通勤の車中でNetflixを観るのは楽しみの一つ。

 
最近は懐かしのドラマLOST をシーズン4-6まで一気にBinge watch した。面白かったー!まだ息子が産まれる前からよく夫と見てたけどシーズン3までしか見なかった。今さらという感じだけど結末は結構泣けました。真田広之も出演してたのね。知らなかった。
 
昨日は帰路の車中、ドキュメンタリーのTake Your Pillsを観たんだけど、これはショッキングだった。
 
アメリカではADHDの子どもが近年急増していて、そういう子たちに日本では覚醒剤指定されているアンフェタミンのアデロールやリタリンが処方されている。そのアデロールについての映画で、小学校3年生から成人するまでずっと毎日飲み続けていた男性を始め、試験勉強が捗って成績が上がるからと服用する女子大生達、深夜までぶっ続けで仕事ができるからというグーグルのエンジニア、ゴールドマンサックスの銀行員、怪我が続いてスランプに陥っていたアメフト選手など、実に多くの人がこの薬の力を借りている。

私は飲んだ事ないからどんなものか知らないけど、飲むと集中力が上がって、じっと座っていられる、勉強や仕事などが難なくこなせるようになる、何時間も起きていられる(というか眠れない?)、まるで別人になって、様々なタスクでぶっちぎりの結果を出すことができるという、魔法のような薬らしい。
 
子どもの頃からずっとアデロールを飲み、大人になった今、もうやめたい、と言っていたアーティストの青年は
 
「薬を飲むと、歯軋りが止まらなくてね。典型的なこの種の薬の作用なんだけど。それで、目が冴えちゃって、朝まで眠れないんだ。」
 
と言っていた。
 
だって、一種の覚醒剤だからね。そりゃ、眠れないだろうし、脳内興奮状態で、歯軋りしたり、瞳孔が開いたり、喉が渇くでしょ。
 
「最高の大学に行って、最高の成績を保ち、最高の仕事に就きたいなら、アデロールは必需品です」
 
と、シリコンバレーのスタートアップを経営する、いかにもスタンフォードでも出たような感じの若きエリート社長がキッパリ断言していたのが印象的だった。
 
トップに立ち続けるには、勝ち続けるには、クスリの力を借りて自分に鞭を打たないとやって行けないという、現代アメリカ社会の壮絶なプレッシャーを垣間見た。
 
まあ、大人が自分の意思で服用を選択するならそれは自己責任だからまだしも、小学生ぐらいの子どもにそんなものを処方して毎日飲ませて、本当にいいのだろうか???ガーン しかも成績が上がるからと、ADHDでもないのに子どもにこの薬を飲ませている親すらいるというから、恐ろしい。
 
私がかつてアメリカにいた頃は無かった現象だし、そもそもADHD なんていう概念自体が存在しなかった。
 
子どもは好奇心旺盛で元気で落ち着きが無いものだし、確かに人よりそれが顕著で集団生活で辛い思いをする子はいるだろうけれど、それを「病気」「障害」扱いするってどうなの?
 
だいたいADHDって本当に科学的、医学的根拠があるのか疑問だ。血液検査などをして陽性、とか結果が出るわけではないのに、何を持って病気、障害と定義するんだろう?ここまでは正常、ここからは病気という基準は一体誰が決めるのか?
 
それでも医師が言うことだから「病気」なんだろうと盲信して、幼い子にアデロール、リタリンのような依存性の高い薬、覚醒剤の一種を飲ませて「治療」する。だって、医師も製薬会社も儲かるし、学校の先生だって自分の苦労が減るから当然勧めるだろう。もちろん、本当に学校生活が苦しくて、投薬が必要な子も確かにいるのだろうし、それは各家庭の判断。投薬がどんな結果になるかは誰にもわからないし、難しいところだ。

でも私なら、それは最後の最後の手段にしたいし、もし学校の先生がそんな治療を受けることを勧めてきたりしたら、そんな学校はこちらから願い下げだ。医師や先生の言いなりになって、大切な子どもの心身の健康を損なっては元も子もない。親が子どもを守らなくては。
 
長期に渡る向精神薬の服用が脳にどんな影響を与えるかもわかっていないし、依存してしまったらやめるのに苦しい思いをするというリスクもある。まして、何でも吸収する、可能性に満ちたデリケートな子どもの脳だ。
 
毎日薬を飲ませて、瞳孔が開いて、歯軋りが止まらなくて、頭がキンキンで眠れないという状態にさせてまで、大人しくいい子にしたいのか?本当にそうしたほうがいい子も確かにいるのだろうけど、そもそも、薬は症状を抑えるだけであって、治療ではない。私がいくら白髪染めで髪を染めても、白髪はやっぱり生えてくるように(笑)、薬を飲んだからって本来の体質は変えられない。その時は良くても、その子が大人になって、依存症や精神障害で生涯苦しむようになったとしたら、なんのための治療だろう?
 
薬が切れたら、ドーンと気分が落ちて、また同じ問題に直面する。それが怖いから、もっと飲むようになって、量を増やさずにいられなくなる、とアメフト選手は映画の中で言っていた。

リタリンやらプロザックやら合法的な薬はもちろん、イリーガルなものだったらヘロインなど、老若男女、アメリカは、まさに薬漬け。
 
私は近年アメリカで銃乱射が頻発する背景には、絶対にこういう向精神薬の服用、乱用があると思う。銃乱射の犯人は、ほとんどが抗欝剤など、なんらかの向精神薬を服用していたという。
 
薬のせいでそうなったのか、そういう気質があったから薬を飲まないといられなかったのか、どちらが先かはわからないけど、少なくとも薬漬けになると、量を増やさないといられなくなって、人によってはそれで理性、人間らしさを失ってしまうのではないか。
 
薬のせいで助かった、社会生活を送れるようになったという人ももちろんいるだろうし、一概に悪いとは言わない。皆、色々な事情で薬の服用に至るのだろうけど、やっぱりアンフェタミンのようなものを子どもには安易に与えるのはどうかと、、、。
 
どうしても子どもに飲ませるなら、親もしばらく飲んでみるべきだ。それで身体、精神に及ぼす影響を自らの体で実験してみたらどうだろう。
 
そして、安易に薬に頼る前に、子どもとしっかり向き合って、他のあらゆる手段を試してみるべきだ。
 
それでもどうしてもダメで、フツウの生活を送れないというなら、、、薬も一種の選択なのかもしれない。
 
成人してやっとアデロールをやめることにしたアーティストの青年は
 
「薬には助けられたのかもしれないけど、自分に子どもができたら、何があっても絶対にアデロールは飲ませないよ。たとえ子どもがADHDって診断されても、集中力を高められる方法は薬以外にあるはずだから。」
 
と言っていた。

それが全て物語っているように思う。


 
いやーー、ますますアメリカって恐ろしいと実感した。アメリカの大学などに子どもたちを行かせるのは、良く考えたほうがよさそうだ。成績のため、と気軽にアデロールを飲んで、薬漬けになってしまうかもしれないから、、、。