※無個性の幼馴染とヒーローになった幼馴染が出会う話。
デクside
人は生まれながらに平等じゃない。
ヒーロー番組を見ながらいつもそう考えていた。
個性と呼ばれる力が発見されてから世界は大きく変わり出した。
しかし個性の発現は稀であり、ほとんどの人が個性を持たないただの人であった。
その中でも、個性を持って生まれた人々が集まり世界平和のためにと団結した。
それが”ヒーロー”と呼ばれる人たちだ。
僕は憧れた。笑顔で助けてくれるあのヒーローに。
焦がれた、自分もヒーローになりたいと。
だけど、僕の思いとは裏腹に何も起きないままただ時間だけが過ぎていった。
中学卒業後、僕は公立の高校に入学した。
もちろん、唯一ヒーロー科がある雄英高校の入学試験も受けたが無個性の自分にはとてもじゃないがロボットなんて倒せる訳がなかった。
結果はゼロポイント、あまりにも悲惨する結果にいい加減諦めがついた。
あの時オールマイトに言われた言葉を思い出す。
個性がなくても成り立つとはとてもじゃないが口には出来ない。
あぁ、その通りだ。
今ならその言葉をしっかりと受け入れられる。
高校生活が始まり、仲の良い友達も出来た。散々僕に酷いことをしてきた幼馴染もいなくなり落ち着いた学校生活をおくっていた矢先に彼とばったり会ってしまった。
「デク…」
久しぶりに聞いた声。
幼馴染の爆豪勝己。
「かっちゃん…」
彼も無個性の1人だ。
幼い頃から僕と同じくオールマイトに憧れヒーローを目指してきた。
彼はセンスの塊で何でも人並み以上に出来てしまう、いわば天才というやつだろうか。
しかし、そんな彼も雄英高校を受験したが結果は不合格、人生で初めての挫折を味わったことだろう。
別な高校に通う彼とはもう半年以上会っていなかった
「ひ、久しぶりだねかっちゃん。高校はどう?」
そう話しかけると軽く舌打ちをしてこちらを睨んでくる。
それにビクリと身体が反応してしまう。
幼い頃から植え付けられた恐怖心はそう簡単には治らない。
「どうもこうも、最低だ。テメェだってそうだろが…」
「………いや、僕は…」
見透かされているようだった。
いくら口では諦めたと言いつつも心のどこかで思わずにはいられないこの感情を誰にも言ってもらえなかったあの言葉を僕は今も求めている。
リュックを握る手に力が入り、唇を噛む。
僕はヒーローに————
その時、目の前に彼らが現れた。
「マズイよかっちゃん。何処なんだここは?敵の個性ってワープか何かなの?」
「知らねぇよクソナード、とにかく戻るぞ」
突然現れた大人2人がギャアギャアと言い争っているが、何が起こっているのかまったく理解出来ない。
1人はクリーム色の金髪に真っ赤な瞳で派手なコスチュームを身にまとった男
そしてもう1人は緑色の癖っ毛に大きな翡翠色の瞳で、ジャンプスーツを着た男
見間違いか、
いや、これは、
緑の瞳と目が合った。
そして瞬時に悟った。
彼らはの自分達なのだと。
騒いでいた男2人が急に静かになる。
「ねぇ、かっちゃん。これは…」
「状況はかなりヤバい」
「僕達、過去に飛ばされた…」
「ってことになるな」
おそらく僕であろう男の人が頭を抱えてじゃがみ込んだが隣の男は平然としている。
訳が分からずぼうっと立っていると赤い瞳の男がこちらをギラリと睨んだ。
「おいデク」
「どうしたのかっちゃん」
「違う、テメェじゃねぇ。小せぇデク。それどこの制服だ」
「え?あ、あの、〇〇高校ですけど…」
そう僕が答えると2人は顔を見合わせてこう言った。
「別世界に来てしまった」と
つづく