日本人全体から見ても関心の薄い(遺族や関係家族以外)この項目に対する代償が
これであるからイメージダウンとともに一方的な日本悪者論が広まる点において外務省及び関係機関の大敗北である点はごまかしようがない。
実に拙劣かつビジョンも何もない場当たり的である。
東寺はともかくとして両者に共通するのは独善的な「自国被害者・相手悪者論」であって、当時はともかく現在の相手国に対する何の配慮も根回しもない乱暴かつ前進的関係も生まず敵対を自ら強調するような愚かな独善以外の何者でもない。
シベリアのほうで行くと相手国はロシアであるが、実は中国は水面下でロシアと協調してユネスコに圧力をかけて分担金の停止のみならず国連全体の分担金の削減(両国で日本はおろか財政難で滞納気味である米国のそれを上回る)あるいは支払い停止を突きつけたということだから、敵のほうが三枚上手であることは否めない。
中国にとってもこの記憶遺産は全体として舞鶴港への引揚者に関するものであるところから、彼らへの事情聴取の中に、ソ連軍とともに日本人掃討に血道をあげたのが中国人でもあったことが強調されている。
まさに両国にとって利害の一致するところであり彼の方からの攻撃の隙だらけであるところを、それを考慮に入れず関係団体の推薦を鵜呑みにして申請させた外務省及び安倍自民の詰めの甘さが何よりも追及されるべき罪状である。
候補申請が為された瞬間から報復申請が十分に予期できるものを取り上げたこと自体が「敗北の予約」みたいなものであり、極めて不味い対応だといわざるを得ない。
「明治日本の産業革命遺産」についても現在稼働中の生産設備が構成要素となっている点について、申請した連中のセンスを疑わざるを得ない。
国際競争に対応した最新鋭設備への更新工事が制限されるだけでなく、観光地化対応で生産設備としての実稼働率が大きく損なわれる。企業としてはありがた迷惑以外の何者でもなかろう。
おまけにその対象期間を日韓併合以前に(稼働中のものがあることから)限定できなかったことにより強制徴用問題というつまらない紛争の種まで抱えることになってしまった。
もちろん誰トクにもならない「怨恨のタネ」に世界遺産と称する胡散臭いお墨付きを与えるユネスコなるインチキ募金業者についても廃止・改組を含めた抜本的な見直しが不可欠であるということは言うまでもない。
シオニズムによる偏向的理由とはいえ、もう既に米国が金を出していない国際連盟同様の終わった機関の存続に日本がこれ以上与する必要はないし、米国同様の理由で分担金の支出を停止すべきというのは世論調査でも大半の支持をえるだろう。
では何を世界遺産として出すべきであったか?
答えはすでに明確である。
「東洋のシンドラー」と呼ばれた杉原千畝の「命のビザ」に関する資料である。
http://www.jacar.go.jp/modernjapan/p14.html
実はこれについては今年ようやく国内審査を通過し来年3月の申請のための作業中であるということだから、要するに真打登場させるのが遅すぎるということだ。
http://www.furusato-tax.jp/gcf/50
これは「世界遺産の三要件」
1.国際紛争の種となるような敵対国が存在しない。
2.普遍の人道上あるいは技術革新上の重大事項に関するもの。
3.現在稼働中の生産設備・事業の運営を阻害しない。
をすべて満たすものであり、なぜ今までこれを申請してこなかったのか不思議でたまらない。
1については相手はナチスドイツでありすでに存在しないばかりか、それに類似する独裁行為はことごとく否定されている。
2については今年の日中指定物のような「被害者史観」の産物ではなく普遍の人道上措置である。
それがもういまやユネスコ脱退かという瀬戸際であるから登録予定の2017年には日本はその受賞資格すら剥奪されているかもしれないという皮肉な状態だ。
そのほか、安倍の70年談話では「日露戦争勝利」を誇らしく明言してロシアの反感を買い北方領土実効支配の急激な推進を進める契機を作るなど安倍自民の脇の甘さと迂闊さが目立つ1年でもあった。
その上、円安誘導によるドル換算分担金の価値の低下がますます日本のユネスコのみならず国連全体での影響力低下を進めているという自縄自縛の状態にあるのが日本の現状。
この矛盾を解消せずして国際戦略での巻き返しは事実上不能であることは論を待つまでもない。
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