3月は分かれそして巣立ちの季節。

 

親、家族、友、恩師との別れは悲しいが、希望を抱いて巣立つ姿は美しい。

 

たとえ希望どおりにいかなかったとしても、やり直しができるし、年老いたロートルからすると羨ましいかぎりだ。

 

先日、輪島市の高校の卒業式の様子が放映されていた。校長が巣立っていく生徒に別れの言葉。その中で地震被害の困難の中で卒業に漕ぎつけた努力を称賛し、地元に残る人たちと一層立派な故郷を必ず再建するから、いつも故郷に思いを寄せて欲しいと話していたことが心に残る。

地震被害の混乱の中で、十分に触れ合う機会がなかっただろうし、校長としての心残りの気持ちが感じられる。生徒も残念な気持ちで巣立っていかざるを得ないが、いつかは再建されたふるさとに心を寄せ、故郷の人たちの辛苦の努力に感動し、そして別れのときの校長の苦渋の言葉を思い出すかも知れない。そこには学問だけではない教育の力を感じる。

 

全国各地の人口減少地域では教育の効率化の名のもとに、学校の合併がどんどん進められている。現状の教育行政を維持して行くには止むを得ないのかも知れない。

だが、学区の広域化による生徒の通学困難(通学手段・冬期間の寒さ、積雪、強風)、地域の保存会などと子どもたちが一部担ってきた祭り、番楽などの地方の文化や諸行事が廃れる可能性、などの諸々の課題を抱えているのである。

 

教育行政に関わる人たちは、地域の将来を担う子どもたちのことについて、もっと真剣に考え欲しいのである。