これは、にゃにこと私の物語
長くなりますのでお時間のある時に読んで頂けると嬉しいです。
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君と初めて会ったのはいつだったのだろう?正直覚えていない
君は私が気づく前からずっと遠くから見つめていたのだろう・・
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2012年の春、母親が盲腸を拗らせて2か月近く入院した
その頃会社勤めをしていた私は毎日家にいる父親におにぎりと簡単なおかずを作って置いていった
当時の実家はほぼ開けっ放し状態
ある日家に帰ると父親が「昼飯を泥棒猫に食べられて何も食べてない」と言っていた
そんな事が度々あった
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時を同じくして庭に置いてあった生ごみ入れのバケツが毎夜ひっくり返される
私は「あの野良猫だ!!」と勝手に君の仕業と決めつけた
毎朝のバケツ掃除にうんざりしていた時に
猫の食べそうな物を別の場所に置くようにした
すると次の日からバケツを倒される事はなくなった
その時に「あいつは意外といい奴なんじゃないか?」と思い始めたんだよ
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その頃は君の事を「にゃに太」と呼んでいたよね
真っ黒でブサイク
君はてっきりオス猫だと思い込んでいたから
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君が間違えて家に入り込んでしまった時は
君を追い出すのに手こずった
奥に奥に入り込み
家中を開けっ放しにして
半日くらいしたら君は居なくなっていてホッとしたのを覚えている
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君は3日に1回か長いと1週間に1度くらいしか顔を出さなかったね
そして私が少しでも近づこうものなら威嚇して遠くまで走り去る
それなのに外に洗濯物を干しに行く私の前を大きな声で鳴きながら横切ったり
私の視線の先にいたりと
自分の存在を猛アピールしていたよね
君の扱いは慎重にしたよ
けっして追いかけないし触らない
そして徐々に間を縮めていったんだ
キティちゃんの食器を気に入ってくれていたのかな?
大きな声で餌の催促をするのに激しく威嚇する
「どっちやねん!」と何度ツッコミを入れた事か
だんだんと威嚇しなくなり
でも餌入れを差し出す私の手には強烈な猫パンチが飛ぶ
しかも爪を出しているので私の手はひっかき傷でいっぱいになった
その内に爪を出さなくなり
餌を食べている時に頭に触れるようになった
背中を両手でそっと抱き上げられる様になるのに3年くらいは掛かったのかな
いつの間にか二人の間には友情の様なものが芽生えていったんだよね
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ずっと飼いたかった憧れの白黒八割れ猫なのに口の周りにのりが付いている
姉はその顔をみて「口の周りの黒いのだけならまだいいけれど上下にピピっとはみ出しているのが致命傷だよね」と言った事が今でも忘れられない
もうひとりの姉は「本当に泥棒猫だよね」と笑った
でも「こんな顔に生まれて可哀想に」と思っていたのに
いつの間にか「こんなに可愛い猫さんはいないよね~」
「むしろこの黒いのがなければ可愛くない」とまで思うようになっていたの
本当に大好きだったんだよ
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どうやって上がっているのか不思議だったけれど
ある時抜群の脚力で下から駆け上がるのを見せてくれたんだ
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君はかなり遠くまでお散歩に行っていたね
ごんちゃんとのお散歩中に見かけた君は「まずい!」と思ったのか
近づかれないようにかなりの速足で帰っていった
でもね、君の柄は独特だから遠目でもすぐにわかるんだよ
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それから狩りが得意で、ねずみを捕まえては大きな声で鳴きながら自慢げに私に見せに来てくれたね
大きな鳥やここには書けない動物を捕まえて来た事もあった
何度もやめてって言ったけれど君は聞く耳を持たなかった
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君には私の話を沢山聞いてもらったね
返事はなくても聞いてもらうだけで安心できた
これからは一体誰に聞いて貰えばいいんだろう?
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どこから来たの?
どうしてこの家に来たの?
お父さんやお母さんはどんな柄だった?
まだまだ聞きたい事は沢山あるのに・・・
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去年のお正月に猫風邪を拗らせた時は
目も鼻もぐちゃぐちゃで
全く食べない日が数日続き本当に心配した
「死なないで!死なないで!」って何度もお願いしたよね
でも君は、ほんの少しのお刺身を食べる事から2週間で見事に復活したんだ
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やっと膝に抱っこさせてくれたのは去年の事だった
頭をぐんぐんと太ももに押し付けてきたよね
とっても甘えっこになった
用心深い君は台所よりは奥へ入らない
ガサツな母親が苦手で居たら絶対に入ってこない
そんな君が年末ぐらいから家の中に入って母親の座椅子で寝るようになっていたね
いま思えば君は少しずつ弱っていたのかもしれない
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君がご飯をほとんど食べなくなったのは3月初め頃だったのかな
「にゃにこ~」と呼ぶと寝ているハウスから「にゃ~」と鳴きながら元気よく走って来て
匂いは嗅ぐのに
大好きだった茹でた魚や肉、お刺身も食べなくなって
君の我儘だと思っていた私は「お母さんは一体何をあげればいいの??」と叫んだ事を覚えている
益々食べなくなって君はガリガリに痩せていった
一日10粒ほどのカリカリやほんの少しのちゅーるで命を繋いでいたんだ
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元野良猫の君を病院に連れて行く気はなかったんだよ
以前飼っていたワンコで辛い思いをしたからね
でもまだ君を失いたくなかったんだ
あと5年、いや少なくとも3年は一緒にいられると思っていたのに
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土曜日にお姉ちゃんが泊まりに来て
君は果たして一緒に寝られるのか?と心配していたけれど
すんなりと受け入れたね
日曜日に皆で出かけて帰ってきたら君は姿を消していた
その時もあちこちを探し回ったよ
結局見つけられなかったけれど・・
その夜、私はパートナーの家へ行き
君は死期を悟っていなくなったと思っていたんだ
月曜日の朝、帰って来る時に車の運転をしながら
「にゃにこ~にゃにこ~」と叫びながら号泣したんだよ
そうしたら奇跡が起きたんだ!
君は帰って来ていた!
もう一度抱っこさせてくれたんだ
どんなに嬉しかった事か
そして私は動物病院へ連れて行こうと決心したんだ!
君はキャリーケースに入れると大きな声で鳴きながら怯えていたね
診察台の上に置かれて
キャリーケースの扉を開けた先生に向かって2回威嚇したよね
まだそんな元気が残っていたのか
そして診察の為に洗濯ネットに入れられた君をみた時は思わず笑ってしまった
私がずっとあごの辺りを撫でていたから君は思ったほどは暴れたりはしなかった
説明された状況はかなり悪く
点滴をしている間中ずっと鳴いていた君
帰ってからは疲れたのかストーブの前で熟睡していたね
ここ最近眠れていないようだったので、少しほっとしたんだ
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火曜日の夜、睡眠不足だった私は20時半に布団で寝てしまったんだよ
君の鳴き声で21時半に目が覚めたけれどね
君は病院から帰って来てからは水を飲む事もちゅーるを食べる事も拒んでずっと辛そうに鳴いていた
眠れなくて座布団や私の布団の上を移動しては鳴いていた
私の枕元にも来てくれて少しだけ一緒に寝てくれたね
肩に頭をぐんぐんと押し付けて
その感触が今も残っているよ
時計をみると1時半
眠れなかったけれどその後一睡も出来なくてもいいと思っていた
でも君は私に悪いと思ったのか
押し入れに移動して朝まで大人しくいてくれた
6時に目が覚めて雨戸を開けると
すぐさまお日様の当たっている場所に移動してきたね
やっぱり寒かったんだよね
その日の午前中は仕事が入っていたので
にゃにこをどうしようか迷ったけれど
お外に出たそうだったので
段ボールベッドに入れて日当たりの良い場所に置いて出かけた
最後に見た君は涙を流しながら泣いていた
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お客様をお見送りしてなんとか午前中の診察に間に合いそうだったので
診察券を出してから家に迎えに行った
けれど
君はまた姿を消していた
あの身体で遠くまで行けるはずはないので
家の周りをくまなく探し回ったけれど君はいなかった
とりあえず事情を話しに動物病院に向かった
受付のお姉さんの「いつでもご都合の良い時にまたいらしてくださいね」という言葉が痛かった
帰って来てからも探し回ったが結局見つける事は出来なかったんだ
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夕方仲良し猫のとらちゃんが来ていた
朝にゃにこがいた場所をクンクンしている
前日お見舞いに来てくれたと思っていたのは
お別れを言いに来ていたの?
「にゃにこを探してきてよ」という私の問いかけに答えてはくれなかった
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病院が、点滴が怖かったのかな?
火曜日の夜、膝に抱っこしたのにすぐにお布団へ行ってしまったよね?
もしかして私は、最後の最後に君の信頼を失ってしまったのかな?
そうだとしたら悲しいな
でも君はすごく怖かったんだよね
今となっては病院へ連れて行った事が良かったのか悪かったのかわからないけれど
後悔はしていないよ
君は修行に行っているだけなんだよね
もしかしたら意外に早く帰って来るかもしれないし
また次に会えるまでお母さんはずっと待っているよ
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君が姿を消してからもう一か月が経とうとしているんだね
今世界中はコロナウイルスにで大変な事になっているんだよ
お母さんもサロンを休業している
家や庭の掃除をしながらゆっくりしているよ
今だったらにゃにこを膝の上に抱っこしながら何時間でも日向ぼっこしていられるのに
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あの時に車の中で流れていた椎名林檎を聞くとまだ胸が痛む
このブログを読み返すだけで涙がにじむ
けれど
君の事を忘れることも封印する事もなく味わい尽くす
そう心に決めたんだ
さよならは言わないよ
にゃにこ
いままでありがとう。








