明日のために打つべし-目指せ経営コンサル- -3ページ目

3代マネーに沸く子供市場(3)

 2006.12.18号の日経ビジネスより「 趣味は育児のパパ市場」をピックアップ。

 英国マクラーレンのベビーカーが倍々ゲームで販売業績を伸ばしている。しかも国産の売れ筋よりも1万円以上も高いのにもかかわらずにだ。

 支持の理由は2つある。まずは背の高い欧米人仕様である点。マクラーレンののハンドルは国産の10cm以上位置が高い。男性でも前かがみにならず背筋を伸ばしたままベビーカーを押せる。この格好良さが受けた。

 もう1つが安全性に関する仕様だ。ベビーカーにも自動車選びと同じように細かなうんちくがあり、そのこだわりも受けた。分厚くて大きなタイヤは走行時の安定性に優れ、フレームは既存の国産品より剛性が高くガタつきにくいなどだ。こうしてお父さんのモノ好きの血を騒がせたのだ。

 もっともこの背景には日本で父親の育児参加が当たり前の時代に入っている。その根拠が立ち会い出産を選択する人の増加だ。2005年8月にベネッセ次世代育成研究所の実施した調査では立会い出産をした人の割合は55,1%に達した。さらに「仕事などの都合でしたかったができなかった」人は8割を超えている。

 この動きは住宅の分野でも新たな市場を生み出した。これまでも子育てに照準合わせた住宅はあったがそれは『子育ての負担軽減』という視点だった。親と子が一緒に育つというテーマでコミュニケーション促す仕掛けの住宅が支持されている。よってかつての団塊世代の一戸建てには子供が立ち入れない重厚な書斎があるケースが多かったが、現在は休日を子供と一緒に過ごしたいと考える父親が増え、同じ建築面積でもそのスペースを子供とのコミュニケーションの場に充てる。「育児は趣味であり、生き甲斐」という父親の増加が住宅の設計をも変えている。

 今までの「男性は仕事、女性は家事育児」という時代は終わったのだと感じた。それが良いか悪い分からないが、父親の存在が子供市場に与える影響は大きいと思う。その父親を子供市場に巻き込めたのならもしかすると子供市場の縮小が防げるのかもしれないと感じた。

3代マネーに沸く子供市場(2)

 2006.12.18号の日経ビジネスより「 10ポケット“バカおば”をご存知ですか?」という記事をピックアップします。

 10年ほど前、「6(シックス)ポケット」という言葉がマーケティング業界で流行した。子供から見た場合、両親に加えて父方と母方に祖父母が2人ずつの計6人いるという意味だ。現在ではこれに“バカおば”に象徴される叔(伯)父、叔(伯)母がスポンサーとして台頭し「10(テン)ポケット」になった。

 その背景には晩婚化、非婚化がある。未婚者の叔父や叔母の場合養う家族がない分資金力があり自分の兄弟の子供に愛情が注げる。この現象は百貨店にとって既に無視できないものとなっている。上司や知人などへの進物に比べて購入単価は1.5倍となっているからだ。

 さらに10ポケットは子供に買い与える物の棲み分けが確立されている。祖父母は入学祝の机やランドセル、節句の人形など重量感のある高級品。叔父や叔母は、高級ブランドの洋服や海外で定評のある積み木、雑貨などを購入する。

 子供への愛情が、高額消費となって子供市場を活性化させている。

 なんかこう見ると少子化が進んでも子供市場の未来は明るいように感じられますね。


3代マネーに沸く子供市場(1)

 2006.12.18号の日経ビジネスより「社会貢献の財布を刺激」をピックアップします。

 子供を対象にした職業体験型のテーマパーク「キッザニア東京」が10月に開業して以来、インターネットオークションで入場券ががプレミア付きで売買されるほどの人気ぶりだ。

 この成功の要因には、近年日本企業が力を注ぎ始めたCSR(企業の社会責任)の受け皿になった点だ。本格的な設備が売りのキッザニア東京の初期投資額は25億円。このうち約7割がスポンサーの協賛金で賄われている。単なる宣伝には腰が重い企業でも社会貢献となると話しが変わってくる。

 市場が縮む子供市場に衰退産業のテーマパーク。「子供への職業体験」をうたったCSRという変数が、大手企業から「CSR関連予算」という新しい財布を引き出した。

 現在就職活動をしてる身としては、もっと早くこういう施設が登場してほしかったと思いました。このキッザニアを体験した子供たちは働く事を身近に感じながら育つ事ができますからね。もしかしたら将来新卒の離職率が下がるかもしれませんね。

水産の“資源戦争”に勝つ

 2006.12.18号の日経ビジネスより「水産の“資源戦争”に勝つ」をピックアップします。

 12月11日にマルハグループ本社とニチロは経営統合を発表した。2010年をメドに売上高1兆円、営業利益300億円の達成を目標に掲げる。

 また統合の背景には欧米での魚需要の急拡大の事情がある。そしてその欧米での人気が需給逼迫を起こし価格上昇を招いている。しかし日本ではスーパーストアをはじめとし、値下げを容認しない傾向を示しており、水産業者の原価の値上がりを末端価格に転嫁することができずどうしても安い価格を提示せざるを得なくなっている。このため欧米勢に買い負ける事態が起こってる。さらに地球温暖化が影響し白身魚の生息地がより遠方になり、大きさも小さくなっており魚業のコスト増加を招く要因になっている。そしてここにきてマグロの漁獲規制が広がる動きも出てきている。まさに限られた天然資源を巡り各国で取り合う、いわばエネルギー産業のような構図が現実になっている。

 このような状況の中で漁港を持たずに食品加工に注力しているニチロにとってマルハの調達力は魅力的だった。一方マルハにとっても2つのメリットがある。まずはニチロの調達分がそのまま加わることでバイイングパワーの強化ができることだ。もう1つが食品分野で品揃えの強化できる事だ。マルハは練り製品、ニチロは冷凍食品を中心としており重複する商品が少ない。またニチロの技術力で商品の付加価値を高めることで仕入れ価格の高騰に対応できるようだ。

 今回の経営統合で調達から販売まで“水産の垂直統合”モデルを作れるかが激しさを増す水産資源の取り合いにおいて勝利の鍵を握る。

 確かに欧米での魚の人気はしばしばニュースになってはいたがここまで進んでいるとは正直思いませんでした。ただ今回の経営統合で両社の弱点を補完しあう統合なので期待できるように感じました。

あったかUSBグッズ ウォームビズの“冷害”で注目

 2006.12.18号の日経ビジネスより「あったかUSBグッズ ウォームビズの“冷害”で注目」という記事に注目しました。

 パソコンのUSB端子に流れている5ボルトの電量を電源に暖を取る商品が話題を呼んでいる。2003年創業の振興メーカー、サンコーの代表商品「USBあったか手袋」はUSB端子につなげば、1分で手袋があったかくなる。指先を出す事ができるデザインのため着けたままキーボードを打つ事も可能だ。

 もともと普通の民家で産声を上げたサンコー。フローリングに家庭用エアコンしかなく、真冬は寒くてたまらない職場環境だった。そんな中ひらめいたのが「USBあったか手袋」だったという。

 さらに人気の背景にウォームビズがあり、夜になると空調が切れてしまうオフィスが増えている。そんな中コンセントにつなぐ本格的な暖房グッズは気が引けるが、USB端子なら抵抗感が薄く使いやすいということだ。

 ひょんなことから生まれた新しいアイディア商品に競合各社が相次いで参入してきており、ホットな商戦になりつつある。

 自分の身の回りの環境を打開するためにひらめいたアイディアが商品化してヒットした例は多くありますが、やはり自分の身の回りで必要だと思った事は多くの人の需要を受けられるのでしょうかね。さらにサンコーの場合ウォームビズの時流のも乗っているので今後とも大注目ですね。


百貨店が狙う「自分へのご褒美」

 2006.12.11号の日経ビジネスより「百貨店が狙う「自分へのご褒美」」をピックアップします。

 クリスマス商戦と共に自分に対して贈るプレゼント「自分ギフト」「自分にご褒美」の商戦が盛り上がっている。主役はボーナスを手にしたOL。百貨店もこうした「自分ギフト」組の取り込みを狙っている。

 伊勢丹は伊勢丹専用の限定品「オンリー・アイ」をアクセサリーだけでも150モデル用意した。高島屋では、クリスマスカタログを作成した」。収録品目は約500品。ファッション感度の高い消費者の集まるニューヨークの店舗と連携し商品をつくたことが目玉だ。さらに富裕層向けのカタログもあり、この「自分ギフト」の需要が盛り上がっているのはOLだけではない。阪急百貨店は今年、特別のクリスマスカタログを作成した。載してるの約60品は海外高級ブランドのみ。これを外商の顧客やハウスカードの上得意客に届けた。

バレンタインデーが食品など一部の商戦にとどまるのに対してクリスマスは売り場のほとんどがプレゼントの対象になるそうです。

 こういう話を見ると毎回、日本の景気がよくなったのかと思うと共に景気が回復したとたんにこれだとまたバブル経済になってしまうのではないか心配してしまいますけど、どうなのでしょうか?

小さなトップランナー(3)

 2006.12.11号の日経ビジネスの小さなトップランナーより「雪ヶ谷化学工業 女性の美しさを素材で演出」をピックアップします。

 雪ヶ谷化学工業は化粧品メーカーの抽象的な要望に条件を満たしたスポンジを提案し、品質のばらつきなく量産する事で信頼を獲得してきた。そして2006年10月期の売上高は25億円、経常利益約3億円でともに増加傾向であり、世界市場におけるシェアは約70%に達している。

 そもそも雪ヶ谷化学工業は1950年代の高度成長期に女性の購買力が伸びたことで化粧品市場が拡大し、化粧品スポンジの注文が入るようになり同社の主力事業になった。そのうちにスポンジの原料である天然ゴムと化粧品に含まれる油分が化学反応を起こしボロボロになる事をどうにかしてほしいという化粧品メーカーの要望に、数年がかりで試行錯誤を重ね、合成ゴムの一種に原料に使う事で解決し、「ユキロン」と名付け実用化した。このユキロンが国内の大手化粧品メーカーに注目し多くのメーカーが採用した。そして80年代初頭には市場シェア80%にまで達した。続いて海外進出に乗り出した。しかし欧米の化粧品の成分が日本製と異なるだけでなく女性の肌質や化粧の仕方も異なる事が判明した。そこで日本向けと違うは違う特性のスポンジを作り直す必要あったがこれにも対応した。当初はなかなか採用されなかったが、海外進出が2年過ぎた頃に米国の大手化粧品メーカーから声がかかり、採用された事で多くのメーカーに広がった。

 ただユキロンには大きな弱点があった。紫外線に弱く、外光が当たると変色してしまうのだ。そこで開発されたのがこれまでは技術的に難しかった発泡ポリウレタンを使ったスポンジ「テラポリカ」だ。日に当てても変色しにくいうえ、従来の製品より5~10倍も強度がある。これを売り出したところオーディオメーカーや自動車業界、文具メーカーからも引き合いが来て、化粧用スポンジに頼る“一本足打法”からの脱却ができそうだ。

 しかし坂本光彦社長は急激に拡大路線に転じる考えはなく、日本の産業に役立ち時代の要請に応えたユニークな製品を生み出して生きたいという将来展望を描いている。

 世界市場70%はやはりすごいですね。そして思ったのですが何か1つの事を突き詰めていくとでしばしば世界が広がっていく事がある気がしました。

後発薬の普及に待った

 2006.12.11号の日経ビジネスより「後発薬の普及に待った “抵抗勢力”の巻き返しが反発」という記事をピックアップしました。

 日本医師会(日医)が公表した後発医薬品(ジェネリック医薬品)についての調査結果が波紋を呼んでいる。後発医薬品とは新薬も特許が切れた後に同じ成分を使って製造される。価格は新薬に比べて3~8割りも安い。処方箋の備考欄の「後発医薬品への変更可」というチェック欄に医師の印をつけて署名すれば、薬剤師が後発医薬品を調合できる。

 日医は「ジェネリック医薬品に関わる緊急調査報告」の調査結果を9月に公表した。それによると、後発医薬品の情報提供や効果、安定供給について「問題あり」との回答がそれぞれ81.9%、68.8%、65.5%に上った。さらに11月8日には、この調査で品質、や効果、副作用に「問題あり」と指摘された後発医薬品は、33社の73製品に及んだ事を発表。

 しかし、後発医薬品メ-カー大手の沢井製薬の澤井弘行社長は当社では製品を年間20億錠出荷しているが、返品はほとんどない。またあのアンケート結果は日医のホームページの10万人の会員のうち600人弱しか回答しておらず、回答しなかった医師はほとんど満足していると反論している。さらに日医と日本薬剤師会(日薬)が抵抗勢力になっていると批判している。

 日医と日本薬剤師会(日薬)が抵抗勢力になっている理由は、価格の高い新薬の方が後発医薬品に比べて薬価差益が大きいという事情があるからだ。そして新薬メーカーのMR(医薬情報担当者)が後発医薬品の品質が劣っているという情報を医療機関に提供していたという複数の例も見られている。

 どちらにしても消費者を抜きにしたこの攻防がいつまでも続くようだと日医と日本薬剤師会(日薬)のイメージが悪くなりそうですね。やはり消費者にとっては医療保険の自己負担があがったので後発医薬品の普及はうれしい限りだから後発医薬品メ-カーにはがんばってほしいですね。ただ後発医薬品は新薬の開発があってのものだから、新薬メーカーにもがんばってほしいですので、特許の見直しが必要になるかもしれない。

Wii“自分磨き”に照準

 日経ビジネス2006.12.11号より「Wii“自分磨き”に照準 健康や語学、家族団欒の演出狙う任天堂」をピックアップ。

 ついに日本でも発売された任天堂の次世代ゲーム機「Wii(ウィー)」、初回出荷分の40万台は初日に完売した。しかし、Wiiを買い求めたのはほとんどがゲームファンだった。しかし任天堂がWiiに託した至上命題は「ゲーム人口の拡大」でWiiの発売はまだ序章に過ぎない。

 ゲーム人口拡大のキーワードは「自分磨き」だ。早ければ来年夏に「ヘルスパック(仮称)」(健康になろうよ、というソフト)が登場する。画面の指示に従い日々のエクササイズを現実するゲームである。また遊びながら英単語や慣用表現を学ぶ事ができるコナミがアミューズメント施設向けに展開している「NOVAうさぎのゲームde留学!?」もWiiに持ってくる事も考えているようだ。

 ただこうした自分磨きのソフトを待たずにしてWiiは既にゲームをしないそうに浸透し始めている。昨年5月に発売された『脳トレ』がヒットした契機は、お盆。発売時は全国的に知名度の低かったが、若いユーザーが帰省先で自分の親に体験させる事で全国に広がった。実はWiiでも同じ現象が起きつつある。

 ゲームといえば「親の敵」だったが、Wiiは家庭内の口コミで、親に広がりつつあるのだ。任天堂はWiiを囲みながら家族で年末や正月を過ごす光景を目指している。

WiiとPS3とXboxのゲーム業界の争いには今後も注目していきたいです。ただPS3の独走はない様相だから、Wiiもがんばればトップシェアを獲得できる可能性は大いにあると感じられる。

店もネットも売りは「死に筋」

 2006.12.11号より「タワーレコード 店もネットも売りは死に筋」という記事をピックアップします。

 音楽市場は1998年に6000億円近かったが2005年には3600億円まで減り、確実に市場縮小が起こっている。そんな中成長している企業がある。それが米国生まれのレコード店、タワーレコードだ。市場規模が3割以上も減った5年間に同社はの既存店売上高は15%伸びた。さらに2006年2月期の売上高は630億円で、5年間で1.5倍の増収だ。

 この成長の秘密はロングテールの法則を現実の店舗での実現だ。さらにそれを実現させるために「本部仕入れ」でなく「各店舗ごとでの仕入れ」を行っている。よって本部からの支持は売上高目標と仕入額のみになっている。あとは基本すべて自由になっている。

 しかしタワーレコードも既存売上高は2005年にマイナスに転じ、2006年も横ばいと勢いは鈍っている。そんなタワーレコードが見つけた解が、音楽配信への参入だ。そして2005年10月にタワーレコードとナップスターの共同出資のナップスタージャパンを設立した。さらに2週間後にはNTTドコモとの資本業務提携も発表しドコモも巻き込んだ。

 ナップスターのの特徴は定額制という点だ。基本的には月額1980円あるいは1280円で聞き放題となっている。

 タワーレコードの狙いはこうだ。市場縮小は消費者が音楽から離れているから、まずは音楽との接点を増やすのが先決。その点で聞き放題が最適。耳にして好きな曲、アーティストができれば、やがてジャケットや歌詞カードもほしくなってCDを買う。この考えにはレコード会社にも同意する人がいる。またこの考えにはやはりナップスターが軌道に乗る事が大前提となる。

 しかし日本の音楽配信市場は極めて難しい環境にある。

 まずはレンタル店の存在。音楽配信の相場は1曲150~200円。しかしレンタルはアルバム1枚10曲入りで考えても1曲30円程度と配信サービスよりもはるかに安い。

 さらにレコード会社やプロダクションが邦楽の提供に難色を示している。実は海外での音楽配信の普及は著作権無視した無料の音楽交換サービスや海賊版の存在により、レコード会社がタダでやるなら合法で有料かつ健全な音楽配信に乗った方がマシという判断がある。しかし日本では市場が健全なためにレコード会社が配信に乗り気にならないという皮肉な現象が起こっている。さらにナップスターの最大の特徴である定額制も足かせとなっている。定額制のおかげでレコード会社やアーティストへの収入配分が見込みにくいという面もあるからだ。 

 ナップスターが日本でサービスを始めて2ヶ月。ナップスターに対応したドコモの新機種が発売されダウンロード数は伸び始めているが、「タワーレコードの客こそ、ナップスターに流れてしまうのではないか」との指摘も多い。さてタワーレコードは「音楽好きが集まるコミュニティーの場を店舗とネット配信の両方をまたいでつくれるのだろうか。

 音楽配信が普及していない理由に健全な市場が関係してるとは思いもよりませんでした。確かに状況が悪い方が改善を模索するから新しいものが生まれやすいのかもしれない。ただナップスターの定額制には消費者の側から見れば魅力的に見えるけど、それで邦楽の提供が阻まれているなら意味がないかもしれない。もしかしたらもっと日本に合った形があるかもしれないので、音楽配信サービスとともに模索していく必要はあるかも知れない。音楽配信サービスの参入には賭けの要素があるのだから。