ミチコばかりいっつも可愛がられている。何かにつけて、お姉ちゃんだからという理由でアタシが我慢させられる。ミチコは目が大きいし、私よりも可愛いから皆から大事にされてる。

-----嫉妬がトモエの中にいつもあった。
私の顔が可愛くないから、みんなから優しくされないんだよね。。心の中でそう呟く事があった。

自転車を借りて、今日はおじちゃんと公園に行く。最近乗れるようになったから、知らない場所を走れるの嬉しいな!お母さん達は後から来るんだって♪小雨だけど、へっちゃらだよ!
おじちゃんが後ろから来るし、迷わないよ。

トモエは公園に着くと、お母さん達は「あっちの方にいる!」とおじさんから指をさされたマラソン森林ゾーン方向に行くことにした。

小雨も降っているしランナーもいない。もう夕方。。あれ?でもやっぱりお母さん達はいないよ。おじちゃんはウソついたの?(やっぱり親戚の子の中で、あたしの顔が可愛くないから…?)


小雨の降る見知らぬ公園で迷ってしまった。薄暗さと静けさに包まれて、広大な公園に独りぼっちになった。

薄暗い公園には目印も見当たらない。。
もと来た道を戻るしかない。
「確かこっちから来たよね。。」
…勘を頼りに戻ってみるが、同じような木ばかりで代わり映えがない。


神さまどうかお母さん達に会わせてください!知らない所で迷子になりたくないです、おばちゃんの家で皆と会いたいです。。

泣きながら、走り続けると見覚えのある公衆トイレが見えてきた。

もしかしたらこの裏に行くと、おじちゃんと別れたところに出るかも?!


-----お母さん達の声らしき声が聞こえてきた。

「ここだよー!!」声のする方に呼び返すとお母さんが走ってきた。
「あーよかった、心配したよ。」お母さんが泣きながら抱きしめた。

おじちゃんはなぜウソをついたのか?
ヒドい…!迷子になった理由も言えず、トモエは皆と公園を後にした。


トモエが見つかってよかった。
大事にならずに済んだし、トモエも何も言ってこなかったから良かった。
久信は内心ホッとした。



雨の降る中、片手で傘を指して自転車漕いでいるおじさんの背中は目に焼き付いている。
「お母さん達が『あっちにいる』って確かにおじさんは言ったのを私も聞いた」ミチコは久信の自転車の後ろに乗っていたのだ。

公園に着いた時、お母さん達が来ていないのにおじちゃんは『あっちにいるよ』ってお姉ちゃんに言ったんだ。だから行っちゃったんだよ。あの時、おじちゃんが嘘言わなかったらお姉ちゃんは迷子になんてならなかったんだよ。

久信は自分が発端でトモエが迷子になったことを誰にも言わなかったが、
まさか幼いミチコが状況を理解していたとは知る由もなかった。

ミチコは大人になっても、姉が迷子になってしまった忌まわしい記憶は焼き付いていた。

当時の自分を責めていた。

なぜ直ぐにおじさんへ怒りを顕にできなかったのか。。あの時ちゃんとおじさんに、文句言えてたら少しはお姉ちゃんも報われたのに。。
あの時を思い出すたび姉に侘びたが、教訓としてミチコは心の中でいつも誓った。 

怒るべき時に、怒れる人間に!
主張すべき時に主張ができる人間に!   

(迷子 了)