いました、母を亡くして、頭の先から足の先まで全部脱力感に

 苛まれて、仕事も辞めてしましました。台所に立てない、お料理なんて作れない、スー

 パーへ入れない、ただ、ただ涙の日が続き、ただただ慰めるツレがいました。

 丸4年が経とうとしています。コスモスが咲く頃に大腸癌が見つかり、入院したかと

 思ったらたった14日で、亡くなってしましました。

 
 こうしてその当時の事をこうして文字に打っていても、平気になりました。

 絶対、立ち直れないと思っていたのに、今はたぶん一体になったという感じです。

 あの劇的おかあちゃんと一体になりたくないんですが、ある日、かあちゃんがワタシの

 処へ入っていました。親を失うじゃなくて、ワタシの場合は随分前に失ってましたから

 この世から居なくなってしまった事実が、ワタシをドップリと包み込んで、いつも

 震えているようでした。テレビを見ながらご飯を食べていても、ザーと涙が流れるん

 です。長い時間親と暮らしていた人はさぞ、親との別れが大変だったでしょうね。


 いいえ、違う。


 時間じゃない、親と子供は、ワタシとおかあちゃんは一つ屋根の下で6年生までしか

 暮らしてないけど、他所の1年が5年ぐらいの凝縮された親と子の関係だったと思えま

 す。悲しいこともだぶん他所の5倍あった、楽しいことも5倍あったはず、つじつまが

 ちゃんと、合うようになってる。



 一秒前が過去、一秒先が未来。毎日時間を垂れ流しにしてないかしら。水道の蛇口から

 ポタポタと水滴が落ちるように刻々と時間がきざまれ、朝になり夜になり、春が来て

 また、冬が巡ってきます。そうしてワタシは運が良ければたっぷりと年をとって、明日

 がきたら儲けものみたいな穏やかな人生の終末を迎えることができるでしょうか。

 誰もわからない。1年が5年凝縮された時期を過ごしたことがあるワタシ、これからの

 贅沢な時間を昔、昔知恵を働かして家を守った専業主婦を全うしようと考えています。


 子供の居ない人生をやってきましたので、専業主婦になる準備が全くできてません。

 もう、がむしゃらにおっさんみたいに働いてきました。おっさん以上の収入もあり
 
 自ら、おっさん人生をつっぱしてきましたが。ふと気がついたら、仕事を辞めても

 おっさんでした。真っ白い割烹着の似合う明治、大正な主婦を目指します。

 辰巳芳子さんはたぶん、ご存知ですね。そのお母様の浜子さんもご存知ですよね。

 でも、もっとすごい専業主婦がいらっしゃたんです。

 
 
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  中江百合さん 明治25年生まれ

 家庭料理の第1人者、お姉さんは、あの女優の東山千栄子さんです。

 お料理だけでなく、終生一級品の追求と美味三昧の生涯でした。

 彼女が考えた「お料理いろはかるた」は「暮らしの手帖」で連載されました。

 そのいろはのいを今日はご紹介します。


          いの一番、料理は親切

   老人には老人向き、若者には若者むき、子供には子供向きに

   その人の嗜好に合うよう、調理すると共に材料に対して愛を持って

   取り扱ってやることです。どんな立派な材料でも無慈悲に取り扱われた

   のではよい料理の出来るはずがなく、人に捨てられて省みられないような

   材料でも使いようによっては思わぬ美味しい料理もできるというものです。


 こんな素晴らしい、いの一番。森羅万象、考えようによっては人生教訓にも

 匹敵する、むずかしくなく、誰にでもわかる礼節で、品格のある教え。

 明治の女です。こんな明治の女がいたから、明治の男もすばらしかった。

 このかるた、復刻版が出ています。

 ワタシは幼少時からの愛読書「暮らしの手帖」でもって、生意気にも知っています。

 はやりのお料理本よりも、ずっと手元に置いておきたい、一級品のかるたです。

 今日も長い、長いブログです。お付き合いくだすった方ありがとうございます。

 

 でわ、今夜はこの辺で。夜気温が下がります、体調をくずさないように。

 早く寝るのか一番です。美容のためにも。