『予告犯』 / 中村義洋 (2015)

監督:中村義洋
脚本:林民夫
原作:筒井哲也『予告犯』
キャスト:生田斗真、戸田恵梨香、鈴木亮平、濱田岳、荒川良々




公式サイト http://yokoku-han.jp/










『ROMANTICISM』 / Lillies and Remains (2014)

ヘッドフォンBody
ヘッドフォンThis City

01. Body
02. Go Back
03. Sublime Times
04. Like The Way We Were
05. Sigh
06. Final Cut #2
07. Recover
08. Composition V
09. To The Left
10. This City #2
11. Hopeless-

2014.11.12 Release


◆ロッキング・オンの音楽情報サイト RO69 小川智宏の「ロック青二才」
Lillies and Remains『Romanticism』:邂逅

 タイトルどおり、ロマンティックなアルバムだ。元SOFT BALLET・藤井麻輝とLillies and
Remainsの出会いは、まさに運命としかいいようがない。

藤井のプロデュースのもと、明らかにバンドは変わった。音が描き出す風景がモノトーンであることは基本的に変わらない(ギターのサウンドとKENTの声がそう感じさせるのだと思う)が、そのモノトーンの階調が一気に豊かになり、微妙なグラデーションが描かれている。ニューウェイヴやポスト・パンクというとどうしても「無機質」「金属質」「硬質」というようなイメージが先に立つが、じつはそれだけではない。あの時代、そういう質感の音が生まれた背景には当然ロックンロールやパンクが生まれたのと同じようなエモーションや感覚があったはずで、今作のリリーズはそれをちゃんと生み直しているという気がする。だから、すごく簡単な言葉でいうと、とても温かい。

フロントマンのKENTはソングライターとして非常にハイセンスで、かつ音楽への造詣も深い。だから彼の作る曲については何も言うことがない。年を追うごとに、彼は自分の声に対する信頼を深め、音楽の興味の幅を広げ、テクニックを身につけ、進化し続けている。

ただ、そんなKENTのクリエイションを表現する装置としてのバンドがどうだったかといえば、必ずしも完全ではなかった。というか、今もそうではない。KENTとKAZUYA(G)のふたり組という構造は、フォルムとしては美しいが、バンドとしては歪だ。もちろんライヴはサポートメンバーがしっかり支えているし、楽曲の再現性という意味ではむしろよくなっているのだが、KENTはたぶん、孤独なはずだ。KAZUYAは彼のすばらしい理解者だし、周囲には仲間もたくさんいるが、表現者としての想像力を100%分かち合える存在が必要だ、と思う。

藤井麻輝はまさにそういう存在である。現在の日本でニューウェイヴの本質を鳴らし続けるリリーズにとってはゴッドファーザーであり、KENTがすべてを預けることのできるプロデューサーだ。そんな藤井と出会ったからこそ、技術論とは別の次元でも、リリーズは変わったのだろう。それが僕がこのアルバムを聴いて感じた温かさの正体なのかもしれない。迷いがなく、温かい。









『Rays of Darkness』 / MONO (2014)

1.Recoil, Ignite
2.Surrender
3.The Hands That Holds The Truth
4.The Last Rays



『The Last Dawn』 / MONO (2014)

1.The Land Between Tides / Glory
2.Kanata
3.Cyclone
4.Elysian Castles
5.Where We Begin
6.The Last Dawn

2014.11.5 Releases


 暗黒という名の色彩、幻想と希望、美しい光。激情と静謐が渦巻く、心を捉えるストーリーを言葉無く語る MONO の到達点、「Rays of Darkness」,「The Last Dawn」を2作品同時リリース!!この2つの作品は、人生における希望と絶望、愛と喪失、言葉では言い表せない痛み、計り知れないほどの喜び、概念的に対極となる2面を音楽を通じて鳴り響かせている。鮮烈な衝撃作、7th & 8th アルバムを2枚同時リリース!!MONO史上、最もブラックなアルバム。焦げ付くようなリフ、破壊的なリズム、ポストハードコアのパイオニアenvyのテツ・フカガワとのコラボレーション。終わりのない暗闇に目の眩むような光線を放射する

◆MAGNIPH:NEWS
【MONO】2年振りの新作アルバム、2枚同時リリース!envyのTetsuya Fukagawaがゲスト参加!


●Grumble Monster:MONO ‐‐Review‐‐
 日本のインストゥルメンタル・バンドの雄、MONOの約2年2ヶ月ぶりとなる新作は、明暗の極北を描く『The Last Dawn』『Rays of Darkness』の驚きの2枚同時リリース。ここ2作で特に顕著だったクラシックの色濃いオーケストラ・アレンジが抑えられ、再び4人でのバンド・サウンドに回帰したことが特徴となっている。

 まずは”明”をテーマとした全6曲の『The Last Dawn』から。悲しみの底辺を綴ったような静パートから究極の歓喜へと向かう動パートへと遷移する#1「The Land Between Tides / Glory」や#3「Cyclone」からして、バンドの特色が表れている。前述のようにオーケストラが全面に出ているわけではないにせよ、本作はみなが持つ「MONOの音楽的イメージに近い作風」なのは確かだろう。あらゆる感情を受け入れながら、最も残酷なところから最も清らかで美しい場所を見出す。力強く光の音楽へと凝縮させていく。

 WOWOWの連続ドラマ”かなたの子”のテーマ曲として書き下ろされた#2「kanata」は、ロングバージョンとして深化を遂げた。#2と同じくピアノを基調に織り上げていく#4「Elysian Castles」もまた美しい。曲によってはチェロやヴァイオリンが色付けし、ピアノやグロッケンが添えられて叙情性や物語性を研いでいくのである。その中で本作では#5「Where We Begin」から#6「The Last Dawn」が光と祈祷の音楽として壮大に鳴り響く。特に#5の後半においての地球の胎動のようなリズムと轟音ギターが奏でる、希望のシンフォニーは感動的である。過去へと回帰しつつも、実にMONOらしい作品に仕上がっている。

 そして、対の”暗”となる全4曲収録の『Rays of Darkness』であるが、これまでになく重厚で混沌とした作品に仕上がっている。#1「Recoil, Ignite」からまず驚きだろう。2ndアルバムに収録されている怒りを轟音という形で全て注ぎ込んだ「Com(?)」、あれに匹敵する破壊力があるからだ。それほどに本曲は精神的にも肉体的にもズシリとくる重みがある。leave them all behind 2014で一足先に体感したが、驚くほどにダイナミズムを感じさせるものだった。

 本作でMONOがこれまでにない暗黒へ聴き手を連れて行っているのは明白で、渦巻く負の感情と荘厳でヘヴィなサウンドスケープが混沌をより深めていく。#2「Surrender」ではJacob Valenzuela (Calexico)によるトランペットが長閑で優しい空気を運んではいるものの、全体を通すと気分が沈むような暗さ。envyのヴォーカリストであるTetsuya Fukagawaが参加した#3「The Hands That Holds The Truth」 によるエモーションの放出もひどくヘヴィだ。確かに1stや2ndの頃の感触はあれど、ベクトルの違いを感じさせる。極めつけは#4「The Last Rays」で、SUNN O)))辺りが頭によぎる拷問のようなノイズ・ドローン。まるで絶望のどん底から抜けださせないことを表現しているかのようだ。

 いずれにしても2枚を通して、ひとつのストーリーが紡がれているのは確かだろう。光と闇、希望と絶望、歓喜と悲哀など相反するものを纏う壮大な音像には、変わらずに圧倒される。充実の2作品。

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