医療行為とは、手術や注射など専門的スキルを要し、医師や看護師といった医療従事者にしか認められない行為のことです。ただし、医療機器を用いたり、薬品を扱ったりする行為であっても、体温や血圧の測定のほか、座薬の挿入や目薬の点薬などは、医療行為に当たらず、介護職員も行うことができます。また、法律上医療行為とされていても、規制対象外として介護士も行える行為もあります。たとえば、耳垢の除去や爪切りに加え、歯ブラシによる口腔ケアや浣腸などはそれに該当します。
それから、ストーマのパウチに溜まった排泄物の処理は医療行為に当たりますが、規制対象外として介護士にも認められるそうです。ストーマとは、糞尿を人工的に排出するために腹部に取り付けられた排便装置のことで、ストーマを通じて体外に排出された糞尿は、パウチと呼ばれる小袋に溜められます。そのため、ストーマ装着者が身に着けたパウチに溜まる糞尿は、定期的に廃棄しなければなりません。そしてこの作業は、介護士の仕事として認められているのです。
ただし、どんな場合でも介護士が単独でパウチに溜まった排泄物を処理できるわけではなく、要介護者に異常がない場合に限られており、介護職員実務者研修などで医療行為の研修を受講した人が、利用者本人や家族の同意を得ていることが条件になります。さらに、その都度医師や看護師の指示を仰ぐことも必要です。ですから、ストーマを装着した要介護者に対しては、『介護職員向けストーマケア事典』などのサイトを参考にして、認められた範囲内でケアを行うようにしましょう。
