新型コロナウイルス感染症の自宅療養者に対する医療支援を開始して、一週間が経ちました。

 

月曜から土曜の24時間体制で医師会や保健所からの往診依頼に応じて、15件の患者様の診察をさせていただきました。

 

ある1日は、SpO2:88-92%とパルスオキシメーターの数値が非常に低く、肺炎を起こし、低酸素血症が進行しているために今すぐにでも入院が必要な状況でしたが、夜間のため入院調整は困難を極めることが予想されました。

さらに最悪なことに、どの業者に連絡しても酸素濃縮器の在庫が底をついたという返答であり、目の前の患者様に対して「がんばって」と手を握ることしかできませんでした。

"うつ伏せ"による呼吸のサポート(腹臥位療法)をお伝えし、少しでも低酸素血症が改善するようにと、ただただ祈るばかりでした。

「この体勢(うつ伏せ)をとっていれば、良いんですね!」「がんばります!」と言った患者様の顔を忘れることができず、この日の夜は仕事を終えた後も、ずっと心のなかがザワザワし、なかなか眠りにつくことができませんでした。

 

ある1日は、患者様がご自身で救急要請をしたものの、搬送先が見つからずにお独りで自宅療養をされていました。

安静にしていれば呼吸症状は落ち着いているものの、トイレなどの歩行時はSpO2:91%まで低下し、息苦しさを自覚していました。

往診日には運よく酸素濃縮器の手配ができ、入院先が決まるまでは腹臥位療法を行うようにと提案させていただきましたが、ご高齢で独居のため、万一の急変時に果たして助けを呼ぶことができるのか、ご自宅をあとにした後も不安が残りました。

 

ある1日は、保健所経由で翌日にすでに入院先が決まっている患者様でしたが、往診時にはSpO2:92%と低く、さらに複数回の下痢や39℃の発熱が続いているために、疲労感が顕著でした。

手持ちの解熱薬も全て使い切ってしまい、お若い患者様でしたがふらふらの状態で、インターホンに出るのもやっとの様子でした。

酸素濃縮器の導入と内服薬をお渡しし、明日入院できるまで今晩は十分に水分摂取をしていただくように、とお伝えしました。

 


自宅療養者の医療支援をはじめてから、病院ではあたりまえにできることが、必ずしもできない現状というのを今週は毎日のように目の当たりにしました。

 

また、医療資源の枯渇は深刻で、酸素濃縮器だけではなく、製薬会社から一部の内服薬の入手も困難となっており、私たちにできることはほんの些細なことしかなく、自分たちの無力さも痛感しました。

 

そのようななかでも、患者様から「先生の顔がみれたから安心できた」「来てくれてありがとう」という声を聞くと、私たちも勇気づけられるとともに、ご本人はとてつもない不安や恐怖のなかで自宅療養をされていることを実感します。

 

また明日からも、今できることを精一杯に尽くそうという思いで、1日も早く状況が好転することを祈るばかりです。