その子は、小さなゲージに入れられて 小さく 震えていた。



大寒波の今日、大きなビルに迷いこんだ 子猫は 人間に捕らえられ

地下の冷たい風が強く吹き込む その場所で とりあえず 保管されていた。



目はやにで固まって、片方が微かに 開いている。

優しいどなたかが エサを 持ってきたのか

しかし しっかり鍵がかかっているそのゲージは

ゲージというよりは 捕獲用のオリ

は 簡単には 開かない どころか

管理の厳しい大きなこのビルで 勝手な行動は許されない。



心が大きく傷んだ。



仕事に戻るが 心を奪って その子のことが 頭から 離れない。



許可を得て、ほんの少し 風のあたらない 場所に移動して

段ボールをひき、囲いもしてあげたが できることは それだけ



ほんの少し 震えが 止まったような気もしたけど...





深夜 ビルから離れた場所で 離してくるとのことだったが

外は雪がつもり、その何時間後も 雪は降るとの予報

室内でも寒くて仕方ないこの日に 果たして あのこは もつかな...



もう一度 様子を見に行く

よく観察してみると

わずかな 体力を 振り絞って

しゃー💢💢💢

威嚇しているのか

耳を済ますと 微かに 泣いているようにも聞こえるが

残念ながら もはや 声には ならないようだ





わずかに開いた片目に映っているだろう

私の方を見て



「助けて」



叫んでいるかに

私には 感じられずにはいられない







もう20分もすれば、鍵をかけ職場は閉めなければならない



どうしよう



一晩だけ 家に 連れて行こうか

また 前 連れてきた猫みたいに 戻ってきたら

今度 大家さんに見つかったら  今度こそ 追い出されるだろうな

でも あのこは 果たして こんな大寒波の晩に 見知らぬ土地に放置されて 大丈夫かな







職場に鍵をかけ もう一度 逢いに行く

ビルは もう1時間もすれば 入れなくなる





涙が出た













以前 大雨の日に保護した子猫は

一晩 家で暖めて エサも食べて 元気になったと

保護したその場所に返したけれども

翌晩 お母さん お母さん

そんなふうに 泣き叫んで

玄関を開けると 目一杯 頭を 上げて 

私に お母さん   

とでも言っているかのように にゃー 

泣いている。





ごめんね

玄関を閉めるしかなかった私のことをどう思っただろうか



無責任な同情からの自分の行動を強く 強く 反省した。







身を引き裂かれる思いで

この子を 連れて行っていく係の方が 同じように 思ってくれて

もしかしたら 保護してくれるかも



放たれたどこかで ちゃんと 責任持って保護してくれる優しい人に出逢えるかも











ビルを出ると、

ちょうど 雪が 舞いはじめてきた





ごめんね

連れていけなくて

涙が 凍りそうな 帰路になった