song for you

ノンフィクション小説

これはホストクラブで働いていた時に従業員やお客さんの相談で聞いた話を

曲のタイトルにあったエピソードを書いたものです。

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#14 squall

私の彼氏はホスト。


彼の仕事前まで一緒にいた

玄関先で夜の街に消え行く彼を見送る

仕事柄、私以外の女性と接する

私の知らないところで彼は他の女性といる

私はそれでも彼についてきた

彼がいない部屋にはもうなれた

ひとりでテレビを見て笑うことも出来る

ひとりでビールを飲むことも

ご飯を食べることも出来る

さみしくなんかないよ

今はひとりでも

ひとりぼっちじゃないから

心の中には彼への思いがいっぱいだから

さみしくないよ

まちどおしいだけ

めがさめれば

彼の笑顔がおはようを言ってくれる

彼のぬくもりと愛に抱かれながら

わたしはベットで眼を閉じる

そして彼からの「オヤスミハート」のメールで

夢の中へ・・・

#13 指輪

あゆみへ

これが最初で最後の俺からの手紙です。

ようやく式前日まできました。
俺は普段から字なんて書くことないから
改めて手紙を書くとなると何を書けばよいのか
悩んでしまいます。なんか照れる。
まず俺たちが出会って5年が経ちました。
その間俺はあゆみの気持ちもしらず毎日帰るのも遅くなり
帰ってきても酔っ払った状態で、すぐにベットでそのまま
寝てしまう。たちの悪い日には暴力を振ってしまったのは
今でも後悔しています。
それでも何一つ文句も言わず我慢して付いてきてくれた事に
今は感謝以外何者ではないと思います。
仕事上、女の子と接する事が多くあゆみを裏切る
事をしてしまった時あゆみは知らないふりを
していてくれていました。そして俺のわがままも受け入れてくれてました。
それなのに何一つあゆみの気持ちを受け止めずに
今日まで来てしまいました。

いままで泣かせることばっかりでごめんね
いままで傷つけることばっかりでごめんね
いままで恥ずかしがって手もつながないで歩いてごめんね
いままで愛情が足りなくてごめんね
いままでわがまま聞いてやらなくてごめんね
いままでつらい時に抱きしめてやれなくてごめんね
いままで文句ばっかりでごめんね
いままで一緒に笑ってやれなくてごめんね
いままでありがとうが言えなくてごめんね

これからはもういいんだよ。
いっぱいわがまま言って。
いっぱい笑って。
いっぱい幸せになって。
俺はもうあゆみの事を
一人にしないから。
いつもそしていつまでも一緒だからね。

最後に
俺は今まであゆみでよかった。
これからもあゆみでよかった。
愛してます。


200×年×月×日

#12 Life time Respect♀

男って何を考えているのかわからない



私たちは付き合いだして6年が経つ。

親にもそろそろ将来考えなさいとか言われるし、

彼は将来のことなんて何にも口にしないし。



ある日私は彼との喧嘩で勢いあまって聞いてしまった。

「私たちこれからどーするの」

「これからって?」

「もう6年も付き合っているんだよ」

「そーだな」

「私には何考えてるかわかんなぃ」

「何にも考えてないよ」

「これからもずっと死ぬまで今と何も変わらずかな」

死ぬまで今となにもかわらず・・・

私にはこの言葉の意味がわかった。

私たちには時間が経っていて言葉は要らなかった。








10年後私たち2人の生活はあの時となにも変わってなかった。

変わったと言えば2人じゃなくて3人になっている事だった。

#11 Life time Respect ♂

俺たちは婚姻届けをだした。

出逢って一週間。

お互い相手のこともよく知らない。

2人とも仕事柄、人間不信になっていた。

運命か、勢いか。

もちろん恋愛感情もまだ確信できるものは生まれていない。

ただ信じる事しか出来ない。

だから2人でスタートした。

賭けてみようと2人は思った。

幸せになるという目標を持って。

たぶん長く付き合ってから結婚しても同じ事を

考えていただろう。

それなら自分たちの結婚も正しい選択。

信じることで運命に変える。

誰かを信じ続けたかった。

ただそれだけ。

#10 missing

ぼくは今日も君を待つ。

最終バスのひとつ前に君は乗ってくる。

バスから君が降りてきて僕に

「なにしてんの」

「べつにとくに用事はないけど」

つよがり言う僕に笑顔で

最終バスが来るまでの間

付き合ってくれた。

辺りは真っ暗でただバス停の明かりが2人を照らす。

その短い時間だけど

僕の事だけを思っていてくれる時間だった。

学校ではただの先輩と後輩の仲だけど

今だけは僕だけの君

最終バスが来ると僕は見送られながら帰っていく。

君は卒業したら離れたところに行ってしまう。

もうにどと逢えない場所に

別れの日に僕はさよならの変わりに好きだったと

君はさよならの変わりにそっとぼくにkissを

#9 MY GIFT TO YOU

私たちは付き合い始めてもう5年が経つ。
最近は生活もなれてマンネリが続いていた
ホストの彼とはすれ違いの生活で付き合った当初は
そのことでよく喧嘩も絶えなかったが、今ではそんな事もなくなった。

私はそろそろ彼と区切りをつけようと考えていた、彼はそんな私の気持ちすらわかっていないようだった。

5回目のクリスマスも近くなり今年も一人家でTVの特番を見て過ごす予定だった。
彼はホストなのでクリスマスは必ずイベントで家に帰ることはない。

クリスマスの当日、私は夕方に仕事が終わりいつものように家に帰ってTVを見ていた。
彼から携帯が鳴り私は忘れ物でもしたのかと電話に出ると、
「荷物あるからとりに来てくれ」
と、店の近くに呼び出された。
私は渋々雪の中走っていくと彼は立っていた。
♂「わりーなぁ」
♀「何もって行けばいいの」
♂「これ」
彼はコートのポケットからCDをだした。
♀「何これ」
♂「中古のCD屋で売ってたからお前にやる」
♀「なに、そんなの家に帰ってきてからでいいよもー」
♂「まぁーいーから一応プレゼントみたいな」
♀「5年目にしてCDかい、安上がり過ぎだから」
♂「うるせー。じゃ、そーゆーことで」
彼はさっさと行ってしまった。

私は家に帰りもう寝ようとベットに座った。
彼から貰ったCDを見ると私たちが付き合い始めの頃に
よくカラオケで彼が歌っていた曲だった。
懐かしくなり私はCDのケースを開けると
CDの真ん中にはホワイトゴールドのリングがはまっていた。
そしてCDにはマジックで








「5年目の俺のケジメ」









私はそれを左手の薬指にはめた。

#8 からっぽ

♂「おぉ」

♀「うん。」

♂「なに?」

♀「ちょっと」

♂「なんだよ」

♀「あのさー」

♂「なに」

♀「私ね」

♂「うん」

♀「いろいろ考えたんだけど」

♂「・・・・・」

♀「最近ね」

♂「うん」

♀「あまり逢う時間なかったでしょ」

♂「まあ色々忙しかったからな」

♀「うん」

♀「あと電話もあまりしなくなったし。」

♂「それで」

♀「少しね」

♂「・・・」

♀「距離置くって言うか」

♀「いそがしいみたいだし」

♀「わ・・・」

♂「ん?」

♀「わか・・れ・ょうと・・」

♂「なんでさ」

♀「・・・」

♂「本気か」

♀「コク

♂「俺はやだね」

♂「なんでわかれなきゃいけねーの」

♀「もう無理だよ」

♀「もう私たち離れすぎちゃったんだよ」

♂「もう少し考えてみろよ」

♀「ごめんね」

♂「なんで」

♀「荷物送るから」

♀「じゃあね」

♂「電話するから」

♀「もう電話でれない」

♂「そっか」

♀「元気でね」

♂「じゃあ」




♂「・・・・」






♀「遅すぎたんだよ・・・」



#7 君が好き

俺の先輩は数日前から浮気をしている。
ある日先輩は浮気が奥さんにばれそうになり、
俺の番号をその浮気相手に教えて俺を経由して
連絡を取り合っていた。
はっきり言って迷惑だが頭が上がらないので
断り切れなかった。

仕事が終わり先輩は、
「今日アイツが飲みにいくの付きあっってやってくれないか」
と言ってお金を置いて帰ってしまった。
俺はブツブツと文句を言いながら約束の店に行った。
古い感じの店に入るとカウンターに小さい女の子がいた。
「すみませんあのー先輩に言われて来たんですけど」
「あいつまたずらしやがった」
女の子は俺に苛立ちをぶつけた。
「ごめん関係ないよね。気にしないでのもーか。」
「あっ、はい。」
あまりそんな気分ではないがすこし付き合うことにした。
少し酔った彼女は俺に一生懸命先輩の話をした、そして
飲みまくってた。
俺は返事をするしかない状況で、帰る隙間も与えてくれなかった。
その日は彼女がノックダウン食らったので家の前まで送り届けて任務は終了した。

先輩はこれはいいと何度か俺に任務を与えてきた。
一ヶ月ぐらいが過ぎて任務の声が掛からなくなり
俺は解放された。

いつものように布団に入ると俺は彼女の話してたことが
よみがえってきた。
先輩の好きなところ、出会った話。
彼女は遊ばれてるのにもかかわらず一途だった。
俺が相手していいストレス発散になっていたと思う。

気づけば彼女のことを考えていた。

幸せになれないのに

もっといい人いっぱいいるのに

俺は解放されたけど彼女はまだ解放されてない

誰かが救ってあげれば

・・・・・

俺は家を飛び出した。

店のドアを開けるといつもの様に
カウンターで飲んでいた。
俺はやさしく彼女の肩を抱いて



「迎えに来たよ。」

#6 song for you Chapter ayumi

今週私は仕事が終わるとまっすぐ家に帰っていた。
ここ最近店で嫌な事が続き誰とも話をしたくなかった。
酒癖の悪いお客に嫌がる私のからだを触られ
店長には最近成績の落ち込み気味な事を言われた。

週末私は仕事が終わってマコトに電話した。
いつもの声でマコトが出た。
私は一声を聞いた瞬間、なんとなく顔を見たくなった。
「今日忙しい?」
「まぁ入っているほうだけどね。」
「今からいこーかな」
「今日は疲れていないんだ。」
「うん、まぁね」
「そっか何分ぐらいで来る?」
「うーん10分かな」
そう言って私はマコトの店の方へ歩き出した。

私はいつもと変わらない平常心を取り戻すためゆっくりと
歩いた。
店に着いた私は案内されて席につくとマコトが歩いてきた。
忙しそうなマコトはまだそんなに飲んでいなく、
素面な顔で
「遅かったなぁ」
「ちょっとね」
と私は何事もないように答えた。
お酒を注文するとマコトは席を離れ他の席を回った。
私は酔って忘れようとした。
ヘルプに付いた子と無理やり盛り上げて飲んではみたが
あまり気持ちは切り替わらなかった。

しばらくするとマコトが落ち着いたのか戻ってきた。
ヘルプの子が席を立ち
「こちそうさまです。」
「はいどーもねー」
マコトは私を見ると
「飲んでるなぁ」
「そんなに飲んでないよ」
「最近忙しかったのかい」
「うーん結構ね」
「なんかあった?」
私はマコトに心を読まれたと思うほどズバリな質問だった。
「言いたくないなら言わなくてもいいよ」
私は気を張っていたのが崩れた。
次第に目が涙が込み上げてマコトを見る事が出来なかった。

やがて閉店時間になり、マコトがラストソングを歌う事になった。
「ラスト歌ってくるから、よく聞いてろよ。」
と言い立ち上がりマコトは私の頭を撫でてくれた。
すべてお見通しかのようにマコトは私に優しさを注いでくれた。
私はマコトの歌が心に響いた。
そのたびに涙が出て声を上げて泣いた。

外は朝日に包まれていた。
私はすべて涙で流したので気持ちがよくなっていた。
マコトと私の間には言葉が要らない事がある。
その代わりにそっと優しさをくれる。

#5 song for you Chapter makoto

店は月末も近いので満席に近かった。
俺も忙しく席を回っていた、すると電話が鳴り席を離れ
バックルームに走った。
あゆみからだった。
あゆみは最近疲れたと言って仕事が終わってまっすぐ
帰っていた。

「はい」
「もしもし今終わったよ。」
「おつかれ。」
「今日忙しい?」
「まぁ入ってるほうだけどね。」
「今からいこーかな」
俺は予想外な事だったので少し戸惑った。
「今日は疲れていないんだ。」
「うん、まぁね」
「そっか何分ぐらいで来る?」
「うーん10分かな」
「わかったわ」
「じゃーね」

あゆみは少し遅れて店に現れた。
そして席に案内されていた。
あゆみは顔を伏せ気味に案内される方へと歩いていった。
俺は席を離れあゆみの所へ向かった
「遅かったなぁ」
「ちょっとね」
「何飲む?」
「焼酎でいいや」
何か会話の雰囲気が違う気がした。
「ちょっと他回ってから来るから適当に飲んでて」
「うん気にしないで」
俺は指名がかぶってて他の席を回った。

店も盛り上がりはじめ俺はあゆみの席に戻った。
ヘルプについていた従業員が席を盛り上げていた。
俺が戻りヘルプの従業員は席を外れた。
「飲んでるなぁ」
「そんなに飲んでないよ」
「最近忙しかったのかい」
「うーん結構ね」
「なんかあった?」
あゆみは静かにグラスを置いた。
俺はあゆみを見ると少し目が潤んでいるきがした。
無言のまま少しの時間が流れた。
「言いたくないなら言わなくてもいいよ」
何かの糸が切れたのか、あゆみの目から涙がこぼれた。
俺は何も言わずにただ隣で見守った。

店は閉店時間が近くなり本日の売上げNo.1の俺が
閉店のラストソングを歌うことになった。
「ラスト歌ってくるから、よく聞いてろよ。」
音を立てずに泣いてるあゆみは静かにうなずいた。
俺はあゆみの頭を撫でて立ち上りステージに向かった。

店の照明は消えてスポットの当たったステージで俺は
今気持ちのままを歌った。
あゆみが泣き崩れているのが暗くてもわかった。

外に出ると朝日がまぶしかった。
あゆみはすっきりしたのか走り出した。
立ち止まって振り向き
「ありがとぉー」
と言いながら大きく手を振っていた。
その笑顔はいつも逢っていた元気なあゆみだった。