一分先はミステリーな日常 -24ページ目

一分先はミステリーな日常

ミステリーの感想 アメリカ衣料 ワンピース JOJOについて書く予定ですが、果たして!

こんにちは、アワサカナです。

今回の読書感想は、春の日差しのようにさわやかなミステリー、

「切れない糸」 坂木司 創元推理文庫 です。

日常の謎ミステリーの、2000年代の旗手だと勝手に思っている、大好きな作家さんで
す!
日常の謎ミステリーとは、北村薫さんの「空飛ぶ馬」に始まる、円紫さんと私シリーズからブームとなった、殺人事件のような重大な犯罪が起きず、主に日常に潜む小さな謎を解決していく一連のミステリー小説を指します。
もちろん、人の生死に拘わる犯罪を扱わないミステリーの謎の提示と解決においては、より細やかな人物描写とリアルな設定が必要とされ、特に虚構のゲーム世界に似た、トリック重視の本格ミステリー等とは違う、執筆の難しさがあるように思います。ともあれ、このジャンルで活躍される作家さんが、様々な趣向を凝らして作品を発表されていますが、中でも坂木司さんの作品は、その読後の爽快感において群を抜いており、一部で癒しのミステリとも呼ばれています。
デビュー作の、ひきこもり探偵シリーズの主人公、鳥井 真一は、複雑な家庭環境と学生時代の陰湿ないじめにより人間不信になり、ひきこもるようになります。しかし、頭の回転が速く、わずかな情報から物事の真実を見抜く才能がある為、唯一無二の親友である、坂木司の持ち込む日常の謎を、鮮やかに解決していきます。真一は、様々な相談者の心の悩みを解決しながら、その心情に深く関わることにより、少しずつですが、自分自身の心も解きほぐされていき、やがて・・・

坂木作品の共通点として、 様々な人間関係を通して描かれる、人としての在り方、幸せの形について深く考えさせられるという点があります。そして、登場人物の一人々々が、それぞれの幸せを求めるひたむきな姿に、時には共感し、時には涙します。

本作、「切れない糸」のあらすじは、
思い掛けない父親の死をきっかけとして、稼業のクリーニング店を継ぐことになってしまった大学卒業を間近に控えた新井和也。慣れない集荷作業で預かった衣類から、様々な謎が生まれていき、成り行きから解決に乗り出すが、和也には真相を見抜くことが出来ない。そんな時、同じ商店街の喫茶店で働く、友達の沢田直之、謎多きアイロン職人のシゲさんの助けを借りながら謎を解き、人として成長していく和也の姿を、暖かな筆致で描く、連作青春ミステリです。
名探偵として、毎回、切れ味鋭い推理を披露する沢田や、和也に助言をくれる頼もしい
シゲさんも、大
きな秘密を抱えて生きており、終盤では助けられるばかりだった和也の
広く優しい心が、逆に彼らを救うこ
とになります。
とにかく、読んでいて清々しくなること請け合いの、青春ミステリの決定版です。惜しむ
らくは、続編が執
筆されないいことでしょうか。(坂木先生、続編お願いします!)
これからの、暖かい春の日差しの中で読むにはうってつけの作品です。ぜひ、どうぞ!