日々つづる -4ページ目

金剛力士立像

地元に相当評判の悪い皮膚科がある。
腕がいいとか悪いとかそんな話じゃなく、
とにかく先生の根性が悪いことで有名だ。

「この程度のことで来るな」
「医者でもないのに適当なこと言うな」
「こんなになるまで放っておく奴のことなど知らん」

等、松下幸之助ばりの名言を数々残している。


ぼくの父が体中に発疹が出たとき
この皮膚科に行ったことがあるという。

頑固な父だ。
こんな医者は大嫌いなはずなのだが
背に腹は代えられない。


先生に「すぐ診るから服ぬいどけ」
と言われた父はどこまで脱げばいいのかわからず
とりあえず上着とシャツを脱ぎ、ランニング一枚になって待っていたとのこと。

診に来た先生に
「服脱いどけと言っただろうが!」
といきなり怒鳴られた父は
ランニングを脱ぎ捨て
ズボンとパンツも脱ぎ捨て
正しい意味で「服を脱いだ」という。

あの父のことだ。
鬼の形相で5秒くらいで一気に全裸になったのだと思う。
なんなら仁王立ちしていたかもしれない。

さぞかっこよかっただろう。


「あ、あとは大丈夫だよ」
と先生はやけに優しくなったという。



父は腕の良い大工だった。