両親は何度か普通病室に見舞いに来たが、廊下をうろつく患者を不気味に思ったのだろう。

VIPルームに移ることを勧めてくれた。

この時の個室にはトイレはついていたが、風呂がなく、週に2回、決められた曜日に他の患者と一緒に入らなくてはいけないのが大の風呂好きにはつらかった。

湯船は浸かる気がしないほど髪の毛が浮いていたし15分しか使えないし、脱衣室も髪の毛だらけで、逆に身体が汚くなりそうだったので、この打診はとても嬉しかった。

数日経って、VIPルームに空きがでたのでフロアを上がり、移った。
部屋の雰囲気は、広いビジネスホテルを想像してもらえればだいたい正解である。
下膳は自分でしなくてはいけないが、配膳はやってくれる。

テレビも少し大きくてとても快適だった。
また食べ物の持ち込みも可になったし冷蔵庫もあったので、週に2度見舞いに来てくれる彼氏には、毎度大量のコーラを買い込んでもらった。

VIPに移ってから統合失調症治療薬(薬の名前は忘れた)の副作用が出て、激しい目眩がしたが、薬を替えたらだいぶ安定した。

毎日湯船に湯を張り、のんびりと浸かった。
1日に2度浸かることもあった。
とにかく暇だった。快適だった。

今頃大学の同期は怒涛の実習中か、私が欠けてテンヤワンヤしているだろうなぁと時々思いを馳せたが、とにかくボーっとすることにした。

VIPルーム、最高。