◆4:死神と理想《ユメ》◆AsH DreAM ResteR(悪夢の停留所) ~時が止まったハロウィン前日夜~


—赤い満月が微笑む空の下で、懐かしい‥聖なる薫りがした…


低い満月が昇る夢の町の己の館に戻った己(オレ)に、あの白い悪魔が、やけに機嫌良く話しかけてきた。


「おい、貴様のために面白いものを拾ってきてやったぞ」


気味が悪いほどの笑顔に己はすぐに“コイツだ”と確信する。

「てめぇーダな!?こんな時に余計ナコトしやがるヤツは!!すぐに棄てて来やガレ!!」

己(オレ)の反応に満足げに気味悪く笑い、白いドレスの悪魔…墓場の王エウリノームは…、

「はっ!“コレ”を見ても同じことが言えるか!?人間臭い死神の貴様は!?」

と言い、“ソレ”を己の前へ押し出す。
“ソレ”は、急に押し出されたせいか、ふらつきながら顔をあげた…


ズキンッ‥


黄昏時のような青い髪、とぼけているような見なれた顔、黒いTシャツに白いパーカー、緑色の半ズボンに、、聖水の薫り…

胸に走った“何か”に気付かれないようにするため、狂ったように笑ってみせ、

「アぁ!?どコノ勘違い野郎だぁ!?ハロウィンはまだだゼ!?それニ…」

己(オレ)は、迷いを棄てるように“ソレ”に向かって死神の鎌を振り上げた。
一瞬、あの夢の町とAsH世界の“悪夢の夜”を思い出した…

「‥誰ダてめーハ、見た目は似てルガ、中身はまっくろダナぁ!?
ここカラ去らなけレば、己(オレ)がこの鎌で消シテやってもいいンダぜ?
‥へっ、聖職者だろウガ、関係ねぇナ!己(オレ)は未来、魔王界を支配スルだぜ」
そう言いきって睨み付けるが、“ソレ”は心が無いように無表情だ。

エウリノームはまた、可笑しそうに笑い、

「残念だったな!!ソイツは、魂がない“器だけ”の生きた屍ってヤツだ!何言っても効かないんだぞ!!」

と得意気に言い放つ。

『魂がない生きた屍!?』

己(オレ)は気味悪いくらいゾッとした。
理由は、ハッキリしない。だが、魂がないということに、己(オレ)は“コイツはヤバい”と直感する。

あの“黄昏時の髪色の少年”の魂には“天使と悪魔の羽”が宿っていたのを、己はこの目でそして“心を視れる力”で知っていた…

今、“彼”は夢の町とAsH世界を救った勇者として星になり、“天使”になって夢の町へ戻ってきていた。
…もし、彼の“闇(悪魔)の羽”の力だけが、世界をさ迷い続けていたとしたら…
また“再生”するために“魂”を求めて“ココ”に戻ってきていたとしたら……

真実に恐ろしく近い直感に、己(オレ)は珍しく言葉を詰まらせてしまった。

エウリノームは黙った己を勝ち誇ったように嘲笑う。

「どうだ!!言葉も出んだろう!?今回は私の勝ちのようだな!」


その瞬間、己の中の何かの糸が切れたように、笑っていた。これこそ“狂ったように”。

その様子を館の部屋の傍らで、怪訝そうにあの語部寓話が見ている。

ザッ…

己(オレ)は迷いもなく鎌を左右に振り切った。

パサ...

語り部寓話の魔力の本の1つのページが鎌の刃で切り落とされる。

その瞬間、その“魂なき屍”の服装があの“少年を真似した服装”から古びた旅人の服装へと変わった。
どうやら、この“ハロウィンの真似事”に寓話も面白がって力を貸していたようだ。寓話は詰まらなさそうに「‥いやはや詰まらないですねぇ~」と言ってその場を去っていく。

エウリノームも怪訝そうにしている。
己はエウリノームを見ずに声をかける。

「‥オイ、さっき、“己のために”ッテ言ったナ?
…良いダろう、“貰ってやる”ヨ…
コッチは“運命を受け入れる覚悟モあがなう覚悟モできてんダ”
“コイツ”を己(オレ)の支配下に置いテヤる、後悔しても遅いからナ!?」

そう言ってエウリノームを睨み付けた己の金の瞳は、異常に鋭く、“死神…そして、魔界の王子”としての力を見せつけるようだった。

エウリノーム、墓場の王は“面倒なことだ”とまたフイっといつものようにそっぽを向き、

「…こんなちっぽけなことで威勢がいいやつだ!…私は、貴様がどーしようと知らん。勝手にするがいい!!」

と、屋敷からまた出ていった。
“ソイツ”を屋敷に置いて。

“ソイツ”はエウリノームに置いていかれても何も思ってもいないようだ。

己(オレ)とソイツは、目があった。ソイツの瞳は、感情を持たずただ己の姿を写し出す。

「…名は何ダ?」

己(オレ)は試しに問いかけた。

ソイツは感情を持たない表情のまま、“音(声)を発した”。

「…セア(魂なき理想《ユメ》)だ‥」


“理想《ユメ》”
その名に己は、
マジカルサターン…親父(魔王)が征服しようとしている世界の古の物語を思い出した。
理想《ユメ》を求めて旅立った羊飼いの救世主のお伽噺《伝説》を…



赤い満月が、己と理想《ユメ》を窓から照らし出していた。





◆4:死神と理想《ユメ》◆AsH DreAM ResteR(悪夢の停留所) ~時が止まったハロウィン前日夜~
+*満月9/6の夜…
物語作:砂水雫☆*

作業BGM:【凱歌】 FictionJunction

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