吠えて吠えて一家全員気が滅入っていた隣家のビーグル犬。

 

ある夜、2階の子供たちの寝室から、台所の奥の部屋でケージに閉じ込められ、絶叫している姿が見えた。

 

出して!出して!ってケージに小さな体で何度も体当たりしている姿を、子供たちとじーっと見ていた。

 

「ほら、ママ言ったでしょ?犬のせいじゃないんだ、閉じ込めるあの人たちが悪いんだよ」

 

と息子。

 

さすがに可哀想すぎると思った。

 

あんなところに一日中閉じ込められてたら、人間だって狂うよ!

 

15分ぐらい吠えた後、子犬は疲れて眠くなったようで、諦めて寝そべって、ケージの中でしょんぼり眠りについた。

 

次の日、うちのメイドちゃんが隣家のメイドちゃんについに抗議した。彼女は日中家にいるので、あの鳴き声に誰よりも一番参っていた。

 

なんで一日ケージに閉じ込めているのか、と聞くと、あちこちにおしっこするし、悪戯もするから、そうするように言われている、と。

 

じゃあ、ケージのある部屋の窓や勝手口のドアを閉めるなり、人が見てやれるときはしばらく外に出してやるなり、なんとかしてくれない?こっちは一日中あの声を聞いて頭がヘンになりそうだ、と訴える。

 

奥様から窓を開けるように言われているのでそうしている、ということだった。

 

そのメイド自身も、相当気が滅入っていたらしく、私も頭がヘンになりそう、と言っていたそうだ。

 

さて、この会話が功を奏して、次の日から飼い主は、ケージ閉じ込めの刑をやめて、子犬を裏庭に出した。

 

あれだけ吠えていたのも嘘のようにピタッと止まり、子犬は広い裏庭でご機嫌そうだ。家には入れてもらえないので、お腹が空くとちょっと鳴くけど、前みたいに悲壮な絶叫はもうしなくなった。特に大きな悪戯もせず、ぬいぐるみと無邪気に遊んだりして、大人しくしている。

 

 

まだこんな小さい赤ちゃんなのだ。そりゃあ、ひとりぼっちであんなケージに入ってたら悲しいだろう。

 

子供たちと一緒に近くに寄ってみたら、写真の左のほうにあるブロックの四角い穴に頭を突っ込んで、必死でこっちに来ようとする姿が笑えて可愛い。頭をなでてあげると尻尾を振って喜ぶラブラブ

 

でも、誰にも遊んでもらえず、一日の大半をここで一人で過ごしている。小さい子供たちも、全然出てこない。ときどき、うちの子らが様子を見に行ったり、ブロックの穴から頭を撫でたりしている。

 

誰かが家から出てくると、いたずらでもしているのか「シッ!」とか「ノー!」「あっち!」とか怒られる声ばかり聞こえてくる。

 

昨夜、日が暮れて暗くなったら、ちょっと寂しくなったみたいで、子犬は勝手口の前で鳴いた。

 

そうしたら、男の子が出てきてキッチンに入れてあげた。勝手口のドアが空いて、暗い裏庭に明るい光がこぼれた瞬間は、なんだかマッチ売りの少女がマッチに火をつけて温かいストーブやごちそうを夢見ているあのシーンのようだった。ああ、やっと遊んでもらえるのかな、、、お願い と思ったら、数分後、また絶叫が始まった。単にケージに入れて寝かすために中に入れただけだったのだ。ガーン

 

ケージが死ぬほど大嫌いなんだ!と全身で訴えるかのように、子犬はけたたましく吠え続けたので、諦めてまた外に出した。

 

「外は暗くて寂しいけど、ケージよりはマシだな~ 得意げ」と納得したかのように、子犬は床についた。

 

よかったね、出してもらえて。

 

そんなわけで、気がづくと、子犬の一挙一動を見守っている今日この頃なのだ。にひひ